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第24話 Aランク冒険者との対決

 シュラウドたち3名と対峙する俺たち。

 奴らはまだニヤニヤとしている。


「お前らBランクだろ。その若さでBランクは大したもんだが、俺らはAランクパーティーだ。謝るなら今のうちだぞ」

「なんで謝るんだ? 勘違い野郎をやっつける、絶好の機会じゃないか」

「はっ! 図に乗りやがって。上には上がいるって事を思い知らせてやるぞ、このクソガキが!!」


 シュラウドは、背中に背負っていた槍を構え戦闘態勢に入った。


「女どもは俺たちが相手だ。痛めつけた後に存分に可愛がってやるぜ」


 下卑た笑いを浮かべながら、男たちの一人は両手短剣を取り出し、もう一人はナックルガードを手に嵌めている。

 ミミとソーニャ、二人と戦闘スタイルは似ているようだ。


「いいですわ、あなたがたが勝てたら、私たちの事を好きにしても。但し、もし私たちが勝てば同様に好きにさせて頂きますわ」


 ソーニャはその聖女の服の巨乳の胸元をはだけさせ、男たちに向かって挑戦的に言う。


「さ、誘いやがってこの……ッ!」


 男たちが鼻息荒くして、ミミとソーニャに襲いかかった所で戦闘開始となった。



「おらぁ! 5連槍!」


 シュラウドは飛ぶように、俺への間合いを一気に詰めてきたと思うと。

 顔面、胸、首、腹、肩と一瞬とも言えるような刹那の間に、連続の突き技を仕掛けてくる。


瞬神(しゅんしん)


 しかし、瞬神を使った俺には、その攻撃は止まって見えるような速度だ。

 俺はすべての攻撃を紙一重でかわしていった。


「な!? バカな今の攻撃をBランクが全てかわすだと?」


 だからその認識が、そもそも間違ってるんだよな。

 俺たちがSランク討伐済み、ってたぶん知らないんだろうけど。



 一方でミミはナックルガードを嵌めた男の拳による攻撃を、次々とよけていた。


「おい!? どうしたぁ! 手も足も出ないかぁ!」


 男がそう言った所で、ミミは相手が繰り出したストレートに、ミミ自身の拳と相手の拳とをあわせる。

 互いの拳が衝突すると、大きな衝撃音と共に男の手は後方へ勢いよく弾かれる。


「痛ぅ……くそがぁ!」


 男のナックルガードは破壊され、拳同士が衝突したその指は変な方向へ曲がっている。


「随分と脆い装備と非力な攻撃。それでも男?」

「まぐれ当たりが調子に乗るんじゃねえ!!」


 ミミのその言葉に顔を真っ赤にして、男はもう片方の拳で殴りかかった。

 同様にミミは、その拳にも自身の拳をあわせる。

 また大きな衝撃音の後、男のナックルガードと拳は粉砕された。

 粉砕された自身の両手を信じられない、と言った目で見つめる男。



 ソーニャともう一人の男は、お互いの両手短剣により、凄まじい速度での攻防をしあっている。

 互いの攻撃は中間ポイントで防がれ、いずれも相手に攻撃は加えられていないが――


「随分とのんびりした攻撃ですわね。あくびがでますわ」

「な!? ほざけ!」


 ソーニャはそういうと更にギアを上げた。

 その攻撃スピードに、ついていけなくなった男の体から、少しずつ鮮血が吹き出す。


「くっ……うわぁあーーッ!」


 ついにソーニャに切り刻まれ、男は立っている事ができなくなり、その場に膝をついて屈した。



「ちっ、やられやがったかぁ! まあ、所詮こいつらはBランク。Aランクの俺が、お前らをまとめて相手してやる!」


 俺は身体強化を自身の剣にまで派生させた。

 剣と自分の肉体の強化が一体化する。


「おらぁ! 10連槍だぁ!」


瞬神(しゅんしん)


 刹那、俺は自分に迫ってくる槍に合わせ、自身の剣を下から上へと振り上げる。

 槍はまるで柔らかな木で出来ているかのように、すっぱりと真っ二つに切り上げられる。

 更に上から切り落とし、槍はわずかな長さとなった。


 連続突きをしている最中に、自身の槍が短くなっている事に気づき、それを驚愕の表情で見つめるシュラウド。


「馬鹿な……!? こいつは鋼鉄製だぞ?」


 そこへ俺は一気に踏み込み、剣の柄の部分でシュラウドの腹部を強撃する。

 シュラウドは腹部を抑えたまま、その場に崩れ落ちた。



「ここはこうじゃない?」

「いや確か、ここはこう」


 ミミとソーニャはあーでもない、こーでもないといいながら、戦闘前に好きにさせてもらうといっていた事を、宣言通り行っていた。


「お、おい! もう、勘弁してくれ!」

「神聖教徒王国は風紀にめちゃくちゃ厳しいんだ!」

「こんな所、もし、一般人に見られて通報されたら、俺たち捕まっちまう!」


 こんな量の縄、一体どこから持ってきたんだろう。

 シュラウドたちは半裸で、それぞれが亀○縛りで縛り上げられている。

 ソーニャに切り刻まれた男は、わざわざこのためにヒーリングで傷が癒やされていた。

 なんて恐ろしい罰なんだ……。


「うるさいです!」


 バシッ! とミミは縄を鞭に見立てて、男に打ち付ける。


「はふん!」


 男はその鞭での攻撃に妙な声を上げた。

 うん、これは罰じゃなくて、もしかしてご褒美になってるかもな。


「な! 頼む! 見逃してくれ! お前らは強い! 調子に乗って悪かった! な!」

「……もし、ミミたちが負けてそう言ったら、お前たちは許したか?」

「ああ? 許すわけねえだろ、逆に興奮するわ! まあ、俺は罵倒されながらっていう方が好みだが」

「お、おい! バカ!」


 ミミはその縛られている後ろ手と足首を繋いだロープを引っ張り、男を持ち上げる。


「痛い! 痛い! 痛い! こすれる! ごめんなさい、悪かったー!」


 一人、二人、三人とミミは男たちを人通りのある、通路においていった。


「それじゃあ、ご主人様、戻ろう」

「う、うん……」


 俺たちは一旦、宿へと戻る。

 しばらくすると 「キャー!」 という女性の大きな叫び声が街に鳴り響いていた。

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