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1、ここじゃない世界Ⅳ

如月「言いたい事があるの」


--ドクン、ドクン--


 胸の鼓動がいつもの倍以上高鳴っているのがわかる。


如月「私と一緒にーー」


(わ、私と一緒に?)


 予想だにしない言葉の続きに胸の鼓動がクールダウンしていく。


如月「異世界に行ってみない?」

蒼「……え、なんだって?」


 『異世界』という耳を疑うような単語を聞いた蒼は聞き返す。


如月「だから、異世界にいこうよ!」

蒼「ちょ、ちょっと待て、なんでいきなりそんな『異世界』なんて単語が出てくるんだよ!?」


 屈託のない笑顔で言う彼女にすぐさま説明を求めた。


如月「屋上で退屈って言ったから」



 先程とは違い、今度は淡々と答える。


蒼「はぁ? だったら此処に呼んで言わなくてもいいだろ」

如月「このシチュエーションで話すから意味があるんだよ!」

蒼「シチュエーション~? なんだそりゃ」

如月「夕陽を背景にすることによって、相乗効果的なものがうまれるんじゃないかなぁって思ったの!」


 呆れ口調で聞く蒼に如月はニコッとして答えた。


蒼「アホくさ。そんなもんどこで聞いたって同じだろ」

如月「え~、そうかなぁ? 少なくともさっきの神代くんはときめいてるように見えたよ」


 ニタ~っとした悪意のありそうな笑顔をして蒼を見る。


蒼「なっ! ソ、そんなわけねぇだろ!!」


 図星を突かれた蒼は声を荒げる。

 そんな蒼を見て、如月は笑顔を零す。


蒼「そ、それよりも話を戻さないか?」

如月「…ま、いいよ」

 強引に話を戻す蒼に、彼女の顔に笑みが消えていく。


蒼「異世界に誘うってことは行き方を知ってるってことだよな?」

如月「うん。知ってるよ」


 蒼の問いかけに対して、特に隠すわけでもなく、さらっと答える。


蒼「それで、どうやって行くんだ?」

如月「空間に穴をあけるんだよ」

蒼「空間に…穴?」


 これまた、突拍子もない言葉に蒼は一つの結論に達する。


蒼「やっぱりからかってるだろ」

如月「う~ん、やっぱりその反応かぁ」



 まるでわかっていたかの様に応えた。


蒼「いや、誰だってこう言うと思うぞ」


 蒼の言葉を聞いた如月は「そうだよねぇ」と肩を落とす。

 すると如月は蒼から少し距離をとる


如月「それじゃあ、証拠をみせてあげるね」


 軽く深呼吸してから目を閉じて集中し、右腕を胸の前にかざすようにして上げ、こう呟いた。


如月「世界と世界を繋ぐモノよ、我が声を聞き、道を示せ…」


 そう言い終えると、数秒もしない内に蒼の目の前には有り得ない光景が映る。


蒼「空中に亀裂が……」


 常識的に考えれば空中に亀裂など出来るはずがない。

 だが彼の眼前でそれは現実と起きている。


 そして亀裂はガラスが割れるような音を立て崩れると中から左右に細長いドアノブのついた両開きの扉が出てくる


如月「どぉ、これで信じる気になった?」


 呆気としている蒼に如月は得意気になる。


蒼「こんなモノ見せられちゃ、信じない訳にもいかねぇな…」


 この時、蒼の心中に、ある一つの考えが生まれた


如月「じゃあ改めて、私と一緒に『異世界』に行ってくれますか?」


 如月は再度聞き直した。

 何故ならここから先は遊びじゃない、下手をしたら命を落とすかも知れない。

 そんな場所に連れていくのは本当は嫌! だから彼が嫌だと言うなれば諦めようと、彼女の心はそんな思いで溢れていた。



蒼「俺を連れて行ってほしい」


  短く、だけど決意が滲み出ているような声だった。

 それを聞いて如月は「わかった」と返し、頷く。


 二人は扉の前に立つと左右のドアノブに手を触れた。


蒼「あのさ、できれば俺の事は名前でよんでほしいんだ」

如月「じゃあ、私の事もソラって呼んで」


 二人は互いに頷きながら、扉を開けて光に包まれていく。


ソラ(信じてくれて、ありがとう。蒼)


 自分を信じてくれた彼にソラは心の中で感謝するのだった。

一話が終わりました~!

主人公が如月ソラに誘われて、異世界に旅立つというのが一話の内容だったんですが、個人的には最後が少し無理やりだったかなと思います。



ただソラに関しては、自分で誘っておいて本当は連れていくのは嫌って、なんだそりゃと感じる人がいるかもしれませんが、それは二話以降になれば分かると思うのでしばらくお待ち下さい。

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