表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます【書籍&コミカライズ大好評発売中】  作者: MIZUNA
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

234/756

鉢巻戦閉会

「ふぅ……終わったかな?」


僕は残った魔力で『電界』を使い武舞台上に誰か残っていないか確認する。


「うん……どうやらいないみたいだね」


念のため、周りを見渡して目視もしてみるが立っているのは僕だけのようだ。


確認が終わると、僕はカルアが着水した場所に足を進めて行く。


すると、丁度彼が水堀から上がろうとしていた。


「やぁ、もう少しだったのに残念だったね」


僕は彼に声を掛けながら手を差し出す。


カルアは僕の手を取り武舞台に上がると、僕を見て少し悔しそうな面持ちを浮かべた。


ちなみに、彼の獣化はすでに解けている。


「……まさか、右手に魔力を込めておきながら囮にするとは思わなかった。あの魔法……なんと言ったかな?」


「あはは……右手で繰り出した魔法は、君の注意を引くために思い付きで創ったんだよ。左手で放った魔法は、僕の従者が以前見せてくれた魔法さ」


カルアが僕の説明を聞いて目を丸くしたその時、会場全体から健闘を称える歓声と拍手が鳴り響く。


また、僕達にダイナス、クロス、ルーベンスの三名が近寄ってくる。


その中で代表するようにダイナスが一歩前に出るとニヤリと笑う。


「リッド様、さすがでございますな。実に見応えのある良い鉢巻戦でしたぞ」


「はは……ありがとう、ダイナス。でも、さすがにヘトヘトだよ」


僕がダイナスに苦笑しながら答えると、彼はニコリと微笑んだあと観客席に振り向き声を張り上げた。


「鉢巻戦、初代勝者はリッド・バルディア様である‼ 勝者と敗者の健闘を称え改めて、大きな拍手を頂きたい‼」


彼の一言で、観客席からは改めて大きな歓声と拍手が鳴り響く。


そして、彼は僕に片目を閉じてウィンクをすると、観覧席に視線を向けると再度、声を張り上げる。


「では、鉢巻戦の終了に伴いバルディア領領主、辺境伯ライナー・バルディア様よりお言葉を賜ります」


ん? そんなこと段取りにあったかな? 


僕は思わずダイナスに怪訝な視線を向けるが、彼はニヤニヤしているだけだ。


すると、観覧席にいる父上がニコリと僕に微笑みかける。


父上は、どうやら間違いなく怒っているようだ。


父上は、咳払いをするとダイナスに負けず劣らず声を張り上げる。


「本日の試合は、皆が日々仕えている我らバルディア家が如何な存在なのか。そして、バルディアに迎え入れる獣人族の可能性を示すものだ。獣人族の受け入れに、内心懐疑的な者もいただろうだが、その必要性は十分に伝わったと思う」


父上は、声を張り上げる中で僕をちらりと見るが、その一瞬で僕は背筋に戦慄が走った。


やばい、過去最高に怒っているかもしれない。父上はその後も会場全体に話を続ける。


「また、この場にいる者は皆、我がバルディア家によく仕えてくれている。皆に改めて、我がバルディア家に仕えていることを誇りに思ってほしい。何より、我が息子がいる限りバルディア領は安泰だろう。それは、皆が目にした通りだ。最後に、今回の試合内容は緘口令を敷く、心せよ。以上だ‼」


ダイナスは、父上の言葉が終わると観覧席に向かい一礼する。


そして、顔を上げると声を張り上げた。


「では、これにて終了としますが、リッド様よろしいでしょうか?」


「え……あ、うん。そうだね、じゃあ一言だけ」


僕はダイナスに問い掛けられると頷き、深呼吸をすると声を張り上げた。


「改めて、リッド・バルディアです。今日の鉢巻戦を見に来てくれた皆、それに参加してくれた獣人族の皆にまずお礼を言いたいと思います。皆、協力してくれてありがとう」


観客席と獣人族の皆が集まっている場所を、順番に視線を移しながら僕は説明を続けていく。


「それから、『魔法』は修練すれば誰でも使えるようになります。僕が特別なわけではありません。これから、獣人族の皆には様々なことを学んでもらい、バルディアに貢献してもらうつもりです。どうか、バルディア家に仕えてくれている皆は温かく見守って下さい。また、獣人族の皆にはバルディアを新しい故郷と思ってほしい。以上です」


言い終えると同時に、観覧席の父上が拍手をするのが見えた。


それは、瞬く間に会場に伝播していき、拍手が武舞台まで鳴り響いていく。


僕は流石に少し照れくさくなり、少し俯いてしまう。


その時、ダイナスが咳払いをして声を発した。


「これにて、第一回鉢巻戦は終了。各自解散……以上‼」


その時、僕は「ん?」とダイナスの言葉に首を傾げた。


第一回? はて、二回目の予定はないけどな。


しかし、この『鉢巻戦』は緘口令が敷かれるも、バルディア家に仕える者達から開催を熱望する嘆願書が父上に提出される。


その嘆願書には鉢巻戦開催による収益、集客効果、モチベーションアップなど様々利点の記載がありとても素人が作ったものではなかったらしい。


止むなく父上は、規模を縮小した鉢巻戦の開催を検討することになるが、それはまた別の話である。







本作を読んでいただきましてありがとうございます!

少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

差支えなければブックマークや高評価を頂ければ幸いです。


評価ポイントはモチベーションに直結しております!

頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張る所存です。

これからもどうぞよろしくお願いします。


【お知らせ】

2022年7月8日、第10回ネット小説大賞にて小説賞を受賞致しました!!

本作品の書籍化とコミカライズ化がTOブックス様より決定!!


書籍が2022年10月8日にて発売致します。

現在、TOブックスオンラインストア様にて予約受付中です!!

※コミカライズに関しては現在進行中。


【その他】

※注意書き

携帯機種により!、?、‼、⁉、など一部の記号が絵文字表示されることがあるようです。

投稿時に絵文字は一切使用しておりません。

絵文字表記される方は「携帯アプリ」などで自動変換されている可能性もあります。

気になる方は変換機能をOFFするなどご確認をお願い致します。

こちらの件に関しては作者では対応致しかねますので恐れ入りますが予めご了承下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これが天下一武道会のはじまりなのかしら……
[一言] 娯楽もそうだけど、チーム戦にすれば競技兼ねた兵士の鍛錬にも使えそうですからね。 ただの見せ物と思われる人も居るけど、平時にこれ位家の兵は強いと示すのも治安維持に役立ちそうですし
[一言] 鉢巻を取り合う描写少なすぎて、ただの模擬戦?みたいでしたね 鉢巻は必要だったのか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ