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Two Hearts  作者: シ皮糸文
第一章
3/56

魔力

ブラックが他の団員に話を通し、イールも正式に盗賊捕縛に加わることとなった。

「さて、とりあえず巡回だな。」

数十分ほど町の中を歩いて回ったが、盗賊が出た様子はない。

その間にブラックと交わした言葉は一言か二言ほど。

てっきりもっとよくしゃべる人かと思ったが、仕事は仕事ときっちり分けているようだ。

逆にイールが無言に耐えられなくなり、先ほどのことを聞いてみることにした。

「ねえ、僕って足速いの?」

少し前を歩く彼は、首を横に向けて答えた。

「ああ、速かったぜ?って言っても、魔力による一時的な跳躍のことだけどな。」

魔力、そういえば学校で習った覚えがある。

基本的な身体能力の強化や、魔法を使うときに必要なもの。

だがここで一つ問題が…。

「魔力ってどうやって使うんだっけ…?」

ブラックは歩みをぴたりと止めて口をぽかーんと開けたまま振り向いた。

「おまっ…、まじかよ…。」

イールは苦笑いをするばかり。

「どうやって…か、正直慣れちまうと自然にできちまうからわかんねーな…。」

「も、もしかして…、盗賊とかも魔力…。」

「そりゃー使うだろうな。」

冷や汗が流れる。

魔力の強さは知っている。

先生が魔力を帯びた剣を岩に振り下ろすと、岩が真っ二つになったのを見た覚えがある。

先生はドヤ顔で教えてくれていたが、何でもあの岩は相当脆くて

素手でも壊せる程度の強度だったらしい。

魔力の強さを知らしめるためだったのかそれとも…。

ちなみに魔力の防御は魔力、あるいは堅固な鎧などといったところだ。

鎧を持っていないイールにとって、魔力が使えないことがいかに危険かを即座に理解した。

「まあ、いざとなったら守ってやるよ、心配すんな。」

なんと心強い。

だが、迷惑はかけられないからと、なんとか自力で魔力の使い方を思い出そうとした。

すると、

「盗賊だー!」

「出やがった!行くぞ、イール!」

「…!」

不安だったがとにかく急いだ。


盗賊は七人、数が多い。

「こいつらの魔力は大したことねえ!素のお前でも十分やれる!」

そう言って彼は突っ込んで行った。

覚悟を決めたイールは魔力を使わずに立ち向かって行った。

ブラックの言った通り、攻撃は見切れるし魔力なしでも相手の剣を受け止めることができた。

(これなら行ける…!)

一人、二人と敵を剣の柄で撃ち、気絶させていく。

三人目を気絶させた瞬間、

「うおっ!」

ブラックが宙を舞って馬車に突っ込んだ。

彼も三人倒していて残るは一人だが、他の盗賊とは違うようだ。

「よくも俺の子分たちを…!」

どうやら頭らしい、盗賊はブラックに向かって大剣を振り上げた。

「くっ!」

馬車に乗せられていた荷物に埋もれて態勢を立て直せないブラックに容赦ない一振りが襲い掛かる。

ガキン!と金属音が辺りに響く。

イールが間に入り、なんとか受け止めたのだ。

だが、体格差があるため膝を付いてかろうじて持ちこたえている。

「邪魔だあ、ガキィ!」

横払いで一撃で吹き飛ばされる。

「うっ…。」

少しずつイールに歩み寄る盗賊の頭。

「く、くそっ!」

ブラックはまだ態勢を立て直せない。

(い、今の感覚…。)

盗賊の剣を受け止めたとき、魔力が少し流れ込んできたのだ。

少しずつ感覚が蘇る。

「くたばれえ!」

盗賊の一閃、ガキン!と先ほどと同じ音が響く。

しかし、決定的な違いは盗賊の大剣の半分から先が切り落とされていたことである。

唖然とする盗賊、口元に笑みを浮かべるイール。

ブラックも笑みを浮かべ、さすがイールだと思っていた。

「くそがあっ!!」

盗賊が剣を捨ててイールに覆いかぶさろうとする。

「このまま締め上げて…!」

盗賊がイールを掴もうとしたその時、

「!?」

消えた。目の前から。

「どこに…。」

イールは盗賊の背後に回り込んでいた。

盗賊の後頭部を剣の柄で強打!

呻き声を上げ、男はその場に倒れた。

「イール、お前今の…。」

ブラックが嬉しそうに言う。

「これが…!」


先ほどイールが使ったものは高速移動歩法。総称してソニックと呼ばれるものだ。

足に魔力を集中させることで一時的に強力な跳躍が可能。

しかし普通の人がこれをやると跳躍を制御できずに跳び過ぎたり、空へと跳んで行ったりしてしまう。

しかも、戦闘でこれを使用する場合は更に難易度は上昇する。

相手の位置や動きを正確に捉える洞察力と、的確な跳躍が必要になってくるため、

天性の才能と努力を積み重ねることで初めて使うことができるのだ。


そして、その調子のまま他の盗賊たちも捕えて行った…。


空が赤く染まり、

「助かったぜ、イール。」

「ううん、こちらこそありがとう。魔力の使い方を思い出せたし。」

へっ、と鼻を鳴らしてブラックが言う。

「そんじゃ約束通り、一緒に行くぜ、よろしくな!」

イールは笑顔で返す。

「こちらこそよろしく!」

二人は夕日をバックに、しっかりと握手をした…。



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