表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Two Hearts  作者: シ皮糸文
第一章
4/56

ファカルティ

辺りはすっかり暗くなり、今日はブラックの家に泊めてもらうことになった。

自警団を抜ける旨は団員達に伝えたそうだ。

家への帰路にて、ブラックが思い出したように言った。

「そうだ、俺、妹がいるんだが覚えてないか?」

イールは首を横に振った。

「そっか…。置いていく訳にもいかないし、あいつも誘ってみるかな。」

手を頭の後ろに組んで歩きながら呟いた。

その後はお腹が減った、高速移動歩法(ソニック)についてなどといったことを話しながら歩いていた…。


「さあ、着いたぜ。」

三角の屋根にレンガ造りの壁、至って普通の家である。

ブラックは(おもむ)ろにドアを開け、

「ただいまー。」

と言うと、二階から、おかえりー、と女の子の声が聞こえた。

「ルリィ、イールが来てるぜー。」

するとドアを開け、階段を下りてくる足音が聞こえた。

「あ、イールさん!久しぶりー♪」

屈託なく笑う少女の顔を見て、自分の頬が少し赤くなっているのが分かった。

髪は茶色でセミロング、前髪を右から左に流している。

素直にかわいいと思い、懐かしさを感じた。

以前会っていたであろうときのものよりも、もっと以前に会っているような…、そんな感覚がした。

「今日はどうしたの?」

「実は…。」


事情を話し終えると、ルリィは口をぽかんと開けていた。

「つまり、イールさんは記憶を失って…というより奪われて、

お兄ちゃんがその男を探す旅に同行するってこと?」

「そういうこった。んで、お前を一人にしちまうことになるのが心配だし、

どうせなら連れて行こうかと思ってな。」

「行く、行くよ!」

即答だった。

「イールさんにはお兄ちゃんがいつもお世話になってたし、恩返ししたいと思ってたしね!」

「よし、じゃあ明日の朝出発しようぜ。」

二人とも同意した。するとルリィが、

「ところで、記憶がないってことはファカルティも使えないの?」

「ふぁ…?何て?」

ルリィとブラックは顔を見合わせ、頷いた。

「とりあえず上がって?居間で説明するから。」

イールは言われるままに、ブーツを脱いで上がらせてもらった。


居間の椅子に座り、先ほどの話を再開する。

「それで、それって何なの?」

「ファカルティって言うのは魔力で自分のイメージを具現化したもののことを言うの。例えば…。」

彼女は細身の剣を持ってきて、剣を抜いた。

「ちょ、ちょっと…!?」

「まぁ見てろって。」

ブラックに肩をぽんと叩かれる。

彼女は自分の胸の前に剣を掲げ、祈るように目を瞑った。

すると剣が光り出し、すぐに光は消えた。

イールがしかめっ面をしていると、

「やぁやぁ、イール君。久しぶりだね。」

「!?」

ブラックでもルリィでもない男性の声が聞こえた。

声の主を探すが見当たらない。

「ま、まさか…。」

「これは私のファカルティ、『命無き者との対話(ハウリングシングス)』って言うものなの。

 私が手で24時間触れていた物は、私が触れている間は声を出したり

 意志疎通をすることができるようになるの。

 こういう特殊な能力のことを総称してファカルティって言うの。

 同じファカルティでも性能には個人差があって、人一人が習得できる数は大体三~四つって

 言われてるんだけど、これも個人差があってたくさん習得可能な人もいれば、

 一、二個しか習得できない人もいるらしいよ。

 私は今はこれの他にもう一つあるんだけど、それは機会があるときにね?」

「そういうことだ。理解していただけたかな?」

また剣が語りかけてきた。

ぶんぶんと頭を縦に振る。

信じられないが、実際に話している以上信じる他ない。

「俺のファカルティは戦闘向けの奴が一つだけだが、万能で困ったことはないぜ。明日見せてやるよ。」

ブラックが言った。

「僕にもこんな力が…?」

「ああ、俺が知ってるのは一つだけだがな。ま、明日のお楽しみだな!

「そうだね。とりあえずご飯にしよっか。お腹すいてるでしょ?」

ルリィは剣をしまいながら二人に声をかけた。

(…そうだった、腹ペコなんだった。)

急に空腹感が襲ってきて、お腹がぐーと音を立てる。

恥ずかしがる様子を見て、二人とも笑い、イールもつられて笑った。


時刻は午前0時、イールは空き部屋のベッドの上で、仰向けになって天井を眺めていた。

「ファカルティ…、記憶を取り戻すきっかけになるといいけど…。」

眠気に誘われ、十分と経たぬ内に寝息を立てたイールだった…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ