獣人族の代表者達
シェリルに会議室の使用許可を出してから少しすると、皆が揃ったということで僕達は会議室に移動した。
会議室に入室すると、獣人族の代表者として選ばれた子達が僕達に振り向き一礼してくれる。
皆に顔を上げてもらうと僕は、ニコリと微笑んだ。
「さて、お待たせ。改めてリッド・バルディアです。知っているとは思うけど、改めてこちらの二人も紹介するね」
僕は言いながら、カペラとディアナに視線を向けた。
すると、二人は静かに一歩前に出て彼らに会釈をする。
「改めて、私はバルディア家に仕えるリッド様の従者。ディアナです」
「同じく、リッド様の従者、カペラ・ディドールです」
二人が口上を述べると獣人族の子供達は、会釈や一礼を見せている。
彼らなりに礼儀を尽くそうとしている様子はとても良い傾向だろう。
口上を述べた二人も、ディアナは微笑みを皆に見せ、カペラは無表情だが雰囲気は優しい。
僕は、咳払いをして注目を集めると話を続ける。
「じゃあ、次は君達に自己紹介してもらってもいいかな?」
僕の言葉に獣人族の子供達は頷くと、一人ずつ自己紹介を行う。
兎人族のオヴェリアとアルマ、ラムルから始まるが、代表者と言っても一人ではないらしい。
兎人族の代表者はオヴェリアだが、会議などになると彼女だけでは心配だと、アルマとラムルが付いてきたそうだ。
オヴェリアは「失礼な話……です」と口調に気を遣いながら、仲間の二人に悪態を付く。
慣れない姿を見せる彼女に、僕は思わず苦笑する。
獣人族の子達の自己紹介は狐人族のノワール、ラガード、鳥人族のアリア、エリア、シリアと続く。
猫人族のミアが行うと、彼女の横にいる猫人の少女が少し気ダルそうに自己紹介を始める。
「猫人族のレディ……です」
「同じく、猫人族のエルムです。今後はよろしくお願い致します」
レディという猫人族の少女と違い、エルムは礼儀正しい男の子だ。
少し気になり尋ねると、エルムは元商家だったらしいが潰れてしまい、スラムに流れ着いたという。
レディとミアに出会えなければ、野垂れ死んでいたとエルムは笑いながら話してくれた。
しかし、彼の言葉に対して怒ったのがその二人である。
「うっせぇ‼ エルム、大体テメェが人攫いに捕まるドジを踏んだから、あたし達はここにいるんだろうがよ」
「そうだぜ。ここでもあんなドジしたら、俺は助けねぇからな」
レディとミアの怒りの形相と悪態にエルムはたじろぐが、すぐに笑みを浮かべる。
「そ、そんな……でも、二人共ここに来られたから結果オーライじゃないか」
「それとこれとは別問題だ‼」
猫人族の少女二人は息のあった様子でエルムに声を荒らげている。
その時、ディアナが咳払いをして「もうその辺で良いでしょう」とミア達をニコリと一瞥する。
その瞬間、ミアとレディの表情がサーっと青ざめて、借りて来た猫のように静かになった。
しかし、エルムは笑みを浮かべたまま、ディアナに一礼している。
エルムは中々に図太い子のようだ。
その後、自己紹介は狼人族のシェリル、ベルジア、アネットと続き、熊人族のカルア、アレッドが行う。
熊人族のアレッドは、体格は良いが少し気弱そうな感じの男の子だ。
その後も自己紹介は続いていく。
馬人族からは受け入れの馬車で出会っているアリスとディオ。
猿人族からはトーマとトーナの兄妹。
狸人族はダン、ザブ、ロウの三つ子の美少年。
鼠人族はサルビア、シルビア、セルビアの三姉妹。
最後を飾る牛人族は、熊人族のカルアに負けず劣らずの体格をしている種族だ。
すでに小柄な大人と変わらない女の子が自己紹介を始める。
「え~、こうしてご挨拶させて頂くのは初めてですねぇ。私は、牛人族のベルカランです」
ベルカランと名乗った女の子に続いて、彼女と比べると少し小柄な男の子が自己紹介を始める。
ちなみに、小柄と言っても彼の身長は僕と変わらないかそれ以上はある感じだ。
「僕は、牛人族のトルーバ……です」
「あ~、そうそうこのトルーバ君が牛人族の代表なのです。私、ベルカランは補佐なのですねぇ。皆さん、よろしくお願いします」
二人は自己紹介が終わると僕達に向かってペコリと頭を下げる。
僕は、自己紹介をしてくれた皆を見渡してニコリと微笑んだ。
「皆、自己紹介ありがとう。次は僕から、これからの君達にお願いすること、やって欲しいことをもう一度、説明するね」
この間、大会議室で話したことに加えて、僕は今日から皆に実施することを伝えていく。
こうして、本当の意味での事業計画が始まったのであった。
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