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Two Hearts  作者: シ皮糸文
第一章
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忍び寄る影

宿屋の予約を終えたイール達。

彼らはブラックにそのことを伝え終え、図書館前の坂を下りていた。

時計を見ると午後4時、今から宿屋に居ても暇で仕方ないだろう。

するとイールは、

「ねぇ、時間あるし町見て回らない?」

とウキウキしながら言う。

「うん、行こう!」

と元気よく答えるルリィ。

二人は存分に魔法使いの町を楽しんだ…。


一方ブラックは…、

「なあ、この本とかどうだ?」

「あ、それの下巻あります?まだ読んでないんです。」

「下巻…、これか。はいよ。」

ユミルの手伝いをしていた。

帝立図書館と言うだけあって、記憶に関する情報の本だけでも途方もない冊数を有している。

一月そこらで読破できる量ではない。

あれから話を聞くと、ユミルは学校に通った帰りに毎日ここに来ているそうだ。

母親のためにそこまで頑張るユミルにブラックは心を打たれ、手伝っているというわけだ。

真剣に手伝ってくれるブラックに対し、ユミルは心が温かくなるのを感じた…。


時刻は午後8時、遊び疲れたイールとルリィは宿屋に向かって夜道を歩いていた。

「あー、楽しかったー…。」

「しっかり満喫しちゃったね♪夜になっちゃったけど…。」

だがその時、笑いながら歩く二人の後ろから黒い影が迫っていた。

「!?」

イールが振り返る。

「どうしたの?」

「今、殺気が…!」

「! まさか通り魔…!?」

二人は剣を抜いて構える。

辺りに人はおらず、物音一つない。

ランタンの薄明かりに照らされた石畳が妙に薄気味悪く感じる。

「…。」

気を引き締めて左右を確認する二人。

「マスター、後ろだ!」

ルリィの剣が大声で言う。

すぐさま後ろに剣を振りぬくルリィ。

イールが後ろを向くと、そこには黒い服を身に纏った仮面を付けた女が立っていた。

先ほどの一撃は躱したようだ。

イールは女を睨み付けて言う。

「お前が例の通り魔か…!」

女は軽い口調で答える。

「あらあら、ばれちゃった。喋る剣なんて珍しい、それさえなければ今頃ぶすりと行ってたのに…。」

女が鈍い光を放つナイフを見せつける。

すると、ふふっと笑い、イール達に向かって走り出した。

イールは剣を握りしめる。

「『空を翔る刃(エアリアルブレード)』、発動!」

剣を振り、斬撃を放つ。だが、なんと女は地面の中にすっと消えてしまった。

「なっ…!?」

女の声だけが聞こえる。

「これは私の能力、『闇からの急襲(シャドウダイバー)』。私は影の中を自由に移動することができるのよ…。」

するとイールの右方からナイフを持った腕が飛び出てきた。

かろうじて剣で防ぎ、飛び退く女を追撃しようとしたがまた影に潜ってしまった。

「くっ…!」

いつ、どこから来るか分からない恐怖と焦りでイールは平静を保てなくなっていた。

「イールさん。」

ルリィに呼ばれて少し冷静になるイール。

「次攻撃して来た時に捕まえるから、そこを叩いて。」

「捕まえるって…。」

「任せて。」

自信満々な顔を見てイールは強く頷いた。

ルリィは腰に巻いていた布を手に取り剣に話しかける。

「アイドゥ、伝達速度最速でお願い。」

「了解した、マスター。」

アイドゥと言うのは剣の名なのだろう。

伝達速度とは何だろう、と思ったが、今は考えている余裕なんてない。

再び辺りが静まり返る。

女の気配は全くない。

すると、女がルリィの左方から襲い掛かる!

だが、ルリィは待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべていた。

「何…!?」

女が驚く。そしてルリィが叫ぶ。

「『自由自在の布きれ(ダンシングクロス)』、発動!」

すると、ルリィの持っていた布が意志を持つように女の腕に絡みついた。

「ぐうっ!?何よこれ!」

女は腕を封じられ、身動きが取れなくなっていた。

「イールさん!」

掛け声に反応し、体当たりの構えを取って高速移動歩法(ソニック)を使った。

「『楼影打(ろうえいだ)』!!」

技が命中し、女の体を吹き飛ばす。

吹き飛んだ先で、女は呻き声を上げながら悶え苦しんでいた。

「まだ意識があるのか…!」

イールとルリィは再び動きを封じようと駆け出す。

女の付けていた仮面が、からん、と音を立てて地面に落ちる。

「お、お前らの顔、忘れないからな…!」

そう言うと女は俯いたまま影の中に消えて行った。

二人は辺りを見回す。

「…逃げられた!!」



その頃、ブラックとユミルは彼女の家に向かって並んで歩いていた。

「もうすぐ私の家です。」

「おう、了解。」

そんな二人の様子を、通り魔の女は屋根の上からじっと見ていた…。


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