旅の始まり
記憶を奪われた少年が、記憶を取り戻す旅に出る物語。
更新ペースは月に2~3回くらいだと思います。
拙い小説ですが、よろしければ読んで行ってください。m(_ _)m
ここはシルル村。緑が茂り、鳥がさえずり、小川がさらさらと流れている。
村の端に建っている一軒の家、そこには少年が一人で住んでいた。
「んー、よく寝たー…。」
今は早朝、まだ朝もやが消えきっていないため、夜の寒さが少し残っている。
イールはベッドの上で上体を起こして思い切りのびをした。
「さて、朝食食べてみんなの手伝いしなきゃ。」
本名イルジーク・ルーベンジェイク、17歳、親しい人たちにはイールと呼ばれている。
隣の町:パースの学校を卒業してからは村の人たちの仕事を手伝っている。
幅広くいろんな人たちの仕事を手伝っているが、剣の稽古は毎日欠かしていない。
イールは「シルル自警団団員」だが、帝都の騎士団団長を務める父親に剣術を教わったため、
相当な剣の腕を持っている。
他の団員たちに自警団団長を薦められたが、
自分なんかがおこがましい、と慎ましく辞退し、一団員として所属している。
18歳になったら騎士団の入団試験を受けることができるため、それまではシルル村で過ごすことにしている。
目指すは父親のいる帝都:レインブールの騎士団に入団すること。
剣の稽古を欠かさないのはそのためでもある。
イールの風貌は、金髪で後ろ髪の半分ほどが上に向かってはねていて、
横から見たら箒のような見た目をしている。
眼は二重で瞳は青く、顔だちも整っているが、やや幼げな顔、つまりは童顔である。
村の若い女性はイールに対しては他の村人より別段優しく接している。
童顔パワー恐るべし。
今日も一日いつも通りの生活を送り、いつも通り一日を終える。はずだった。
夜中の1時頃、就寝していたイールは赤い光で目が覚めた。
「え…!?火事!?」
窓の外をのぞくと外は炎で真っ赤に染まっていた。
急いで家の外に出る。
他の家と離れていたためか、イールの家は燃えてはいなかった。
「イール!手伝ってくれ!」
自警団団長のシューバが消火活動を必死に続けながら声をかけてきた。
「はい!」
すぐ手伝おうと駆け出した、その時。
「…!?あれは…。」
視界の端、自分の家の影にフード付きのコートを着た男が立っていた。
体格がよかったためすぐに男だと分かった、だが今はそんなことはどうでもいい。
イールの視線に勘付いたのか、男は森の中に走り去っていった。
「…!団長!怪しい奴がいたので追ってきます!」
イールは言うやいなや、フードの男を追いかけた。
「待て、イール!一人で追うんじゃない!」
団長の制止を聞かず、イールは全速力で走った。
彼は足が速いため、男との距離をぐんぐん詰めていった。
すると、男は振り向いて立ち止まった。
イールもあわてて急ブレーキ、男をきっと睨む。
「お前が犯人か!なんでこんなことをした!」
イールが怒鳴る、だが相手はそんなことは意に介せず一言…。
「時は来た…。やっと…、やっと私の願いをかなえることができる…!」
イールは顔をしかめる。
(何を言って…。)
ガサッ、と近くの茂みで何かが動いた。
「!?」
ばっ、と振り向いたが、そこには一羽の兎がいただけだった。
そしてこの動作が隙を生んでしまった。
再び男と対峙しようと体を反転させる、すると男は目の前にいた!
男の手がイールの顔の前に広げられる。
(後ろに…!早く逃げないと!)
飛び退こうとした瞬間、頭に強い衝撃が走った。
「ぐっ…!」
視界がぐらぐら揺れ、焦点が定まらない。立っていることもままならず、イールは地に倒れた。
朦朧とする意識の中で男を見上げると、手に黒い水晶のような物を持っていた…。
次に見たものは板張りの天井だった。
がばっと起き上がる。周りには団長と村人が数人いた。
「イール、目が覚めたか!
森の中で倒れているお前を見たときは心配したぞ…。無事でよかった。」
団長がそう言うと、他の人たちも笑顔で無事を喜んでくれた。
だが、イールはこの時、信じられない言葉を発した。
「あなたたちは誰ですか…?」
空白と硬直。
「イ、イール、何を言ってるんだ?私は自警団の団長、シューバだ…。」
「すいません、本当に知らないんです…。」
記憶が…。
お互いに顔を見合わせる村人たち。イールは一人記憶の回路を辿る。
だが、全くかすりヒットすらすることなく一通り記憶を巡回した。
ただ、その時にあることに気付いた。
「10歳くらいまでの記憶はあるんです…。でもそこから空白があるみたいな感じで…。
空白のあとは、フードの人が目の前にいる感じの…」
団長は思った。イールの記憶喪失はフードの男が何かしたからに違いない、と。
「自分の名前は分かるか?」
「分かります、僕の名前はイルジークです。」
団長はイールの肩を掴んで言った。
「イール、お前はフードの男を追うんだ。そうすればその空白を取り戻すことができる!」
こうしてイールの旅は幕を開けた…。
読んでくださってありがとうございます、シ皮糸文と言います。
読み方は普通に「はもん」です。
みてみんの方にて同じユーザーIDでイラストも載せておりますが
下手です、ハイ。そして携帯撮りと言うね…。orz
こんなキャラか、という風に思っていただけると幸いです。
投稿が初めてなのでどこかおかしい所があるかもしれません…(´・ω・)
頑張っていくのでよろしくお願いします!