第5話 草刈りをサボったら庭が藪になった件
前話から時間がだいぶ経過しています。
家を買って3年。ほぼ毎週オヒシバやスズメノカタビラ、エノコログサ等の1年草は草彅で刈り、タンポポやスギナなどの根や地下茎が残る多年草は、刈らずに残しておき、時々まとめて『ラウンドアップ』で枯らし、葦は生え次第スコップで地下茎を掘り起こした上、掘った穴の底に『ネコソギ』を撒く。こんなことを繰り返していた結果、とうとう、この年、葦が生えてこなくなりました。
葦との戦いから始まった庭の整備です。この成果は大変感慨深いものがあります。
葦という難敵との戦いに決着が付いた今、土壌改良にも取りかかりたいところではあります。
しかし、前年度めでたく昇進・異動したことにより業務量が以前よりも増すことになりました。当然、相対的に庭をいじれる時間は減り、本格的な土壌改良にしばらくは取りかかれなくなってしまいました。
とりあえず現状を維持するため、少ない休みを使って、草刈りだけは定期的に進めているような状況でした。
ゴールデンウイークまでは、これで何とかうまく回っていたのですが、5月半ばから、なぜか土日になると雨が降るようになりました。
さらに、雨が降らない休日には、ことごとく冠婚葬祭や職場の用事等が入り、草刈りのためのまとまった時間が取れません。
何だかんだで手をこまねいていると、6月頭には早くも梅雨に突入。悪いことは重なるもので、この年の梅雨は日数的にも量的にも、良く雨が降るわ降るわ……。
休日に梅雨の晴れ間が当たったこともありましたが、それまでに大量に降った雨のせいで庭が田んぼのようになっていました。こんな状態の庭に、草取りに入ろうものなら大変なことになるのは目に見えていたため、晴れているにもかかわらず、指を咥えて見ているしかない日もありました。
やっと梅雨が明けたのは何と7月末。全く草刈りをしなかった庭は、オヒシバやエノコログサ、シロザといった草に覆われ、既に原野のようになっていました。唯一の救いは葦やヤブガラシ、ドクダミといった地下茎で増えるしつこい多年草がないことぐらいです。
『8月に入れば少し余裕もでるから、まとめてやっつけよう』
そう思いながらいた、8月の第1月曜日、車を降りようと体をひねったところ、今まで感じたことのない鈍い痛みが腰を襲いました。
「これはもしかして噂に聞く『ぎっくり』をやってしまったのではないか?」という考えが脳裏に浮かびました。しかし、ぎっくり未経験で、ものを知らない私です。この時点ではたいした痛みでもなかったため、忙しさにかまけて医者にも行かず放置してしまったのでした。
私は、その選択を数日後、激しく後悔することになります。
ついにその日がやってきました。
その日、私は出張でした。出先で荷物よいしょと持ち上げたまでは良かったのです。
それを置くために、腰をひねった瞬間、耐えきれない激痛が。
出先の人たちに心配されながら這うように車に乗り込み、職場に連絡をして午後の予定をキャンセル。医者の午後の診療が開くまで寝ていようと、家のリビングに這い入ったところで第2波が。
私は生まれたての子鹿のポーズで停止しました。
夕方何とか医者に行ったものの、措置は湿布と痛み止め(飲み薬)とちょっとしたマッサージのみ。ほぼ身動きの取れない1週間を過ごすことになります。
当然、動けるようになってもすぐに草刈りなどできるはずがなく、指を咥えて見ている間に、8月も下旬になっていました。
水をたくさん供給され、夏の太陽の光をたくさん浴びた庭の草たちの成長は見事なもので、7月末に原野だと思っていた庭は、鬱蒼とした藪に姿を変えていました。
私は、もうこの段階で自力での解決をあきらめました。ただ、草刈りを業者に頼むという発想はありませんでしたし、この石だらけの庭では飛石が怖くてで刈り払い機も使えません。手作業前提で業者を入れたらお金がいくらかかるのか見当もつきません。
放置か。高い出費か。どちらを選んでも茨の道です。
途方に暮れた私ですが、そのとき、斜の家の御主人の話を思い出しました。
そちらのお宅は我が家に先んじて庭造りを行っていらっしゃったのですが、土作りにシルバー人材センターを頼ったとお話しになっていた(ちなみに庭の土を50cm掘り上げて欲しいと依頼していたそうなのですが、あまりの土の酷さにシルバーさんたちが途中で音を上げてしまい、30cmしか掘ってもらえなかったとぼやいていらっしゃいました)。
草を刈るだけならシルバーさんでも十分です。
早速シルバー人材センターに電話をすると、今はみなさん予定が詰まっているので、1ヶ月後ぐらいになるとのこと。それから、その場で作業の終了確認をするので、必ず作業には立ち合ってほしいということでした。
9月下旬は用事が立て込んでくるので、できれば避けたかったのですが、背に腹は代えられません。それでも良いので申し込むことにしました。
すると、翌日、センターから電話があり、
「会員さんの手が空いたから、早めに取りかかれそうです。ついては状況の確認をしたいので、庭の様子を見たいのですが空いている日はありますか?」
とのこと。
今日・明日は家にいる旨を伝えると、早くも30分後には近所のご婦人がやってきたので、日にちと派遣人数等の交渉を行いました。
その結果、期日は一週間後の8月最終週の日曜日午前8時から。作業員は2名。作業内容は草刈り。なお、刈るのは地上部のみで、地下茎等までは手を付けなくてよい。ゴミ袋はこちら持ち、回収はしないがゴミステーションまでは運んでくれるという手はずで落ち着きました。
作業当日は曇り空。屋外作業にはうってつけです。
予定時刻10分前に到着したシルバー人材センターの作業員のお2人は、準備を整えると、早速作業を開始しました。
エンジンやモーターの付いた機械はなく、人力のみの作業でしたが、2種類の鎌を駆使しながら、藪と化した庭を、どんどんと刈り進めていきます。
作業をすること3時間余、11時過ぎに庭の草は一掃されたのでした。
なお、刈り取られた草はゴミ袋(大)15袋分。
すべて、近所のゴミステーションに運ばれていきました(※本当は回収日の朝に出さなければいけないのですが、草なので動物等による散乱もないだろうということで出してしまいました)。
時給は1人1時間1,000円。シルバー人材センターに払う手数料を含めて1万円未満で藪がなくなったのだから安い出費でした。
今日の教訓:
①夏草の成長は大変速い。できるときに作業をしておかないと取り返しの付かないような大変な事態になることもあります。
②梅雨時は休日度に雨が降ることもあります。休日をあてにせず、早朝等の時間を活用して、日頃からこまめに草取りを進めたほうが後々のためには無難です。
③シルバー人材センターは、使いようによってはかなりお得に成果が上がります。
皆さん、夏草のこわさを知りましたね。知ったついでに評価などいかがですか?