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第4話 犬走りを作った。作ってしまった……

 土の庭から直接建っている我が家、雨で土が跳ね返るため、数ヶ月経って外壁が汚れてきました。雨戸シャッターやガラス窓の汚れも結構すごいことになっています。


『犬走り(注1)をつくってやらなければ、家がすぐにいたんでしまう!』


 そう考えた私は、家を買った不動産屋に連絡し、外構業者を紹介してもらいました。




 業者は早速翌日やってきました。


 交渉の結果、家の3方に幅1mでコンクリートを打って犬走りを作ることになりました。

 ちなみに、料金はネットで調べていた相場よりかなり安いものでした。


 納得の結果に喜んでいる私に業者(社長)が一言。


「旦那さん。コンクリー敷くとこ掘って出た土はどうします? 別料金になるけど、もってってもいいよ」


 安く上がったことに喜んでいた私は、


「ああ、いいよいいよ。その辺にばらまいといてもらえば」


 貧乏人の悲しさ、これ以上金をかけてなるものかと、こう答えたのです。





 こう答えてしまったことを5年以上経った今でも後悔しています。


 この時の返答の結果によって、私は数年後しなくても良いかった余計な作業を強いられることになったのですから。






 犬走りの仕上がりは、とても良いものでした。

挿絵(By みてみん)

 ※実際の犬走り(室外機の下のコンクリート部分)


 コンクリートを打つために掘り上げられた土も庭全体に撒かれ、きれいならされています。どうやらサービスで、大きなゴミやらコンクリート片やらは持ち帰ってくれたらしく、庭の表面もきれいになっています。


 素晴らしい仕上がりに、この時は(・・・・)大変満足したものです。




 そう、「この時は(・・・・)」です。この時は(・・・・)、あまり気にしていなかったのですが、社長の問に対する私の言葉を思い返してください。

 犬走りを作るために掘り起こされたガラ混じりの土は、庭一面に均等にばらまかれたのです。


 先日、数日間の手間をかけて土をふるい、完全にガラがなくなっていたはずの場所も例外ではなく……。



 小金を惜しんだ返答の結果は、数年後、再度の土壌改良を決意した私に、しなくても良かったはずの余計な作業を強いることになったのでした。






 そして、深く考えていなかった私が悪いのですが、広くコンクリートを打ってもらったたおかげで、雨水用の排水管の口が、犬走りの中になっていました。


 埋められてしまったわけではないので、排水口の蓋は手で普通に開けられます。しかし、機能的な観点から、犬走りは庭の土の部分より高く作られていて、庭全体が水に浸かるようなレベルでないと、排水口に庭の水が流れ込むことはありません。


 我が家の庭は、ただでさえ水はけの悪い粘土質の土壌です。これまでも、少し雨が続けば、水が地下に浸透せず、水たまりができてしまうような状態でした。


 そして、これ以降は、雨が続けば長雨が続けば犬走りにせき止められた水が行き場所を失い、庭中にあふれ出すようになりました。

 大雨が降るたび、田植え前の水田のような広大な水たまりができる庭。これが当時の我が家の庭です。

挿絵(By みてみん)

 ※実際こんな感じでした


 水たまりになった庭を見て、拙いと思った私は、一応対策は検討しました。



 ただ、雨水枡を設けようにも、コンクリートで周囲を固められた雨水管に水を流し込むような加工をすることは、素人にはほぼ不可能(注2)です。



 雨水浸透枡を庭に埋めることも考えました。


 これぐらいなら、自力で何とかできそうですが、土壌が全体的に粘土質なうえ、田んぼに盛土をしたような場所に建っている家です。埋めても効果は限定的でしょうし、経年劣化で埋まってしまった時の処理をどうするかとか、砂利だらけの庭を深く掘るための労力とかを考えると、設置には到りませんでした。




 その結果、この、雨が続けば池になり、日照りが続けば荒野になるというすさまじい状態は数年間継続することになりました。






 そして、数年後、思い立って庭いじりを始めたとき、石やゴミの除去、土壌改良材等の投入、などなど、庭造りにかかった金額は、犬走りの作成にかかった費用の3倍に迫り、週に1度は丸1日を費やす勢いで作業をしても、ある程度めどが立つまで1年近くの時間を費やすことになります。


『安物買いの銭失い』とはよく言ったもので、安く上げようとしていろいろと切り詰めた結果、業者に頼んだ倍も余計に金がかかっていては世話がありません。


 ちなみに、この『費用』は実費のみです。自分自身が働いた時間を時給換算すれば、一体どれだけの無駄が出たのでしょう。





今日の教訓:

①業者を入れるなら少しずつ頼むより全部まとめて頼んでしまったほうがよい。その時は出費がかさみますが、長期的視野で見れば絶対安く上がります。


②庭の整備をする前に、家の周囲にある付属物の機能や、庭の状況を良く確認しておきましょう。そして、業者は専門家。入ってもらうなら、設計段階で何か問題が出ないか、あらかじめ聞いておくとよいです。



※業者については信頼できる業者であることが前提です。判断できない場合は、少なくても見積もりをとることが重要です。そして、おかしいと感じたら別の業者に見積もりをとってもらったり、依頼を取りやめたりといった対応をすることを視野に入れておきましょう。




注1:『犬走り』とは、家の壁面に沿うようにコンクリートを打ったり砂利を敷いたりした場所のことで、泥はね等による汚れから外壁を守る効果があります。


注2:コンクリートを破壊すれば可能でしょうが、私には再度きれいにコンクリートを打つ技術などないので、やろうものなら惨憺たる有様になるのは容易に想像がつきます。

 安物買いの銭失いを体現した筆者を哀れんでくださった方。ついでに評価もしてほしいなあ。

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