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第18話 更なる高みへ

「リース、俺ら宛てに領主様から、特別報酬が届いてるって聞いたんだけど」

「ああ、届いてました。ちょっと待って下さいね」


 ランドルフたちに絡まれた後、俺たちは予定通りギルドに報酬の受け取りにきていた。


「ありました、こちらの特別報酬で白金貨3枚ですね」

「白金貨3枚!?」

「皆さん、おめでとうございます! それではどうぞこちらです」


 そういってリースから、俺は白金貨を受け取る。

 俺はそれぞれ、ミミとソーニャに一枚ずつ分配した。


「「やったー!」」


 二人共、手を取り合って飛び上がって喜んでいる。


「えっとー、あれ買ってー、あれも買ってー、って買いたいものが全部買えちゃう! はあぅあー!」

「白金貨、これが白金貨ー! 白金貨ーー!! おイェイ!」


 白金貨一枚あれば、一人なら数年は食べていける金額だ。

 二人は若干、正気を失いかけているようにもみえるが……。


「報酬が白金貨とは、ゴブリンキングが相手じゃったか」


 その声の方を振り向くと、そこには盲目の老賢者ベイリーが座っていた。


「ああ、ゴブリンキングが相手だった。なんとか勝てたよ」

「なんとか? お前のそのスキルがあれば楽勝じゃろう?」

「お前のそのスキルって、俺が何のスキル持ってんのか、じいさん知ってるのか?」


 ベイリーとの共通の知人は今の所、把握している限りではいないはずだが……。


「ユニークスキルは瞬神(しゅんしん)皇帝時間(エンペラータイム)じゃろ」

「……どうして知ってる?」

「まあ、お前ら突っ立ってないで、そこにでも座れ」


 俺たちは訝しみながらも席につく。


「わしは大賢者だと以前言ったじゃろう。大賢者のユニークスキルに、真鑑定というものがある。真鑑定は、人物ならその人物が習得しているスキルに魔法が分かるのじゃよ」

「真鑑定……じゃあ俺のスキルは、これからも賢者にはバレバレって事か?」

「いや、ただの賢者には鑑定しかできん。大賢者だけの真鑑定じゃ。そして大賢者は滅多におらん」


 なるほど、まあスキルがばれたからといって、別に不都合もないけど。

 だけど、まだ疑問はある。


「なんで瞬神(しゅんしん)皇帝時間(エンペラータイム)があれば楽勝なんだ?」

「瞬神を持っていて苦戦したという事は、ゴブリンキングの硬さに剣の強度が耐えられなかった、ということじゃろう」


 ご名答だ。俺は頷く。


「そんなものは魔法剣を少しでもかじっておれば、楽勝じゃ。お前、魔法剣も使えんのか」

「魔法剣どころか、魔法も使えないよ」

「なんじゃと! なぜ覚えようとせん?」

「覚えようって俺に適正あるのか?」


 なにせ自分は適無しだ。


「なんじゃ、そんなくだらん理由で覚えておらんのか。心配せずとも、お前には魔法適正はあるよ」

「え!? ほんとか!」


 ずっと魔法を使えない、と思っていた俺には嬉しい驚きだ。


「……お主らこれからの予定は?」

「1ヶ月後に(さい)があるから、マクルーハン卿の専属としてそれに参加する予定だよ」

(さい)か……そういえばわしにも使者がきておったの」

「なんだじいさんも参加するのか?」

「いや、わしは特別顧問としてな。まあ、エデンバラ王国とは、昔からいろいろ付き合いがあっての」


 特別顧問って魔術師なら宮廷筆頭魔術師クラスじゃないか?

 やっぱ、このじいさん只者じゃないな。


「お前さえよければこのわしが、魔法と魔法剣を教えてやるぞ。ついでにそちらの二人も鍛えてやる」

「……魔法を教えてもらえるのはうれしいけど、なんでまた俺を?」

「その理由は来たるべき時が来たら伝えよう、とだけ今は言っておくかの。安心しろ。邪な理由じゃないとだけは言っておく」

「報酬は?」

「いらん。わしはこう見えても金には困っとらん」


 ボロボロのように見えるローブを身にまとっていて、そうは見えないのだが。

 俺はミミとソーニャと顔を見合わせる。

 二人は一様にちょっと困った顔をしていた。

 うーん、とりあえず教えを受けてみるでいいかな。

 なんかおかしいようなら、そこで辞退すればいいし。


「分かった、教えてくれ、魔法と魔法剣を」

「よし、それでは明朝、日が昇るくらいの時間にしばらく野宿できる準備をして、このギルドの前に来い」

「野宿?」

「ああ、訓練は荒野でやる。それではの」


 ベイリーはそういうとその場から去っていった。


「ミミとソーニャはよかった? ダメなら、俺一人でもとりあえず行ってみるけど」

「ミミは大丈夫。懸念は、あのじじいのセクハラだけ」

「私も大丈夫です。聖魔法関連なんかを、もし強化できるならありがたいですし」


 よかった。

 という事で、俺達はそれぞれ野宿の準備をする為、別れて明日の出発準備をする事にした。




「よし、揃ったの。それでは行くぞ」


 街の東から太陽が登り始めていた。

 オレンジに輝く太陽とそれに染まる大空。

 日の出から続くオレンジのグラデーションが、薄いオレンジに変化しながら街を幻想的な風景に染めている。

 俺たちはそんな日の出の太陽に照らされ、それぞれの身に光をまといながら、目的地の荒野へと向けて歩を進めていった。

少しでも

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「更新頑張ってほしい!」


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