第1話 引越祝いの日
またもや短いです。
4月某日。
引っ越しも無事に終わり、この日は、引越祝いの日です。
私と妻の双方の両親を招き、わずかばかりではありますが宴を設けました。出前で頼んだ寿司をつまみ、子どもを構いながら、ちょっと奮発して買った、サ○トリーのプレミアム○ルツを開ける。幸せな時間です。
外を見ると、春の陽気に誘われて、土がむき出しの庭にも、ちらほらと草が生え始めていました。
義父が敷地の隅に前の住居(※借家)からマツバギク(自然に生えてきたもので、周囲の雑草を刈ることで保護していたら勝手に庭中に増えた)を掘ってきて植え付けてくれたのですが、庭全体からすると寂しい限りです。
ただ、この段階では、庭に関してどうこうしようという構想は全くありませんでした。購入を考え始めてから実際に家を購入するまでの期間が非常に短かったためです。
手入れが面倒くさそうなので芝は植えないようにしようとだけは思っていましたが。そもそも今は忙しいから何かを作っている暇はありませんでした。
『子どもまだも幼いし、蚊の温床にならないように草刈りだけは小まめにやっていこう。ところどころ生えてきている草は、大きくなると始末が大変だから早いところ草彅で削っておかないと……。庭が広くなったから面倒だなあ』
などと考えていたとき、実家の父がビールを飲みながらから一言。
「なあ、麟太郎(※私のこと)。庭にセイタカアワダチソウとか、ススキとか葦とか、茅とかが生えてるように見えるんだけど……。このままにしとくと大変だから、早くどうにかした方がいいぞ」
セイタカアワダチソウもススキも葦も茅も地下茎で増える草です。根(※地下茎を含む)まで枯らすタイプの強力な農薬を使うか、掘り上げて地下茎から駆除しないと刈っても刈っても生えてきます。繁殖力も強いので放置しておくといくらでも広がってしまいます。そして茅以外は成長すると丈が1mを超えることもざらです。庭が大変なことになる未来が目に浮かびました。
「うわ、マジ!?でも、子どももいるから農薬は使いたくねえし、面倒くせえけど掘るわ」
この時、私の意識はこの程度でした。
しかし、すぐに事の重大さを思い知ることになるのです。
短いですが区切りがいいのでここまでで。