第9話その3『エプ:神産み』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『太陽へ手を伸ばす』気持ちで読んでください!
「暑いいいいいいい!!!」
俺たちは砂嵐を抜けてスクエアバギーで脱鳥の砂漠を全速力で走っていた。
見渡す限りの砂漠。
地平線まで何もない砂漠を爆走しているロケーション的にはかなりいいほうだろう。砂漠だって大自然だ。一眼レフカメラがあったらフィルムを使い果たすほどのいい景色。
特に夕暮れがきれいだ。砂が夕日の赤を反射していてまぶしくて、沈む夕日が時間を告げる。
素晴らしい光景だ。
砂嵐を抜けてから、急激に上昇する温度を気にさえしなければなッ!!!
「サイム!今ってエアコンついてるの!?」
「ついてるに決まってるだろォ!しかも16度に設定してる!最低気温だよ!!」
「どうあがいてもこの部屋の中、40度近い気がするんですが…」
俺はリモコンの温度低下ボタンが、壊れてしまってもいいって覚悟で連打している!
暑い!!夕暮れでこれかよッ!!
地熱で生命体が決して住めないとは聞いていたけど想像以上だ!
「これが極熱地帯なのか…。蒸し焼きにされる。」
「ハナビ、外を歩いたら足が溶解していくと思うの。今の時点で暑さで回路がショートしそう。」
「怖いこと言わないでください。ハナビちゃん…。
……今って夕暮れですよね。もし真昼間に外に出たんなら、これ死ぬんじゃないですか?」
「ハナビ、大丈夫?あたしが診てげよっか?」
「はいユミ先生~」
「アルゴニック氷出してくれよ~」
…とはいっても寝たまんまか…。こいつめ……。よくこの暑さで寝られるな…。
そういえば塔にずっと封印されてたし寝ることは専売特許か…。
▽▽▽▽▽▽▽▽
だああああああ!!もう!我慢ならん!!
「脱ぐぞ!!長ズボンとか、シャツとか着てられるかよッ!!」
「「だなッ!!」」
「「ええ!!?」」
俺とユウジ、操縦しているソライは上半身裸になり、ユウジと俺に至ってはズボンも脱ぎ始める。
「ちょっと待って!!あたしたち女!年頃!嫁入り前!
男が3人も裸にならないで!!」
「パンツだけは履いてやるよ!」
「馬鹿ッ!やめて!」
「じゃあお前らはこんな暑さ絶えられるのかよ!」
「絶えられるわけないじゃない!こっちだって暑いのよッ!!
何より気軽に脱げる男子が羨ましいから脱がないでほしいのッ!!」
そんな理由かよォ!こっちだって暑さで頭おかしくなりそうで我慢、限界じゃい!
「じゃあそっちも脱げばいいんじゃあないのかッ!!?見ないでやるからさッ!」
「気持ち悪いからいやッ!」
えええ~~…そんな道端に落ちている虫の死体みたいな目で…。
…さすがにここまで言われるとズボンだけははいてやることにする二人であった…。
だが、こんな視線をしながらもユミは特にユウジをチラッと見た時、少しだけ顔が明るくなった気がしたのは何でだろう?ユウジのような細マッチョ体型になりたいんだろうか?
「…ハナビもぬぐうううう~~
こんなだぼだぼなの、いやあーーーたえられなぁいいいい!!!」
改めてハナビの服装を言及しよう。
だぼだぼなパーカーで超長い萌え袖。大きさは自身の胴体の二周りはでかい。
一番暑そうな格好をしていた。
上着を脱ぎ寝る前しか見てない、ブラの紐が見える大きめの半袖Tシャツ姿になる。
「Tシャツも、下もぬぐうううううう!!」
「駄目ーーー!」「ストップです!!!」
ニッちゃんとユミがTシャツと、下着を脱ごうとするハナビを全力で取り押さえる。
「あついいいい!!」
「ハナビちゃん!女の子には譲っちゃあ駄目な瞬間があるんです!」
「どれだけ暑くても、ここで我慢しないと大人になってから後悔することになるの!」
「でも胸があついのおおォ!!」
「汗、あんたかかないでしょ!あたしより胸が蒸れない分、まだマシなのよぉッ!」
「………そ、そですねぇ…タイヘンナノデスヨー(棒)。」
一名、共感できない人がいるけど……。
というより…ハナビのせいで余計女子たちが暑そうだ…。
なんだか汗で、いい匂いがしそうだけど。ハナビは汗をかかないらしいが…
暑さを忘れて思わず鼻の下が伸びそうだ…。
「…水着になればいいんじゃない???」
「「あ…。」」
…忘れてたな…。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「「あーーー涼しいいーーー…」」
女性陣二人は水着になるが…。
「ううううぅううう…なんであたしだけ…。」
「お前は最初っから涼しげな格好しているじゃあないか…。」
ユミだけが服装は変わっていないけど。
ユミは初めからタンクトップ姿だ。つなぎ…つまり作業着の上半身を全開にして、はだけさせてはいる…が、下の作業着は変わっていないので分厚くて暑そうだ…。
「……これ使う?」
俺は医療箱から、冷えピタを取り出す。
「ズボンの内側に貼れってこと…?」
「最悪これでしのげるんじゃなかと…。氷とかも…。」
「……なんだか、エッチだからいや…。」
すげー照れ照れで否定する…。
なんだか、かわいいなオイ…。
「ユミ!これを渡しておく。」
ユウジが小型扇風機をユミに渡す。
「あ、ありがと…。」
ユミは、ユウジの小型扇風機を使って首やお腹に使う。
――……おなか、いいなぁ…。汗…さらに風に当たってなんか…。
「…。」
…やべぇ、ガン見するわけにはいかない。
確かに眼福だがニッちゃんたちにあらぬ誤解……
紛れもない事実『かも』しれないけど。…知られるわけにはいかない!
▽▽▽▽▽▽▽▽
俺たちは前方の巨大な遺跡らしき物体を見る。
それは砂と岩石で構築された全長10mほどの巨大な入り口
そしてその遺跡は大体5階建てほどのビルの高さがあり、横幅の大きさもそこそこあり
どっかのアラビアンな宮殿っぽい形をしていた。
「そろそろつくぞ。」
「あれが砂のダンジョン…」
「あそこにエプちゃんがいるんですね。」
「よーしいっちょ奪還しますか!」
「おう!」
アルゴニックは寝てたし、六人でダンジョン内に入ってみる。
入口であろう石造りの門に形からして、表札のようなものが脇にあったのを発見する。
砂に埋もれた部分を手で追い払う。
すると砂はさらさらと落ちていき埋めていた文字が掘っていた溝を浮き彫りにする。
そのとても古そうな石の表札に書いてある文字。そこに刻まれていたのは。
《苦悶なる封印城》
と鋭利な文字で書かれいていた。
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「苦悶なる…。」
「封印城…ですか。」
「……ここは危険地帯なのになんでこんなものが……。」
「それにこの文字…。最近刻まられたものじゃあないわ。
風化の具合からすっごく昔にここに刻まれたとみるべきね…。
それにこの文字って、いかにも最近の読み方…。古文とかの文法でもない…。」
「どういうことだユミ?読み方って…。」
「私達でも難なく読めるのがおかしいのよ。時代によって言葉は変化する。
『漢字』しか使わない時代、『かな』しか使えない時代、他にもいろんな時代ごとに言葉は変化していく。これは現代の言葉よ。でも目の前には昔に創られた建物。
この文字も昔に刻まれたもの。
……つまり時代がチグハグなのよ。まるで『古代』に『現代に順応した誰か』がいてこれを刻んだと説明しなくてはおかしい…。」
……誰か…か……。いや…。確かに気になることは多い。
「今は先を急ごう。一応ダンジョンにとって大切な何かかもしれないが、攻略して生還しなければ元もこもない。日出まで後10数時間。タイムリミットが迫っている!」
「だね。」
「一応写真取っておくわ。」
「頼む。」
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さて、少し重要なことを思い出さなければ。持ち物についてだだ。
まず俺の持ち物。
スポーツドリンク数本、抗生物質、包帯、武器、防水紙と防水インクのペン、救難ビーコンとのろし用発煙筒、強力な懐中電灯、携帯食料
ソライの持ち物。
スポーツドリンク数本、武器、強力な懐中電灯、ペンチを含むピッキングセット、不可視のトラップ探知用のスプレー、感圧式トラップ探知用の重し、モンスター避け用匂い玉、携帯食料
ユウジの持ち物。
スポーツドリンク数本、抗生物質、包帯、武器、高機能双眼鏡、防水紙と防水インクのペン、小型酸素スプレー、予備武器のバッテリー、手回し発電機、弾丸用ギア各種、携帯食料、おでん缶2個
ユミの持ち物。
スポーツドリンク数本、抗生物質、包帯、武器、GPS機能付きカメラ、科学調査アイテム数種類、煙幕爆弾、ハナビの治療用の溶接バーナー、簡易トイレと排泄物用袋、携帯食料
ハナビの持ち物。
スポーツドリンク数本、通信用簡易アンテナ、防水予備バッテリー、自分のメンテナンス道具、予備の電気触手、携帯食料
ニッちゃんの持ち物
スポーツドリンク数本、抗生物質、包帯、軍手、治療用の針と糸、武器、折り畳み傘、十徳ナイフ、鉄のワイヤー、ロープ数本、中くらいの網、予備の罠簡易破壊グッズ、コンパス、予備のメガネ、着替え、簡易寝袋、小型超音波アラーム、小型毒素アラーム、小型放射線物質探査アラーム、予備の簡易トイレと排泄物用袋 、強力な懐中電灯、簡易調理用セット、携帯食料
ニッちゃんは持久力と怪力に優れた鬼だ。
そしてこの中でもっとも容量のデカいボストンバックを持っている。
なのでかなり重要な持ち物ばかりだ。もしやられたらダンジョンは攻略できない。
懐中電灯とかは、ベルトとかにつるしなくさないようにしている。生命線の一つだからな。
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《苦悶なる封印城》
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「お、中は意外に涼しいな。」
「快適だね。」
――この遺跡の中はとても快適温度で、さすがにいつもの服に全員着替えてた。
たださすがに暗く、俺とソライは少し懐中電灯の光量を絞りつつ。通路を照らす。
見たところ砂岩でできており壁や床が一応、規則正しく煉瓦のように詰まれた痕跡があるのだが、さすがに年月のせいか、穴ぼこだらけって感じだ。
「さてと、進みますか。」
「走ったほうがいいかしら?」
「いや、戦闘するときのスタミナを残しておきたい。
それに急いで仕掛けを解くのに必要なものを見逃すほうが危険だ。」
「なるほどね…。」
そしてパッと見た感じ、蜘蛛の巣や虫の死骸、動物の骨さえないところから。
生物がいる痕跡がない。モンスターがいる可能性は少ないとみていいだろう。
敵はおそらくトラップで俺らを弱らせたところに襲いに来る可能性が高い…。
つまり…前のメイジダンジョン同様にトラップメインのダンジョンの可能性があるとみていい。
「前回のメイジダンジョンみたいに突破しちゃいましょう。」
「いや、前回は、初心者用のダンジョンだったから簡単に進めれたが、
今回は違う。このダンジョンは『ガチダンジョン』だ。油断がならないマジモンのダンジョンだ。しかもいつトラップでやられても、おかしくない場所だ。油断してたら死ぬ。」
「そうですね。気を引き締めていきましょう。」
「その通りー☆このダンジョンは気を引き締めていかなきゃ死ぬー☆」
俺たちは聞き覚えのある声に振り向く。
「この声は…@!」
「その通りー☆。@ですよー☆。」
@はスライム状にした身体を使い天井に張り付き、身体の色を変えて擬態していた。
俺らは久々に相対した危険な歯車を、見据えて武器を構えて臨戦態勢をとる。
こんな二人程度の幅しかない狭い通路で身体を電気御帯びた水とか、溶岩とかにでも身体を変換されたら絶対に死ぬ!
ましてやこっちは日出までに攻略しないと干からびる!時間がただでさえないんだ!
こいつの相手をしながらダンジョン攻略だけは絶対にダメだ!
「ユウジ…あれはいったい何?」
「あれも超越の歯車のうちの一体、@だ。別名ウプシロン!
身体を『変換』する能力『コンバーター』の持ち主だ!相手にしていたら確実にヤバイ!」
「おや、一人増えてるねー☆。@でーすー☆よろしくお願いしまーすー☆」
「……ユミよ。よろしく。」
「『けーかい』されてるねぇんー☆!」
@は等身大の人型のような姿になり決めポーズを取る。まぁ当然だろう。
「さてと@お前とこうしてまた出会うとはな。次は負けない覚悟しろ。」
「いやいやー☆人気者は困っちゃうなー☆
………でも今日は戦いに来たんじゃないんだよー☆」
…戦いに来たんじゃない??
「じゃあなんだ?目的を言えよ!」
「はい、今北産業な君たちに簡単に説明するよー☆
エプの弱点のヒントを教えてあげようかなーってー☆」
「エプの弱点!?」
「それはねー『カエサルのものにはカエサルを!』
って感じかなー☆」
「はぁ?」
「あーそれ確か昔のドラマでやってたセリフ。」
番宣CM的なのは見たことはあるがそれの何が関係があるんだ?
「意味は@の勘違いじゃなければ『目には目を、歯には歯を』っていう意味ー☆。
ウィキペディ○には罪をしたら
同程度の報復をしなければならないっていうことで通っているよー☆」
「それがヒント?」
「そうだよー☆この意味は戦いながら考えてくれよぉー☆
まぁあとエプを倒したその先もあるけど、@意地悪だから言わないでおくねー☆
それじゃあねーバーハーハーイー☆」
そう言って@は天井に溶け込むように姿を消してしまった。
「相変わらず、わけわかんねぇ奴だったな。」
「どうせだったらダンジョンのヒントもくれたらよかったのに。」
「超越の歯車って、なんだか…はた迷惑な正確の方が多いですよね。」
「だな…。うすうす思っていたがどこか常識外れというか…
子供っぽいというか…。」
………ん?そういえばなぜ、@はエプのことを知っているんだ??
そしてさらに言えばなぜ『弱点』なんぞ教えてくれるんだ?戦いやすくしてなんになる?
俺達を倒したいならエプにやられた後の、漁夫の利をねらえばいいだろーが…。
「とりあえず進もうぜ。」
「おー。」
今は考えても仕方がないか…。
▽▽▽▽▽▽▽▽
1階。
岩石の煉瓦で構成された道を歩んでいく。
歩き始めて20分間は経つ。
なんだ?…ここは人工物のダンジョンだが…。
まるで自然物のダンジョンの上に、煉瓦をメッキのようにして隠したように
とにかく道の幅が不規則に感じる…。
俺らは1列になりながら進む。
順番はソライ、ハナビ、ニッちゃん、ユミ、ユウジ、俺の順番だ。
ソライはトラップ解除の資格を持っている。なかなかに取得難易度が難しい部類で、探知、解除両方を扱え無ければ取得できない。
それに移動速度もあるから、皆より少し距離があり何かあったらギリギリ、ハナビと俺に届く限界の距離にいる。
「しかしさっきのも超越の歯車とはね。お師匠様から活性化すると、おとぎ話の妖精みたいに不思議な人型になるとは聞いていたけど…。」
「あいつはいつか絶対に捕まえて、アルゴニックに吸収してみせる。」
「しかし何なんでしょうね。あのヒント。」
「まぁ戦ってみりゃわかるさ。できれば説得したいけど…。」
「……妹なんだよね…。私の…。」
…ハナビはゴーグルの瞳をしているが。すごく悲しそうな顔をしている。
その心中を考えると少しいたたまれない…。
「…必ず救うわ。」
「……ユミ先生…。」
「だね。子供にやさしくイエスロリータが僕の信条だから!」
「ありがと…。」
▽▽▽▽▽▽▽▽
だが…気は抜いてられない。
「みんなそんなことより気を引き締めておかないと。
ここは敵地だ。ほのぼのするのは、エプとともにみんなでダンジョンを脱出してからだ。」
「ねぇ…ダンジョンで気を付けることってなに?あたし、ダンジョンなんて初めてで…。」
それもそうか…このパーティメンバーはほぼ初心者だったな…。
「このダンジョンだったら……そりゃあ罠だな。たぶん生物はいないし…。」
「罠?罠って例えばどんな罠があるの?」
ハナビは首をかしげる。
「そうだな。例えばありきたりだが…。」
その時誰かの足元が
カチッ
という音をする。
シュッシュッシュッシュッ
と何かが放たれる音がする。
「ハナビちゃん!危ない!」
「え。」
ソライは猛ダッシュでハナビのところへ向かい、押し倒すッ!
ハナビのいたところを見ると
そこには矢が5、6本大量に刺さっていた。地面への貫通力からして相当な威力だ…。
「ひっ…」
「あぶねぇ…こういう罠が至る所にあるから注意な。」
「は、はいぃ~…」
矢の向かっている方角からハナビの右横の煉瓦に射出装置があるな…
「ちょっと待ってよサイム。すんすん。」
ソライは矢を一本手に取り匂いを嗅ぐ
「やっぱりだ。この矢、毒の匂いがする。ハナビちゃんが、かすったらともかく僕らがこれにかすったらまず、毒を受けてやばいよ。」
ソライが獣人特有の嗅覚で匂いをかぎ分ける。
「つまりこのダンジョンはオレ達を名実ともに殺しにかかってきてる。油断ならねぇな。」
ん?ユウジの一言で少しだけ気になることがある。
「なぁ思ったことがある、これはエプが仕掛けた罠なのか?
それとも元からこの遺跡にあった罠なのか?」
「何が言いたい、サイム。」
「そもそもさ、なんでこんなくそ暑い場所に、遺跡がぽつんと立ってるんだ?
どうやって建築した?こんな奇妙な建築物を。」
「それは…あれ?言われてみればなんでだろう?」
「もしかしたらこの遺跡は、もともと何らかの物を守るために
存在していた砦とか城とか呼ばれるものだったんじゃないか?」
「守るって何を?」
「たとえば…王様とか。もしかしたら超越の歯車とか?」
「ないないサイム考えすぎだって~」
「でもさ。ありえなくない話じゃん。
もしかしたら何かを封印するためだったんリ墓所だったり。」
……俺らは冒険職。歴史学者じゃない。
だが、メイジダンジョンの一件以降、ちゃんと調べないと後で痛い目にあう気がするのだ。
なんのために建てられた建物なのか…。
実際にモンブがいなければ、梯子のパスワードがわからずメイジダンジョンは最上階まで昇れなかった。
時間はないが、少しでも考察しながら進まなければ危ないだろう…。
『急がば回れ』というやつだ。
▽▽▽▽▽▽▽▽
俺らがこんな話をしていると、ユミは自身のポケットから何らかの薬品と粉を取り出す。
「ユミどうした?」
「誰が狙ってるのかは多分わかると思うわ。近代の毒が作れたりしたら古代の仕掛けではないはず…。」
矢の毒のついた部分を丁寧に拭きとり薬品へいれて軽く振る。
薬品の色が少し赤みがかった紫になる。
「はい、お師匠様、特注試験薬で陽性。がっつり猛毒。
矢についた不純物の量も多いけど、矢と毒の作りが雑のせいね。作った人物はたぶん初心者。
種類としては生物……昔、資料でチラッと見た気があるけど蜘蛛の毒に近いわ。
この量を取り出すには現代科学じゃないと厳しいと思う。」
「…なるほど……つまりたぶん、エプの仕業だな…。」
そういえば事前に得た情報の『テグラ様』って像は蜘蛛だったな…。
何か関係があるのだろうか……。
――ニッちゃんナイスだ。少しビビってしまったみんなの気が逆に引き締まった!
こういう一言に助けられる。メンタルはマジで全員の命にかかわってくるからな。
最近のニッちゃんは本当に頼もしい。
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~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~
~ノーツーはピアノを弾けるが管楽器の方が得意だぞ!~




