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優梨の拘束

ピオニー女騎士を呼びに行った未夜(みや)はなかなか戻ってこない。盗み出した封邪の鏡らしき荷物を積み込んだ荷馬車は、イナイライ使節団の本隊を待たずに出発するようすだった。


荷馬車は街道脇の木立に隠れてゆっくり移動していく。それを目で追いながら、優梨(ゆり)は「ミーヤ、ピオニーさん、誰か聞いてる? 荷馬車いまちょうど出発するとこ」と思念伝達(テレパシー)で伝えようとするが魔力反応が起こらない。


「あ、そういえば魔封じの腕輪つけてんだった、これって自分じゃ取れないってピオニーさん言ってたなあ」


仕方がないので見つからないように距離を取って優梨も木立に隠れて荷馬車の後を追う。


早朝に出発した荷馬車は街道を通ってアルフォナム王国との国境へと西に向かって進む。さいわい、荷馬車は人が歩くより遅いくらいの速度で進んで行くので、見失わないで追うのは難しくない。


昼近くになったころ、現場指揮官らしい下級騎士が右手を上げて、荷馬車に従う雑役夫たちを停止させた。


「ここで使節団の本隊を待つ。街道を少し外れた林の入口まで移動して全員休憩せよ」


後をつけていた優梨は足を止めて見つからないように木立の間に隠れて息を殺す。


荷馬車を林の方角に先導して来た騎士は、安全確認をするかのように周囲を見回して視線を配ると、スタスタと優梨が隠れている木立のほうに向かってきた。


見つかったか、と優梨の背筋を一瞬冷たい汗が流れたが、騎士は優梨の隠れている場所から3メートルばかり離れたところから林の中に入り、一本の大樹の影で小用を足しはじめる。


ほっとしたのと、騎士が用を足している様子をじろじろ見るのが気恥ずかしいのとで、優梨は目をそらして騎士が林から出るまで木立に隠れたまま、音を立てず待つことにした。


水音が止んだな、と思った途端、首筋に冷たい剣の感触があった。


「お嬢さん、こんなところでなにをしているのかな?」


捕らえられた優梨がさしたる抵抗も出来ずにいるうちに、イナイライ使節団の本隊も追いついてきた。


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