表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます【書籍&コミカライズ大好評発売中】  作者: MIZUNA
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/755

心境の変化

鉢巻戦の翌日……。


目を覚ました僕は、部屋を見渡して「あれ……?」と目を擦っていると母上から「ふふ、おはよう、リッド」と声を掛けられて目を丸くする。


同時に、母上の部屋でぐっすり寝ていたことを自覚した僕は、顔を真っ赤に染めた。


さらに、間の悪い事にメルが母上の部屋に訪れてきて「にいさまだけ、ずるい‼」と怒られてしまう。


その後、母上の助けも借りて、メルを宥めることに何とか成功する。


朝食の時には、父上から何やらニヤニヤとした視線を向けられていた気がしたけど……僕は、あえて聞かないようにするのであった。


朝食が終わると、僕は宿舎へ向かう為の準備に取り掛かる。


鉢巻戦が終わった後の獣人族の子供達のことが気掛かりだったからだ。


決して、母上のベッドで寝ていたことが、気恥ずかしかったからじゃないからね?



ディアナと二人で宿舎に辿り着くと、何やら今までと少し雰囲気が違う。


何と言うか、前よりも明るくなった感じだ。


そして、すれ違う獣人族の子達は丁寧に挨拶をしてくれる。


僕が、にこやかに挨拶を返すと何やら皆『パァっ』と明るい顔をしている感じがするんだよね。


何かあったのかな? 疑問を抱きながら執務室を訪れるとカペラが出迎えてくれる。


「おはよう、カペラ。昨日はありがとう。それで、何か変わったことはあったかい?」


「リッド様、おはようございます。いえ、特にありません。あと、夕食をご指示頂いた通りにいつもより豪勢にしたところ、子供達は皆大変喜んでおりました」


「そっか。それなら良かったよ。あと、少し宿舎の雰囲気が明るくなったね」


カペラは、少し考え込む仕草を見せてから呟いた。


「それは、昨日の『鉢巻戦』の結果により、獣人族の子供達がリッド様に対して畏敬の念を抱いたからでしょう」


「あはは、それなら鉢巻戦をしたかいがあったかな」


僕は彼の言葉に笑みを浮かべて答えた。


彼らが一筋縄でいくような子達ではないのは承知している。


だけど、良い傾向ではあるだろう。


そう思っていると、ディアナが淹れたての紅茶を置いてくれた。


「ありがとう、ディアナ」


「とんでもございません」


彼女が会釈をした時、執務室のドアがノックされる。


返事をすると、狼人族のシェリルが入室してきた。


彼女は凛とした真面目な顔をしていた為、何事かと思い問い掛ける。


「やぁ、シェリル。今日は、どうしたんだい?」


「はい。実は各種族の代表者を選別致しました。そして、改めてリッド様に皆が御挨拶をしたいと申しております。差支えなければ、少しだけお時間を頂戴できないでしょうか」


「それはいいけど……皆、急にどうしたの?」


その後、シェリルはゆっくりと説明を始めた。


何でも、昨日の鉢巻戦が終わって僕達が屋敷に戻った後、シェリルやオヴェリア、カルアやノワール達が中心となり、彼らは彼らなりに色々話し合いをしたらしい。


その結果、獣人族の子供達は何があっても僕に付いていくことを決めたそうだ。


シェリルは決意した面持ちで言葉を続ける。


「皆、リッド様の人柄や強さに惹かれております。先日のご無礼をお詫びし、改めてご挨拶をさせて頂きたいです」


先日の無礼とは大会議室でのやりとりなどだろうか? そんなに気にしていなんだけどな。


でも、そうか、僕に付いてきてくれると決めてくれたのはとても嬉しいことだ。


僕は、ゆっくりと頷いた。


「うん、わかった。それじゃあ、会議室に皆を呼んでもらってもいいかな」


「はい、承知しました」


彼女は僕の言葉に頷くと、執務室を後にする。僕は座っていた椅子の背もたれに背中を預けながら、天を仰ぎ呟いた。


「ふぅ……鉢巻戦のおかげだね。思ったより、色々と前倒しにできそうだよ」


僕の呟きに、カペラとディアナも同意するようにニコリと微笑んでいる。


「そのようですね。才能豊かな子が多いですから……私も『武術訓練』が今から楽しみです」


「ふふ……バルディア家に忠誠を誓う者として、彼らにもそれに恥じない『強さと礼節』を身に着けさせて見せましょう」


二人は微笑んでいるが、何やら真っ黒な狂気じみた雰囲気を醸し出している。


恐らく、以前から話していた『レナルーテとバルディア』の技術を混ぜ合わせた武術を教え込むつもりだろう。


僕はやれやれと首を横に振った。


「はぁ……戦闘集団を作り上げるわけじゃないんだからね……やり過ぎないように注意してよ?」


「……承知しております」


「勿論、心得ております」


 

この時だけ揃った仕草で返事をするディアナとカペラの二人に、僕は思わず不安顔を見せるのであった。








本作を読んでいただきましてありがとうございます!

少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

差支えなければブックマークや高評価を頂ければ幸いです。


評価ポイントはモチベーションに直結しております!

頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張る所存です。

これからもどうぞよろしくお願いします。


【お知らせ】

2022年7月8日、第10回ネット小説大賞にて小説賞を受賞致しました!!

本作品の書籍化とコミカライズ化がTOブックス様より決定!!


書籍が2022年10月8日にて発売致します。

現在、TOブックスオンラインストア様にて予約受付中です!!

※コミカライズに関しては現在進行中。


【その他】

※注意書き

携帯機種により!、?、‼、⁉、など一部の記号が絵文字表示されることがあるようです。

投稿時に絵文字は一切使用しておりません。

絵文字表記される方は「携帯アプリ」などで自動変換されている可能性もあります。

気になる方は変換機能をOFFするなどご確認をお願い致します。

こちらの件に関しては作者では対応致しかねますので恐れ入りますが予めご了承下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >カペラとディアナも同意するようにニコリと微笑んでいる。 カペラさん、大分普通に笑えるようになってきたんだなぁ、とほっこりしました
[一言] 戦闘集団もやりすぎないようにもお前が言うなすぎるぜリッドくん様… リッドくんが自重しないから皆のびのび仕事できてるから良し悪しですけど自覚はしたほうがいいかなあ、とは思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ