第3話 土壌改良への挑戦
葦掘りを進めていたある日、庭の隅に植えてあったマツバギクの周りがすごいことになっていることに気が付きました。
マツバギク自体は強いので、肥料もやっていないのに元気に成長しているのですが、隙間からスギナがわさわさ。
植え付けた下にスギナの地下茎が埋まっていたのでしょう。しかし、このように生えられてしまうと草彅も農薬も使えません。
マツバギクもろとも、まとめて処理してしまえばいいのでしょうが、このマツバギクは義父が、前居の庭から掘り出して、わざわざ徒歩で運んできてくれたものです。いろいろな観点から、できることなら生かして残したいものです。
「よし、花壇でも作るか!」
急遽思いたった私は、花壇作りのため、とりあえず何をすべきかを考えました。その結果、思いついた計画(?)は次のようなものでした。
①庭の端から順番に穴(溝?)を掘る。
②掘った土を篩にかけて異物を取り除く。
③そして異物を取り除いた土を埋め戻す。
こうすれば、スギナも葦も生えないきれいな土のスペースができるはずです。
そして、この作業を少しずつ進めていけば、時間はかかりますが、異物のないフツーの庭が誕生するはず。見えてきた希望に胸を膨らませた私は、早速近所のコ○リに篩を買いに行きました。
篩を買ってきた私は、庭の通りに面した一番目立つ部分(隣家境までの距離約3.5m)から穴(溝?)を掘り始めました。
『今日の目標は、3m(長)×1m(幅)×0.5m(深)。今の時間は午前10時。時間はたっぷりある。よし、がんばるぞ!!』
夕方6時。この日の作業が終わりました。結論から言います。
『終わらねぇ。いや、こんなの終わる訳ねぇ!!』
穴掘りの大変さは、予想はしていましたが、想像以上に大変でした。
土はカチカチだし、石やコンクリート塊、貝殻、ガラス片、釘などの定番wに加えて、流木(?)、土嚢袋、スプレー缶などなど、多種多様なものがいろいろと出てきました。
成果の一部です
掘った土は、篩にかけるため穴の脇に積み上げていったのですが、幅1mの穴なのに、出てきた土を積み上げるスペースは、3mほどの幅が必要でした。土の密度が高かったようで、考えていたよりも大量の土が出てきました。
2時間ほどかけて今日、目標としていた部分を掘り上げたとき、私は相当の達成感を味わっていました。
そう、実は、穴掘りは2時間ほどで終わったのです。
でも、作業時間は 18時-10時=8時間です。
では、+6時間、私は何をしていたのでしょうか?
それは、土篩です。
スコップ1杯分の土を掘り出すのは10秒もあれば可能です。しかし、その分量の土は1回で篩えるとは限りません。
その上、固まった土は砕かないと篩うこともできません。
①掘った土を手箕の上で踏み砕き、篩に入れる。
②篩を持ち上げて前後左右に揺り動かす。
③網を抜けた細かい土は穴に戻し、残ったものをもう一度踏み砕き、篩に入れてまた篩う。
④網を抜けた細かい土は穴に戻し、残ったものは網にこすりつけ、なるべく土を残さないようにして捨てる。
10秒で掘れるスコップ1杯の土を分別するのに、これだけの作業工程が必要なのです。
当然、2時間かけて掘った土を全て篩う作業が6時間で済むはずもなく。暮れかけた西日を浴びながら、3分の1も減っていない残土の山を前に、私は途方に暮れたのでした。
結論から言いますが、この形での土壌改良は、この時点では一度あきらめました。次の週の休みを丸一日をつぶして頑張っても、掘った分の土を篩い終わらなかったからです。
その間も庭の各所から葦やらスギナやらはどんどん生えてくるし、よくわからない草も芽生えてくるのでそちらも放置できません。
3週間かけて篩った土を入れてもまだ埋まらない穴に、篩わなくてもわかる異物(石、根等を含む)だけを取り除いた砂利混じりの土を流し込んで、あえなく私の最初の挑戦は失敗に終わったのでした。
今日の教訓:
土壌改良、特に篩がけには、相当な時間がかかります。よほど時間に余裕があるか、かなり狭い庭でない限り、人力でするのは得策とは言えません。自らの労働を時給換算したら、業者に頼んだ方がよほどお得だと思います。
こんなことをしていた筆者を不憫に思った方はぜひ下の☆をポチッと押して評価などしていただけるとうれしいです。