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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

君と笑える未来をみたい

作者: les.
掲載日:2026/03/16

こんにちは、les.と言います!現役中学生の初投稿です、是非よんでもらえると嬉しいです、

質問コーナーも受け付けています!


登場人物

大嶋将太朗おおしま しょうたろう

大学2年生。可愛らしい容姿で誰からも好かれる優しい性格。

幼い頃から心臓の病気を抱えており、余命一週間を宣告される。

最後まで二人に真実を隠し、「幸せになれ」と言い残す。


阿久津莉奈あくつ りな

将太朗の幼馴染。大学2年生。

無口で感情をあまり表に出さないが、十年以上将太朗を想い続けている。

最後の瞬間まで彼の手を握り続けた。


金田湊かねだ みなと

将太朗の親友。大学2年生。

明るく面倒見のいい性格。

将太朗の死後、莉奈を支えながら彼との約束を守ろうとする。


章構成

プロローグ

病室


第一章

嘘(将太朗視点)


第二章

隣(莉奈視点)


第三章

親友(湊視点)


第四章

告白


第五章

手紙


第六章

廊下


第七章

葬式


エピローグ

十年後の公園


IFストーリー

奇跡の世界線

プロローグ

白い天井を見上げたまま、大嶋将太朗はしばらく瞬きもできなかった。


 病室には消毒液の匂いが薄く漂っていて、窓の外はもう夕方だった。春の終わりらしいやわらかな光がカーテンの隙間から差し込んでいるのに、医者の言葉だけがやけに冷たく胸の奥に残っている。


「余命一週間です」


 あまりにも現実味のない一言だった。


 まるで誰か別の人間に向けられた言葉みたいで、最初は意味がうまく飲み込めなかった。けれど、医者の表情はどこまでも真剣で、言い直す気配も、冗談だと笑う気配もなかった。


 将太朗は自分の手元を見る。


 細い指先。白すぎる肌。昔から体は強くなかった。少し走ればすぐ息が上がるし、季節の変わり目には必ず体調を崩した。けれど、まさかそんなものの延長線上に「あと一週間」があるなんて思ったこともなかった。


「……そうなんですね」


 ようやく出た声は、自分でも驚くほど普通だった。


 医者は困ったように目を伏せた。


「急激に悪化している。正直、一週間も保証はできない」

「はは」


 将太朗は小さく笑った。

 笑うしかなかった、という方が正しい。


「それ、結構きついですね」


 医者は何も言わなかった。


 たぶん、こういう時に何を言えばいいのかなんて、医者にも分からないのだろう。慰めも励ましも、今は全部薄っぺらく聞こえるに違いなかった。


 病室に沈黙が落ちる。


 将太朗はふと、真っ先に思い浮かんだ顔に苦笑した。


 阿久津莉奈。

 金田湊。


 幼馴染と親友。


 多分あの二人は、今の話を聞いたら泣く。湊は怒った顔で「ふざけんな」と言うだろうし、莉奈は何も言えないまま手を握ってくる気がした。


 どちらも容易に想像できてしまって、将太朗は余計に困った。


 そんな顔をさせたいわけじゃない。


 最後の一週間くらい、なるべくいつも通りでいたかった。できるなら、何も知らないまま笑っていてほしかった。


「……誰か呼びますか」


 医者の問いかけに、将太朗はすぐ首を振った。


「まだいいです」

「ご家族は」

「いないんです」


 短く答えると、医者は一瞬だけ口を閉ざした。


「そうか」

「はい」


 それ以上、話すことはなかった。


 将太朗は再び天井を見上げる。

 白い。どこまでも白い。


 自分の人生が、こんなにあっさり残り時間を区切られるなんて思ってもみなかった。大学二年生。まだ講義も残ってるし、提出してない課題もあるし、三人でまた駄菓子屋でも行こうか、なんて昨日まで普通に考えていた。


 それが、あと一週間。


 やり残したことなんて数えきれないくらいあるはずなのに、不思議と胸の奥に残ったのは、たった一つの願いだった。


 ――あいつらには、笑っていてほしい。


 自分がいなくなった後でも。

 なるべくちゃんと食べて、眠って、春になれば桜を見て、夏になれば暑いと文句を言って、そうやって普通に生きていってほしい。


 特に莉奈は、たぶん無理をする。

 湊はきっと、平気なふりをして後から一人で落ち込む。


 だからこそ、言いたくなかった。


 残酷でも、最後まで嘘つきでもいい。

 嫌われてもいい。

 あの二人がこの先、少しでも生きやすくなるなら、それでよかった。


 その時、病室の外から騒がしい足音が聞こえた。


「おーい将太朗ー」

「……急に倒れたって聞いた」


 聞き慣れた声に、将太朗は小さく息を吐く。


 ずいぶん早いご到着だ。


 医者がドアの方を見る。

 将太朗は一度だけ目を閉じて、それから、いつも通りの笑顔を作った。


 この瞬間から、自分は最後まで嘘をつくのだと、なぜだかはっきり分かった。


プロローグから重いです、、、

今回結構自信作なんで時間があれば読んでいってほしいです!!

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