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2、異世界と港街とギルドと…

やっと異世界に突入する二話目。

ちらほらとこの世界の言葉が出てきたり……

 扉を開け、入った先は一面を木々に囲まれた森のような場所。

 薄暗くはなく、むしろ明るく、そのひらけた一点を照らしているようだった。


蒼「なんだ…ここは…」

ソラ「郊外にある森よ。いきなり人前に出たら大事でしょ?」


 そう言うと、ついて来るよう促し出口へと向かって歩いていく。


 森を抜けると港町が一望できる高台に出た。


蒼「これが…、異世界か…」


 目の前にある景色をみて、蒼の中には感動に近いものがあった。

 港街はつい最近出来たように真新しく、遠くからでも綺麗に見え、その港街を包むように海と平原が辺り一面に広がっている。

 さながら絵画を観ているようなのだ


ソラ「今からあの場所に案内するわ」


 港街にある一際大きな建物に指をさす。


蒼「彼処にはなにがあるんだ?」

ソラ「それは行ってからのお楽しみ」


 微笑みを浮かべてソラは蒼に言葉を返した。




 この港街『アルマーレ』は大陸の玄関口に当たるモノで、そのため人通りは激しく、喧騒と活気に満ちている場所である。


ソラ「着いたわ。ここよ」


 たどり着いた所は先程高台でソラが示した、街の中にあって一際大きな建物だった。


蒼「…ギルド、グラン・ストーク…?」


 建物の入口にある標札を読み上げる。


ソラ「そ、ここは私の所属しているギルドなの!」


蒼「あのさ、それ以前にギルドってなに?」


 頭に?を浮かべてソラに訊ねる。

 蒼の反応は至極当然である。元の世界にはギルドというモノは存在すらしないのだから。


ソラ「そだなぁ、簡単にいうとこの世界における職業安定所みたいな所かな」


 ソラは簡潔に質問を返すと、さらに付け加える。


ソラ「ただ商売をするのなんかにはギルドに入る必要はないんだけどね」


 それを聞いて蒼はナルホドと頷く。


ソラ「それじゃあ入るわよ」


 扉を開けると一人の女性が受付カウンターの椅子に腰掛けていた。


「いらっしゃい、ってソラじゃない。久しぶり!」

ソラ「ミラも元気そうね!」


 ミラと呼ばれた女性、年は20代前半だろうか。栗色の髪をセミロングに伸ばしているなかなか愛らしい女性だ

、どうやらソラとは知り合いのようで軽く談笑をしている。


ミラ「あれ、そっちの子は?」


 談笑の最中、蒼に気づいたようでソラに訊ねる。


ソラ「彼は私の故郷の友人なの」



 ミラはへぇといった顔で蒼に近づいていく。


ミラ「私はミランダ。

 みんなはミラって呼んでるわ。

 よろしくね!」



 そう言うとミラは手を差しだす。それに反応して蒼も手を差し出し、握手をする。


蒼「俺は神代蒼だ。

 よろしく」

ミラ「かみしろ…あお?

 ソラと一緒で珍しい名前ね

 蒼って呼んでいい?」


 蒼がうんと頷くとミラはカウンターに戻り椅子に腰掛ける。


ソラ「それでミラ、今日は彼を雇用登録したくてきたの」


 用件を伝えるが、ミラは首を軽く横に振った。


ソラ「えっ?

 どうして?」

ミラ「今はマスターがいないのよ

 だから登録は出来ないわ」

ソラ「マスターは今どこに?」

ミラ「中央大陸で会議よ」


 ソラがう~んと悩むと


ミラ「でもマスターがいなくても手続きくらいならできるわよ」


 ミラにそう言われると後ろで聞いているだけだった蒼が首を傾げる。


蒼「手続き?」

ミラ「ええ、書類にちょこちょこって書くくらいだけどね」


 ミラがどうする、と問うと


蒼「う~ん、まぁ、書くだけ書いてみるか」


 それを聞いてミラはカウンターの下から書類と万年筆を取り出した。


ミラ「じゃあ、あっちにテーブルがあるから書いたら持って来て」



 二人はミラに言われて、小綺麗なテーブルとソファのある来客用の休憩所に移動した

 ソファに腰掛け、渡された書類をみてみるとそれには名前と性別、年齢などの欄がある至ってシンプルな書類である。

ある一カ所を除いて…


蒼「アルテミューレ?

 なにこれ、なに書くところ?」


 見慣れない単語をみて、蒼は即座にソラに訊ねる。


蒼「ソラ、このアルテミューレってなに?」


ソラ「アルテのこと?

 これは剣士とか格闘家などの職業を指す言葉よ。

 ちなみにここの欄はつきたいアルテを書くの」


 この世界にも略語があるんだなと全くどうでもいい事を考えてると、蒼はあることを思った。


蒼「…どんなアルテがあるか知らないんですが…」


 当然何もわからない蒼はただただ質問するしかない。

 ソラは立ち上がり本棚にある一冊の辞典を取り出すとそれを蒼に差し出した。


ソラ「口で説明するよりも、これを見て決めた方がいいよ」


蒼「ああ、ありがと!」


 手渡されたモノは辞典というには少しばかり薄いものだ。

 しかし中身は一つ一つのアルテの事をしっかりと要点を外さずに書き綴っている。


蒼「へぇ、いろんなのがあるんだなぁ」


 ページをパラパラっとめくりながらどんなアルテがあるのか目を通していく。

 三分の一程読み終えた頃、あるページを開いた時にソラがページを指しながら口を開いた。


ソラ「私はこのアルテに就いてるの」

蒼「ウェポン…マスター?」


 蒼が開いたのは錬装士ウェポンマスターと記されたページだった。

 様々な武器を使いこなし、魔法もある程度つかえるためどんな状況も打開できる展開力をもつオールマイティーなアルテ。 しかし熟達するには相応の修練が必要となる。


蒼「…なんか、ソラって凄いな」


 錬装士の情報をひととおり目を通した蒼は、ソラの方を向き関心する


ソラ「わ、私の事よりも、早く決めちゃいなさい!」


 いきなり褒められて照れているのか、顔を赤らめながら蒼を急した。




 ある程度読み終えた蒼は疾風剣士ウインドナイトのページに目を付けた。

 主な武器は剣で、緊急時のためにダガーも扱うことができる。基本的な役割は剣士と変わらないが、戦術に大きな違いがある。

 風の力をその身に纏い高速戦闘を展開するため、避けて当てる戦法を得意としている。風属性の魔法も使うことが可能になる。 反面、速度戦闘が主になるため重装備が出来ず、そのため打たれ弱く魔導士ビショップなどを守るのは不向きである。


蒼「この長所と短所が剣士との最大の違いといえよう…か。

よし、決めた!

俺これにするよ」


 ソラがどれどれっと言い、疾風剣士の項目を覗く。


ソラ「うん、良いんじゃないかな!」


 ソラも賛成してくれたようで、早速書類に書き込んでいく。


蒼「後はミラさんに渡すだけだな」


 ミラに提出するため二人はミラの元に向かい書類を手渡す。。


ミラ「はい、確かに受け取ったわ。

これで手続きは終了ね」

ソラ「じゃあ、ミラ。

来たばっかで悪いんだけど今日は帰らせてもらっていいかな?」

ミラ「あいよ~。

お疲れ様ァ」


 ミラはカウンター越しに手を振って見送る。

 ソラは手を振り返し、蒼は軽く会釈をしてからグラン・ストークを後にする




 グラン・ストークを出てから、ソラは蒼にこの街を案内をしていた。

 元の世界とは違い、喧騒と活気に満ちているこの街は蒼に取って珍しいものばかりだ。目をランランと輝かせあらゆるものに興味津々な蒼にソラがいろいろと解説をしているのが見える。二人共、とても楽しそうである。

 武器屋は当然、あちらの世界にはない店の一つだ。剣や斧などに興味があるのは流石男の子といったところだろう。 他にも蒼の背丈と同じくらいの干し肉や星形の木の実から採れるジュースのような飲み物などがある。


気がつけば日は完全に暮れ、二人は港街アルマーレを見渡した高台に立っていた。


蒼「ここは良い世界だな」

ソラ「そうだね。

みんな生き生きしてる」


 会話の後ソラは体育座りになり蒼に聞きたかった事を聞く。


ソラ「ねぇ、蒼。

蒼はいきなりこの世界に連れてこられて迷惑だったかな?」


 蒼もソラの隣に座り


蒼「別に迷惑じゃねぇよ。

逆に感謝してるくらいだ」


 蒼は無垢な笑顔を見せてソラに感謝の言葉を伝える。


ソラ「でもね、私は君を連れてきたりギルドにいれようとしてるのを少し後悔してるかもしれない」


 蒼から笑顔が消えていく。ソラは下を向き俯きながら言葉を発する。


ソラ「私が君の人生をめちゃくちゃにしちゃうかもしれない…。

もしかしたら魔物に殺されてしまうかもしれない…。

さっきの街での君の笑顔を見ていたらそんな事が浮かんで、怖くて、怖くて仕方ないの…」


 不安に押し潰されてしまう程の震えた声で蒼に思いの丈を告げた。


蒼「……ソラ、顔をあげて」


 ソラをみて少しでも不安を和らげようと優しく声をかける。

 ソラもその声に反応して顔をあげるが


ソラ「……痛い」




 額を軽く小突かれた。その蒼の予想外の行動にソラはキョトンとした顔で蒼を見返す。その蒼は軽く微笑んで


蒼「あのなぁ、人生なんか自分で作っていくもんだろ? 他人が介入したくらいでむちゃくちゃになっちまうくらいなら俺の人生は所詮そのぐらいの価値だったってことだ。

それに魔物なんかに殺されるヤワな俺じゃねぇよ」


 すると今度は一転して真剣な顔つきで


蒼「確かに誘ったのはソラだけど、この世界に行くといったのは間違いなく俺の意志だ。

ソラが悩む事も後悔する事もないんだ。」


 きっとこの一言でソラの心は救われたんだと思う。もう彼女の顔からは暗い表情は消えて、かわりに太陽のように明るい笑顔が照らされていた。





 あの後、元の世界に戻りソラと別れて家路についた

 明日は休日ということもあり、早朝に丘の上公園に集合してあちらに行くそうだ。そうそう、あの世界にはクレスティアという名前があるとソラが言ってた。


 あの時クレスティアに旅立つ前、ソラが俺に『一緒に行ってくれますか』と言ったとき、思ったんだ

 この扉の先に何があるのか分からない。でもここで如月をなかった事にして日常に戻っても何も変わらない。だったらその異世界に行って自分を変えてやるっ、てさ

 だから俺はソラについていったんだ、何もできなかった自分と決別するために。


 それにしても今日はいろいろな事があった一日だったなぁ。ふぅ、明日も早いからな、もう寝よう。多分明日も永い一日だろうから

無駄に分けた一話に対して、二話からは一部にしてお送りします。


さて本編の方は最後に異世界の名前がでてきたりしましたが、やっぱり展開の無理やり感が否めませんねぇ。当分の間はコレを直すのが目標にしたいと思います。


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