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念話器通話

「……もし可能なら、あらかじめ国境近くまで移動しておいていただけるとよいかと存じます。姫男爵殿下、わざわざご連絡ありがとうございました」


カーマイン公女はコクリコ姫男爵との通話を締めくくる。


カーマインはアラザール公国を治めるアラザール公の長女。コクリコは、公国の西、国境を挟んだ隣国アルフォナム王国の東端にあるイナイライ男爵領で、父男爵の不慮の事故死ののち、男爵位と領地を継承したばかりの新領主である。


アルフォナム王国の貴族子弟が通うアルフォナム貴族学院に留学したカーマイン公女と、同級生であったコクリコ姫との間には学院以来親交があり、念話器通話でよく情報交換していた。


念話器通話を手伝っていた紫魔導士の綾川(あやかわ)優梨(ゆり)(ねぎら)ってカーマインは言う。


「綾川さん、今朝は本当に助かりました。どうもありがとう。ここがすんだら、騎士団のピオニー女騎士のところに行ってくださいね」


2学期の終業式の朝、名鴨(ながも)県立前照寺(ぜんしょうじ)高校1年B組の全員が、ここアラザール公国へ異世界転移させられてから、はや半月。転移者である同級生たちには、常人の能力を超越した特別な(わざ)や魔法が発現していた。


念話器通話は精神干渉系の紫魔法の初級魔法・思念伝達(テレパシー)魔法の応用なので、紫魔導士なら誰にでもできる。


とはいえ、今日のように長距離・長時間で明瞭さが特別に必要な通話では、常人を遥かに凌駕した魔力量をもつ転移者の紫魔導士・綾川優梨が通話の介助を頼まれることが多かった。


「それでは失礼します」


公女に短く挨拶して、優梨は騎士団事務所に向かう。

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