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第6話 庭づくりの始まり ※やっと重い腰を上げる

 夏のアクシデントを乗り越え、その後は定期的に草刈りをしつつ、庭の状態を維持してきました。

 そして、夏が終わり、秋が過ぎ、あれほど旺盛だった草はほとんど生えなくなっていました。

 さらに、冬が終わり、春を迎える頃には、完全に腰の状態も安定し、落ち着いて庭のことを考えられるようになりました。



 この春には別の部署への転勤が予定されています。

 新たな職場はこれまで全く経験のない職種にはなりますが、そちらで勤務をした経験のある先輩方の話を伺うと、どうやら、今までのようなブラックな環境からは解放されそうです。


 と、いうことは、場当たり的に対応するしかなかった今までとは違い、計画的に庭の整備を行う余裕もできるのではないでしょうか。



 そして、1年後の春には子どもが小学校に上がる予定です。

 現在、子どもは私立の保育園に通っている(※近隣でそこしか空きがなかった。)ため、近場に友人がおらず、誰かが遊びに来ることはありませんでした。


 しかし、小学校は近隣の公立小学校に入学する予定です。現在の家はそこそこの規模の新興住宅地にあるため、友人が訪れる機会も増えることが予想されます。

 そんなときにこんな石ころだらけ、雑草だらけの庭では、見た目云々以前に危険で遊ばせられません。


 危険を理由に子どもに友人ができないなどということがあってはたまりません。

 そこで、今年1年かけてなんとか整備を進めようと考えました。



 整備の目標は、『子どもたちが遊びに来られる庭』です。





 まず、庭造りを始めるにあたっては、現状を把握することにしました。


 我が家は正面が南南西を向いており、家屋は北北東側サイドの中央付近に建っています。

 敷地の東南東部分は駐車場。屋根はありませんが、ほぼコンクリートで覆われているため、素人が手を加える余地はほとんどありません。


 敷地の土の部分(※いわゆる庭の部分です)は、L字型になっていて、南南西から西北西にかけて広がっています。そして、西北西の隅の4㎡ほどのスペースに物置が設置され、そこには農具や自転車等が収納されています。


 また、前にも触れたとおり、家屋の周囲の幅1mほどはコンクリートの犬走りで覆われています。


 なお、庭は駐車場より30cmほど高くなっていますが、特段の排水設備等は設けられていません(注1)。そのため、雨が続くと低いところに水がたまりやすい傾向にあるのですが、かといって地面がいつもじめじめしているわけではなく、雨が降らない時期はカチカチの乾いた状態になっていることもあります。


 周囲の状況としては、駐車場のある東南東は、それなりの広さの道路に面していますが、その他の方角は民家に囲まれています。

 西北西と北北東の建物は、距離等の関係で考慮に入れる必要はありませんが、我が家の正面にあたる南南西は昨年家屋が建った影響で、広い範囲が半日陰になってしまいました。


 また、転勤により多少の余裕が出ましたが、私の基本的な職種は休日出勤・サービス残業当たり前のブラックな現場です。なるべく手入れに手間がかからない作りにしないと、転勤でもとの職場に戻った場合、忙しさにかまけているうちに、気付いたら昨年のように手の施しようがない草むらになってしまう可能性があります。


 そして、子どもが遊んでも大丈夫なようにするために、植物によるグランドカバーを施したいと考えました。


 人工芝のほうが草取りの手間が省けてよいと思われるかもしれませんが、実は人工芝上で転ぶと、結構ひどいけがをすることがあるらしいのです。これは近所で人工芝を張っている業者さんが実際の傷(結構血が出ていた)を見せながら話してくれたので間違いありません(小さい子どもがいるならやめた方がいいとも言っていました)。当然、砂利やコンクリートによる舗装は論外です。


 踏みつけに耐え、半日陰でも日向でも育つ、乾燥にも湿潤にもそれなりに強い植物で庭中を覆う。そのために、まず庭を土壌改良し、植物が植えられる環境を整える。これが目標となりました。



 では、『手軽に庭中を覆ってくれる、踏みつけに耐え、半日陰でも日向でも育つ、乾燥にも湿潤にもそれなりに強い植物』とは何でしょう?

 ちなみに、この条件を見て、植物に詳しい人ならこう思うでしょう



「そんなのねーよ!!」と。



 ところが、そこは素人の浅はかさ、きっとあると信じて探してしまったのです。そのうえ、この条件に一番合いそうな感じの植物であろう芝を、芝刈りは面倒だし、結構間から雑草が生えるし、ちくちくするのも嫌だ。と、最初から除外してしまいました。



 これらの条件を満たすのではないかと考え、最終的に選んだ植物は『クラピア』です

挿絵(By みてみん) 

※これがクラピアです



 『クラピア』は、宇都宮大学の先生が日本の在来種を品種改良した植物で、広がる速度が速く、芝よりも日陰に強く、根付けば水やりも不要。芝と違って葉が丸いのでちくちくしない。そして葉が丸いことで雑草の種が地面に届きにくい。さらに種ができないので広げたくない場所に広がらない。踏みつけにも強いどころではなく、踏めば葉が細かくなってよりしっかりと根付く。いった利点が幾つもあるようです。


 難点は、ちと値が張る(40株で2万円超)こと、蒸れると病気にかかりやすいため、刈り込みの必要があること、などがありました。が、病気の所は土ごと掘り取り、新しい土を入れてやれば、すぐに周囲の葉が成長して地面を覆ってしまうらしいですし、芝だって刈り込みの必要はあります。それを考えればまさにスーパーグランドカバー植物です。


 そのような思考の下、某年四月某日。将来への希望に燃えて庭への導入を決めたのです。







 クラピアの導入を決めた私がまず始めたのは土壌改良でした。



 数年前挫折したアレですが、少なくても植物がきちんと育つ安全な庭にするには欠かすことのできない作業です。


 庭の土の状況を考えると本当は50~80cmぐらい掘り起こして土壌改良した方が良いのですが、そこまでするのは面倒だったので、掘り起こすのは20~30cmにしました(注2)。

 そして、掘り起こしたら、出てきた土を踏み砕き、ふるいにかけて石やコンクリート等の異物やスギナの地下茎等を取り除きます。

 その後、赤玉土、腐葉土、苦土石灰をなど混ぜて埋め戻す。そんな流れで進めることにしました。


 クラピアの植え付け適期は初秋まで。それ以降は冬枯れの時期につながるので、成長が止まってしまいます。そういったことも加味しながら計算すると、今年中に庭全面を覆うためには、遅くても5月の連休までには第1弾の植え付けを行わなければいけません。


 そのために、4月の第3日曜までに40株を植え付けられるだけの面積について、土壌改良を行う計画をたてました。








 4月の最初の休日。いよいよ土壌改良スタートです。


 土壌改良を開始したのは庭がL字に曲がる頂点からでした。ここは道路から見通せるため、周囲から庭が整っていくのがわかる位置です。


『道路側に向かってどんどん掘り進めていけば、出た石などのガラを持ち出すのに都合がいい。クラピア自体も成長するので、両サイドに伸びられる位置から始めれば経済的だ。これは良いアイディアだ。』


この時はそう思っていました。(意味深)




 コ○リで買ってきた土起こし器を地面に刺し、足で踏んで全体重をかける。引き倒す。掘った土は踏みつぶして細かくする。目に見えるガラは取り除く。これを繰り返し、ある程度の山ができたら篩って穴に戻す。穴の中に赤玉土と腐葉土、苦土石灰を加えて混ぜる。


 この作業を休日のたびにした結果、4月の第3週の終わりには、第1期植え付け地域に予定していた、庭の土の部分全体の1/4の土壌改良を済ますことができました。




 予定通りの作業の進展に頬が緩みますが、予期せぬことも起こっていました。石の捨て方です。


 私はてっきり危険物または不燃物で捨てられるものと思っていたのですが、地域のゴミ捨てハンドブックによると石やコンクリート片は回収できないものだとのことでした。

 その上、これらは大量に出てきます。これを全部業者に回収してもらっていては大変な散財です。


 どうにか減らす方法はないかと考えたとき、庭の隅の物置の周りに撒いて、砂利の犬走り代わりにするのはどうかと思いつきました。

 10cm以上あるコンクリート片など、大きいものはしかたがないですが、小さいものは、こうやって再利用すれば、廃棄物の量が減って処分費用が抑えられる上に、犬走り用に石を買う費用も節約できる。



『すげー!一石二鳥じゃん。俺、頭いい!』



この時はそう思っていました。(意味深②)




今日の教訓:なし(※本当はありますが、この段階ではわからなかったので、あえて触れません)




注1:雨水用の配水管は当初からありましたが、犬走りを作った結果、その周囲がコンクリートで覆われてしまい、庭の排水に役立たなくなってしまいました。


注2:ちなみに掘り起こす深さについては、徐々に方針が変わるのですが、最初の計画ではこうでした。


「やっと始めたのか!ほれ、ご祝儀だ!」と評価してくれちゃったりしてはいただけませんか?


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― 新着の感想 ―
[一言] 物語には目的が必要と言いますけど、子供たちが遊びにこられる庭を作ると言うのは、素晴らしい目的だと思います。 さて、次回どうなりますかね(意味深)
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