第12話 動物の来訪(1) ねこ
話は一部前後します
猫に目を付けられてしまいました。
今までは、よ~く締まった固いガラ混じりの土で、雑草が繁茂する庭だったため、畑や公園があちこちに点在するこのエリアでは、猫が魅力を感じる場所ではなかったのでしょう。家の庭に猫が現れることは全くなかったのですが、これまでの土壌改良の結果、ふかふかの土の部分が広がるようになって、とうとう猫の糞害が発生するようになりました。
最初に現れたのは、夏。芝桜を植えた築山を作ろうと、土ふるいをしていた時期です。
朝、庭に出てみると、前日ふるった土の山が崩れた形跡があり、そこに猫のものと思しき足跡を発見しました。この時は落とし物は発見できませんでしたので、どうやらコトに及ぼうとしたところ、さらさらの山が崩れてきて、驚いて逃げたものと思われます。
すぐにごつごつした溶岩石で土留めをし、ちくちくする芝桜や、臭いのきついクリーピングタイムを植え付けたためか、その後しばらく猫が現れることはありませんでした。
ところが、土壌改良が裏庭方面に延びた始めた10月の下旬、土壌改良が済んだエリアに、糞をされてしまいました。
最初は、掘り取って捨てるという対応をしていたのですが、どうやら猫は味を占めたらしく、気が付いたときには、毎日来るようになっていました。
このままではせっかく整備した庭が大きな猫トイレになってしまいます。危機感を覚えた私は、対策を練ることにしました。
対策は、猫を近寄らせないことと、糞をする場所をなくすこと。この2点を軸に行うことにしました。
まず行ったのは、薬剤を撒くことです。
猫は一度糞をすると、その臭いを覚えていて、同じ場所に何回も糞をするらしいです。従って、糞をされたら取り除くだけでなく、糞の臭いを消す薬剤を撒くことが重要だそうです。また、それだけでなく、猫の嫌がる香りのする薬剤を周囲に撒き、猫がトイレにしようとしている場所に来たくなくなるようにもしました。
そして、土壌改良中の軟らかい土や、穴の上にはブルーシートを敷き、周囲をペグで押さえる抑えることで、土に触らせないような工夫もしました。
これで数日間猫はやってこなくなったのですが、しばらくすると、今度は、隣家との境のブロックの上を通って、まだ繁茂しきっていない芝桜の隙間にできた10×20cmほどのスペースを物色してみたり、樹木の下に敷いてあるココチップのマルチングをはがしてみたりと、薬剤の置いていないスペースを狙ってやってくるようになりました。
……すさまじい執念です。
薬剤を撒く場所を増やすとともに、溶岩石を買ってきて、芝桜の隙間に置くなどして対応(※その結果、芝桜のスペースはロックガーデンのようになり、風情が増したので結果オーライです)しましたが、スペースを見つけては入ろうとしてくるので、いたちごっこです。
この状況をどうにかしようと、次に手を出したのは、ソーラー式超音波及びフラッシュライト発生装置でした。
※中央の大きめの緑のもの。ちなみに小さい緑は猫除け用薬剤
庭がL字になっているため、これを2箇所に設置したところ、ピタリと糞害が治まりました。超音波が子どもの可聴域にひっかかるらしく、子どもがうるさがっていたのと、風で木が揺れても反応してしまうのは玉に瑕ですが、これでもう大丈夫。
と、そのときは思ったものです。
もう大丈夫だろうと油断していた2ヶ月後。糞害が復活しました。
調べてみると、フラッシュライトの点灯が弱くなり、持続性も低下しています。おそらく超音波も同様なのでしょう。
電源を入れっぱなしにして、しばらく赤外線を反応させておくとランプが消えてしまうのですが、電源を落として日向に置いておくと復活しますので、充電池が劣化したものと思われます。
こうなってしまったのは、反応が良すぎて赤外線感知装置が作動しまくったせいか、はたまた大雨に降られたせいか、安物なので劣化が速かったせいか……。いろいろと思い当たる節はあるので、はっきりとした原因はわかりません。
日中はソーラーパネルで発電できるので発動はするのですが、猫が現れるのはだいたい暗くなってからです。猫が来る前に、風で揺れる木の枝などに反応して充電が尽きてしまっては、庭に刺さったただの奇妙なオブジェでしかありません。
そして、見た感じ、充電池を交換することを想定した作りにはなっていないようです。ネットで調べれば何とかなるのかもしれませんが、はっきり言って面倒です。それほど高いものでもない(※2本で3,000円ぐらい)ので、メーカーに再注文をかけました。
ただ、注文しても品物が届くまでには速くても数日間はかかります。そのうえ、充電式なので、使用前には1日日光に当ておく必要があります。
この届くまでの数日の間、手をこまねいていては何回猫が糞をしに来ることやら……。
しかも、猫は場所に執着する習性があるそうなので、場慣れさせないように、緊急に対策をとなければなりません。
薬剤は以前に購入したものが残っていますが、今回は多少条件が悪いところにも出没しており、撃退のためには広範囲に撒く必要がありそうです。しかし、広範囲に撒くと独特の臭いがあちこちに漂うし、薬剤は消耗品であるため、大量に撒いていたら費用が大変なことになってしまいます。
しかも、最初に購入したものは良かったのですが、2度目に購入し、現存しているものは、ウチに来る猫にとって刺激が弱かったのか、あまり効いていなかった気がします。
どうやら猫にも個性があり、もしかしたら、嫌がる臭いが違うのかもしれません。
『購入しても、それほど嫌がらなかった』では困ります。いろいろと実験している間に、猫がウチの庭をトイレと認識してしまっては遅いのです。
そこで、今回は、薬剤に加えて、『トゲトゲシート』を購入してみました。2mのロールを4本と、10枚入りシート(4分割可)を4セット。合計すると、そこそこの金額でした。
結論から言います。これがすごく効いたのです。
シートを敷いてからの経過ですが、最初の1週間、猫はなんとか進入しようと執念のように試み、シートの隙間を見つけては侵入しよう、そして、糞をする場所を掘ろうとした形跡が毎日のように残されていたのですが、やられたのは、設置してから3日目に竹垣(作った)の隙間を抜けて作ったばかりの花壇の中に侵入された1回だけでした(竹の隙間が狭かったのと、花壇にルー〈注〉を植えてあったので油断していたのは事実です。すぐ糞を掘り捨て、臭い消しと、薬剤を撒いた上で、花壇の隙間にてトゲトゲシートを置く処置をしました)。
※前話で触れた園路脇にトゲトゲシートを施した様子
これ以降、現在に至るまで、我が家で猫の糞害は発生していません。
庭の整備がほぼ終わり、植物や砂利による被覆が済んでいる我が家の庭は、猫にとって快適なトイレではなくなった様子で、現在は、ほぼ懸念がない状態です。
ただ、猫が全く立ち寄らなくなったわけではなく、庭に埋めた睡蓮鉢で水を飲んでいるところを見かけたことがあります。また、クラピアを植えたエリアに凹凸があるので、均すために砂を撒いたところ、「ナイストイレスペース!」とでも思ったのか、掘り返そうとして、クラピアの茎が引っかかり断念したらしい痕跡を発見したこともあります。
そのため、今でもトゲトゲシートは現役で、野菜を植える前の家庭菜園や、花壇の隙間で活躍中です。
と、いうことで、せっかく購入した新品のソーラー式超音波及びフラッシュライト発生装置は、開封すらされることなく家の片隅に転がっているのです。
今日の教訓:
万能な猫対策はありません。遠回りに見えるかもしれませんが、嫌いなものを置いて嫌がらせをしながら、猫が好ましく感じる『場所』を潰していくのが一番堅実です。
おまけ
考えたけど実施しなかった対策
①罠を仕掛ける
→罠の設置は許可制。そもそも猫は害獣ではないので許可の対象外。さらに、基本的に痛めつける目的で罠を使用すれば、動物愛護法に引っかかって処罰される。
②侵入ルートに粘着シートを敷く
→シートを敷かなければいけない距離が長い上に、雨などで早々劣化するのは確実。しかも、シートをジャンプされたら意味がない。
猫対策で購入したもの
①猫が嫌がる香りの薬剤
→ △ 製品によって(猫との相性?)効果は変わる。慣れるらしい。
②消臭する薬剤
→ ? 効果は不明。かけて臭いを消しても、それだけならまたやってくる。
③超音波・フラッシュ発生装置
→ ○ 1ヶ月ほどは効いた。ただし安物は早々に劣化する。慣れるらしい。
④ルー(ヘンルーダ)
→ ? 植えた所から50cmの所にやられた。砂はかけてなかったので、嫌だったのかも。
⑤トゲトゲシート
→ ◎ 置くと来ない。ただ、小さいと動かそうとするのでペグをうって固定する必要がある。
⑥ウルフピー
→ ? 購入したもののトゲトゲシートが効いたので使用しなかった。
※以下、猫対策で購入したわけではないが使用したもの
①ブルーシート
→ ◎ 猫は、下に潜り込んだり、はがしたりすることはなかった。
②クリーピングタイム
→ ○ 土壌改良をした土に疎らに植えたが、その周囲はやられなかった。
③ココチップ
→ △ 何もしないよりは良さそうだが、他のスペースを潰したらやられた。
④溶岩石・砕石
→ ○ 苗植え前や、植物が成長するまでの間、スペースを埋めるのに効果あり。
⑤庭から出土したコンクリート・アスファルト塊
→ ○ ④に同じ。しかもタダw
注:ルー=猫が嫌がるとされる植物。別名ヘンルーダ。
次回は「裏庭の工事計画」
とうとう最後に残されたエリアの工事が始まります。お楽しみに!




