第11話 新兵器投入 そして道ができた
さあ工事です。まず、クラピアがまばらになってしまったり、ゼニゴケが大量に繁茂してしまったエリア、面積にして約4坪強の土をほり返します。
とりあえずクラピアが密に生えているところは土ごと掘り取って、砂利洗いに活躍していた育苗箱に入れ、植えるタイミングまで保存することにしました。
植え替える部分のクラピアを掘り取った後、クラピアがまばらだったり枯れてしまった場所を、深さにして15cmほど掘り返します。そして、掘った土は、ふるいに掛けて、クラピアの茎や根、ゼニゴケなどを取り除いていきました。
このエリアは一度ふるい掛けしているはずですし、掘り返すといっても15cmです。ふるいがけの作業はたいしたことがなく済むだろうと思っていたのですが、このところ雨が続いたせいで、土が水を含んでいたことから、すぐに、ふるいの目に土が詰まってしまい、なかなか思うように作業が進みません。
作業速度を上げるため、土をふるいの目に押しつけるようにしながら作業をしていたら、ふるいの金網が曲がってしまいました。反対に押したところ元には戻りました。ただ、普通にふるう分には問題ないのですが、土を押しつけるようにすると、一度曲がったところが癖になって、隙間ができてしまいます。
しょうがないので新たに替え網を買ってきたのですが、どうやら会社が違うと規格が違うらしく、微妙に網が小さくて上手くフィットしてくれません。
また、手を金網に押しつけるせいか、買ってあったゴム手袋がすぐ破れてしまい、気がつくと破れた穴から入った土で、手が泥だらけになっています。
しばらくこんなことを続けていたせいか、右手の指紋が薄れてしまい、iPadの指紋認証の効きが悪くなってしまいました。
さらに、ふるいを掛けていると、一度土壌改良をしているはずなのに、なぜか5cm~10cmほどの石が結構出てきます。どうやら、工区の隙間で見落とされていたエリアがあった模様です。中には、スコップの刃が簡単には通らない所すらありました。
本来ならこんな所は掘り下げて、石をしっかり取り除いていくべきなのでしょうが、もう意欲がつきかけていた私は、どうせ、植物を植えるところは持ち土をしてレイズベッドにするのだからと、手を付けないことにしてしまいました。同じことを2度する気力は残っていなかったのです。
ここで心が折れかけた私は、全て人力で行うことを諦め、文明の利器を導入することにしました。
導入したのは『ドラム式電動ふるい機』です。価格は税込約54,000円。決して安い買い物ではありません。こと庭に関して購入した物の中では物置に次ぐ価格でした。けれども、これを購入した結果、作業効率はなんと3倍以上になったのです。これは1人で3人前の作業ができるということになります。
考えてみれば、比較的低賃金のシルバー人材センターの方でも、2人で日当が半日9,000円、6日頼めば54,000円。
雨が降ることもありますので、作業は月6日程度と考えれば、一月で元が取れる計算になります。しかも、この先もまだまだ作業は続きます。電気代は計算に入れてはいませんが、ずいぶん得をする計算になります。
ちなみに、この機械は決して万能ではありません。土を砕く機能は付いていませんので、きちんと土を砕いてから入れてやらないと、ほとんど原形を保ったまま排出されてしまいますし、砕いてやっても一度では土を選別しきれず、少なくても2~3回は通してやらないといけません。そして、石にこびりついた土をきれいに落とすためには、手でふるいがけをしてやらないとならず、機械だけではそこそこ土が残ってしまいます。また、付属のシートはすぐ端の方が切れてしまいましたし、掃除も面倒です。
しかし、こんな欠点は些細なものです。踏み砕いた土をドラムに投入すれば、あれよあれよという間に下から細かい土が出てきます。ガラや土塊は出口から排出されるので、例の育苗箱で受け、大きなガラはここで取り除きます。残った土砂は育苗箱に入れたまま踏みつけて砕き、また投入。これを繰り返してけばよいのです。
前述の通り、最後に残った砂利混じりの土は手作業でふるってやらないときれいにはなりませんが、作業中、中腰にならなければいけないのはこの程度ですので、腰痛もちの私にとっては、何よりありがたいことでした。
そんなこんなで、思いがけない苦労をし、さらに『ドラム式電動ふるい機』購入という課金までしてふるった土に、前回築山を作ったときと同様に、腐葉土や赤玉土、籾殻くん炭、パーライト、バーク堆肥といった改良材を大量にすき込み、水はけの改善と有機質の増加を図ります。そして、排水路になる園路を遊水池につながるように中央に設け、その両脇に細長く山を造っていきます。
園路部分は遊水池と同様、防草シート、再生砂利、コンクリート用丸砂利、化粧砂利の順に石を敷いていきます。跳び石の設置も同様です。築山部分からの土砂流入対策としては、御影ピンコロで土留めを施すことにしました。
山は比較的日の当たる家屋側を低く、日の当たりにくい隣家側を高くし、家屋側には、一度はがしたクラピアを再度植え付けます。
高い隣家側の山は、園路脇の御影ピンコロの上に伊勢五郎太石を二段に積み重ね、土留めとしました。また、石の隙間から土が流出するのを避けるため、隙間部分の上に矮小種のリュウノヒゲを植えます。
さらに、こちらの山には、マンリョウ、ジンチョウゲ、トサミズキ、ヤマアジサイなどの低木を植えるとともに、シラン、ホトトギス、アスチルベ、チョウジソウ、ヘレスボス、シャガ、ユキノシタといった、日陰に強い植物を植えることにしました。
蚊の隠れ家になるので、日陰に藪は作りたくなかったのですが、庭全体を『緑の絨毯』とすることができなくなった以上、次善の策ということで致し方ありません。また、隙間から雑草が生える可能性を低くするため、樹木の下の水鉢の部分にはココチップを敷いてマルチングをすることにしました。
※上から見た園路です。画面下側にはクラピアが植わっています。
これで表(道路)から見える部分の整備は済んだことになります。ここまで紆余曲折ありましたが、なんとか終えることができました。
通水路を掘る作業と並行して、じわじわと、裏庭側も土壌改良を進めていましたので、残っているのは面積にして6坪ぐらいです。そして、今は11月。普通に考えれば年内いっぱい。遅くても新年早々には整備が完了するでしょう。
この時はそんな風に思っていました。
今日の教訓:
①土壌改良するときは、後でわからなくならないようにきちんと目印を付け、しかも広めに穴を掘るつもりで作業しないと、整備漏れが出ます。
②金で買えるなら買った方が絶対いいです。




