出会い。
「お袋。
俺、バイト行かなきゃ。」
そう言って、俺はリュックを持ち椅子から立ち上がった。
「海人。
ごめんね?
あなたに迷惑かけるつもりなかったのに...。」
「大丈夫だって。
お袋は自分の体の心配しろ。」
部屋の扉を開きながら、
「じゃあ、また明日来るから。」
そう言って、俺はお袋と別れた。
俺の名前は、西崎海人。
17歳。
普通の高校生、なはずだった.....。
俺が高1の時、お袋が白血病になってしまった。
それからの俺の生活は、180度クルっと変わってしまった。
学校を辞めて、毎日バイト。
お袋の入院費を稼ぐ為に。
親父は、俺が子供の頃に亡くなった。
だから、今の俺にはお袋しかいないんだ....。
だから、バイトして金を稼がなきゃいけない。
俺は、腕時計で時間を確認した。
.....やばっ!
遅刻しちゃうかも。
駆け足で階段を下りて、曲がり角を曲がった。
と、その時.....
「きゃっ.....」
「わっ!」
誰か知らない女の人とぶつかってしまった。
「す、すいませんっ。」
慌てて、倒れた人に謝るけど、
倒れたまま動かない....。
「えっ?
だ、大丈夫っすか?」
パニックで、その人を抱き起こしながら声をかけると、
「....助けて....。」
ってか細い声が。
「はい?」
助けて?
どういう事だ?
「岬さん!
またベッドから抜け出して!」
看護婦が、パタパタ走って俺の所に来た。
「ごめんなさいね?
ほらっ!岬さん、帰りますよ。」
看護婦が、女の人の腕を引っ張って立ち上がらせる。
「やだっ!」
そんな看護婦の行動に、泣きながら嫌だと懇願する女の人。
女の人を無理矢理連れていく看護婦。
廊下に取り残される俺。
...一体何だったんだ。
ー助けてー
ー岬さんー
そんな言葉が俺の頭にこびりついて離れなかった。
その後慌てて行ったバイトは、結局遅刻してしまい、店長にこっぴどく怒られてしまった。