第17話 【最終話】家庭菜園ができました。
モグラ騒動から数日。隣家の庭ではモグラが猛威を奮っておりますが、モグラ塚の位置が我が家から離れていくところを見ると、あの薬剤はかなり効果があったようです。
突然降って湧いた災難に隣家の御主人もお困りのようでしたので、余っていた薬剤を半分ほど分けてあげました。
古いモグラ塚の方から順に薬剤を投入するようにお願いしましたので、もうしばらくすれば、隣のブロックにある造成地か、空き地に逃げていくのではないかと思われます。
安心していたある日の朝、また、砂利を敷いたところに土の山を発見しました。
「やられた!戻ってきやがった!」
こう思って薬剤のケースをつかみ、問題の場所に行ってみると、確かに土の山がありました。
しかし、モグラ塚ではありませんでした。
あったのは、植木鉢をひっくり返した土の山でした。
昨晩帰ってきたときに、家の前に置いてあった寄せ植えの鉢がなくなっていることに気付いてはいました。花も終わりかけだし、妻が処分したんだろうとは思っていたのですが、まさか、こんな処分の仕方をするとは……。
「酷い!」と妻に抗議すると、妻は一言。
「じゃあ、どこに捨てるの!!」
言われてみればそのとおりです。庭中を整備し尽くしてしまった結果、確かに前回のモグラ塚の土すら処分に困るほどになっていました。
そして、今回妻が土を捨てたのは、元モグラ塚があった場所で、概ね土は取り除いてあったものの、未整備のように見えなくもありませんでした。庭中を見回したとき、土を捨られそうな場所といったらここだろうと妻が考えても仕方がありません。
ここに敷いた砂利は、庭の土中から出土した物を撒いただけなので、はっきり言って美しくありません。
ただ、砂利の上に土を撒かれてしまうと、その後の分別が非常に面倒です。それならばいっそのこと、クラピアや花壇の花の上にこんもりと積んでもらった方が、まだ対処が楽なくらいです。
妻には、次から捨てるときは、遠慮せずにクラピアの上に捨ててほしい。ただ、できれば事前に確認するか、私に作業を任せてほしいとお願いしました。
その後、砂利の中に入り込んでしまった土を砂利ごと掘り出してふるいにかけました。
この土は、ほぼ培養土だったため、躊躇せずにクラピアの上に撒き、箒で均しておきました。
今回の対処はこれで終了ですが、同じようなことは今後も起こる可能性がありますので、何らかの抜本的な対策が必要です。
この対策として、以前に諦めた家庭菜園を作ることにしました。
場所は、モグラに穴を開けられた物置裏の砂利スペースです。ここに、幅60cm、長さ90cm×2のレイズベッドを作ります。
具体的の工法は、まず、敷いてしまった砂利を取り除き、ある程度の水はけも確保するため、さらに10cmほど掘り下げます。そこに防草シートを敷いて、元からある砂利混じりの土と、土壌改良した土が混ざらないようにします。
次に防草シートの上に、U字溝の蓋の一番細い物をコの字になるように並べていきます。その上に細長い化粧ブロックを置くと、基部がU字溝の蓋で平面ですから、素人工事にありがちの段差が出ないのではないか。こう考えました。
U字溝の蓋は価格も安く、土(内側)と砂利(外側)に埋めてしまうので目立ちもしない。我ながら素晴らしいアイディアですw
最後に土壌改良した土や買ってきた培養土を放り込んで完成です。
ちなみに、コの字の真ん中に仕切りを作った(※だから正確にはヨの字)のですが、これは片方を菜園スペース。もう片方を土捨て場にすれば、連作障害対策にもなるのではないかと考えたためです。
なお、懸案の一つ『猫対策』はトゲトゲシートを使います。実は、もう築山部分やハーブガーデンの部分はかなりの勢いで植えた植物が繁茂しており、猫も糞尿目的でやってくることがなくなったため、トゲトゲシートは取り除いてしまいました。、それを作物の隙間に置いてやれば、猫は寄ってこないでしょう。
行く当てもなく野ざらしになっているシートの有効活用にもつながりますので一石二鳥というものです。
さあ、そうと決まれば早速作業開始です。まず、砂利を掘り起こします。そして、掘った砂利は人力でふるいにかけます。
せっかく買った電動ふるい機を使わないのはなぜか疑問に思う方もいらっしゃると思います。
理由は、石の割合が多すぎるからです。
土だか石だかわからない物をふいがけするのに電動ふるい機は大変重宝しました。ところが、今回掘るところは半分以上が石です。
元々最終的な石の分別は人力で行っていましたので、機械にかけても、短縮できる作業がほとんどありません。
とりあえず、掘り起こした土混じりの砂利を箕に乗せ、その中から、土にまみれていない石は拾い出し、最初から今回の作業エリア外に出してしまいます。
土にまみれた石や、細かい砂利混じりの土は、ブルーシートの上でふるいにかけ、ガラと土に分別します。
土はブルーシート上に残し、ガラは例の育苗箱に入れておき、後で洗います。
こんな流れで作業を進めていきました。
約4時間の作業の結果、土が4袋ほどと、ガラが5箱ほど出てきました。
土は湿らないように、取っておいた培養土の袋に入れて物置にしまいました。例によってガラは洗い、そこそこ見栄えの良い大きさの石は、箱に入れて干し、コンクリート片や貝殻、小さい石は、後ほど処分するため、土嚢袋に入れておきます。
最後に、防草シートを張り、U字溝の蓋を置き、その上にブロックを並べて、その日の作業は終了となりました。本当は土まで入れたかったのですが、残念ながら、もう日暮れです。その作業は翌週に回すことにしました。
さて、翌週です。
まずは出てきた土を改良します。物置の中の土は良い感じに乾いていて混ぜやすくなっていました。そこに、腐葉土、赤玉土、パーキュライト、川砂を混ぜ込んで水はけをよくしてやります。これがレイズベッドの下部の土です。
では上部はどうしたかというと、面倒くさかったので、ホームセンターで培養土を買ってきて入れました。ホームセンターは正義ですw
しかも、買ってきた土は、使用後にホームセンターで引き取ってもらえる土です。これで、土の処分に困る危険性がさらに減りました。
ちなみに、片方の区画は、土捨て場になりますので、下部の土のみ入れてある状態です。今後プランターの植物が枯れるなどした場合、ここに土を入れていく予定です。
何を植えるかはこの段階では決まっていませんでしたが、これで、念願の家庭菜園と、懸案の土捨て場が完成しました。
蛇足の作業ではありましたが、久しぶりに行った作業はなかなか楽しい物でした。
それにしても、あんなに嫌だと思っていたはずなのに、しばらくすると忘れてやりたくなっちゃう。きっとこれからもそんな感じで庭とつきあっていくんだろうな。そう思った出来事でした。
※現在の菜園と土捨て場
生えているのはタマネギ。あと、休眠目前のミョウガ
その前はミニトマトが植えてありました
これにて「私の庭づくり」は完結です。今後も閑話チックなものを追加で投稿することはあるかもしれませんが、ここで区切りといたします。
なお、庭の現況については、新たな連載を始める予定です。更新はシーズンに1回ぐらいのペースになるかと思いますので、たぶんみなさんに完全に忘れられた頃に始まると思いますw
このような誰得?なエッセイでしたが、最後までおつきあいくださりありがとうございました。
それにしても、こんな『誰得?』エッセイを最後までお読みいただいたということは、それなりに楽しんでいただけたのではと推察いたしますが、いかがでしょうか?
最後までお読みいただいたついでです。まだの方は是非とも下の☆で評価していっていただけますと幸いです。




