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第8話その6『鉄と歴史の都市リクタニ』

※この『物語』は『フィクション』です。

※それなりに『光を探す』気持ちで読んでください!



 ――午前6:01

8月23日、旅15日目



 翌日

俺らは朝飯を食い終わり、移動を開始する。

いつものようにスクエアバギーを出し、広大な世界をかける。

昼には陸谷リクタニ到着の予定だ。



▽▽▽▽▽▽▽▽



「なぁサイムー」

 ユウジが話しかけてきた。

ちなみにだがアルゴニックは食後の昼寝していて

ニッちゃんは自分たちの下着の洗濯干しに、

ハナビはソライの横で運転する風景を見ている。

俺とユウジは朝のゲームに興じていた。

ユウジも先ほど、食器洗いが終わり暇だったので俺がゲームに誘った。



「お前さ、あれからどうなった?」

「どうなったって?つかあれからっていつだよ。」

「だいたい『6年前』のあれから。」

「…」

「正直さ、不安だったんだよな、だけども久々に会ったお前は元気そうで、会社なんか立ち上げちゃって。聞いていいかずっと悩んでたけど。

オレ、お前に聞いておかなきゃなんだか、むずがゆくって…。」

 ………



 …




 そうか。ソライと同じようにこいつなりに……。

………一応言うか。





「…お前の不安は的中したよ。詳しくは言いたくないけど…。

……だが、今はもう大丈夫だ。」

 ユウジは寂しそうに笑う。もう大丈夫。この会社も楽しいし。

その反応を見て互いに少し安心する。





「………そうか。そういってる間に必殺技!」

「あ、テメェ!何してんだよ!」

「いえーいざまーみろーオレの勝ちぃー!」

「くっそー次こそは!」





▽▽▽▽▽▽▽▽

 《鉄の道中、リクタニ到達まで時間およそ4日》

挿絵(By みてみん)

※拡大推奨

▽▽▽▽▽▽▽▽

鉄と歴史の都市_陸谷リクタニ

▽▽▽▽▽▽▽▽




 五日かけて俺らは陸谷リクタニに着いた。

陸谷リクタニは歴史を重んじる街で今時瓦屋根の建物が非常に多く、また古民家の建物に這うように様々なパイプが多く通っている。いにしえの和風スチームパンクって印象だ。

さらに工業地帯が近いのかかなり油臭いにおいがする。

キャッチコピーは『鉄とエニシ都市クニリクタニ』と呼ばれている。





 陸谷リクタニの都市外周辺りにスクエアバギーを止める。

「えーーーーっとこっからツザン街に行くためには、どうすりゃいいのかな?」

 俺はヘラロスにもらったメモを見ながら呟く。

ちなみにだが今回も今回とてアルゴニックは家で留守番である。

「サイムさん。とりあえずバス停を探しましょう。」

「そうだな。」

 俺たちはバス停を探すことにした。



▽▽▽▽▽▽▽▽





「しかしあれだな。この街に来ただけでタイムスリップしたみたいだな。」

 周りは瓦屋根の建物ばかり、さっきまでいた道は砂利道。

中には松の木とかが植えてある庭園や石垣で舗装された川。

とにかく写真とかの、200年くらい前の建物みたいなのばかりの景色だ。



 地元ショーワちょうと比べて清潔感やきれいさを感じるが、その景色の中にところどころ強引に埋め込まれた水道管のパイプや、瓦の一部が鉄製でできていたりしているところがどこか異質に感じている。









「この街はもともと鉄の製鉄と西にある都市、来岳ライガク都の交易で成り立っていて、失われてはいけない技術があまりにも多すぎた結果、技術保全のため都市ごと建物を、ほとんどを特定重要文化財に指定したらしいですよ。」

「あーーーどうりで、きれいに感じるわけだ。」



 ユウジが俺の肩を突っつき。

「ただその代わりルールは厳しく都市内の固有の法律は厳しいって、カジノにいた時に同僚曰く適当な道路にポイ捨てしただけで、東協都トーキョートの4倍以上の罰金だそうだ。」

「おぅ…」

 同僚…さすが警察、妙なことを知っているな。特定重要文化財…なんて面倒なんだ…。



▽▽▽▽▽▽▽▽



「しかし、見当たらないねーバス停…。僕、小腹すいてきちゃう。」

「この先、少ししたところにバスがあるよ!お兄ちゃん!

そして!ここの名物はお団子だよ!!名物はお団子!!きび団子だよッ!!」

「あとで買ってやるよ…。」

「わーーーい!!ハナビ、きび団子好きーー!!」

 ハナビ…食べたいんだな…。きび団子…。

漫画だったら集中線がついていて期待のまなざしで言っている時点で察しが付く。

……お前はサルか、キジか…ソライならダックスフンドだけど、そこにいるが…。







「……ちなみに、合流していない3021お姉ちゃんも、きび団子大好きなの…」

「安心しろ、救出したらみんなで食えばいいさ。おごってやる。」

「うん…。…お姉ちゃん、無限にきび団子食べれるけど。」

「……覚悟しておく。」

 こういったものの最後の姉の攻略法を見出していない…。どうしよう。

ハナビ曰く無駄に体が硬くて鉄壁らしい。

単純に『身体』が硬く、動きも素早くて一番厄介なのが『頭がいい』という点だ。

ユウジとの頭脳合戦…。一番避けたい展開だ。後衛はユウジ一人しかいない…。





 状況を分析しユウジを守りながら戦うことは避けられない…。

他のメンバーを後衛にまわしてユウジを守ると決定打に欠ける可能性がある。

ユウジを倒されてなし崩し的に負ける…。

いや…あんまり嫌なことを考えるのはよそう。今は祈るしかできない。





▽▽▽▽▽▽▽▽



 そうやって街を歩いていると突然。



 RRRRRR!!!



 という電話の着信音がする。

「…あ、すいません。私のです。…ムッチーからだ。

はーい!もしーもし!ムッチー?ひさしぶりー。」

 そういってニッちゃんは自分のガジェットの通話ボタンをオンにする。

そして、その着信と同時にユウジが小突いてくる。





「(小声で)なぁ、サイム。ムッチーって?」

「(小声で)ニッちゃんの学校の友達。そして俺達の会社のヘルプのバイトであり、この会社のネット関係担当の外注プログラマー。(※第3話参照)」

「(小声で)…高校生だよな…。」

「(小声で)ああ、プログラマーだけどな。」



「(小声で)高校生…。リアル高校生……。バラ色のスクールライフな高校生…。」

「(小声で)そっちか、相変わらず頭の中ピンク一色か…。」

「(小声で)違う…ピンクと金色かねのことで二色だ。」

 ……こいつは中学のころから何も変わらない…。…欲にまみれた馬鹿だな。



▽▽▽▽▽▽▽▽





「うんうん…!ああ、そうだよね~…うん。でさ学校はちょっと遅れそうなの。

ごめんね~。先生には帰ったら言うつもり~。宿題はちゃんとやってるよ~。」

「…ぷッ…!」

 やべぇ、いつも敬語のニッちゃんが、砕けた口調を使うもんだから思わず吹き出しそうになったじゃねぇか!

ムッチーと二人きりで会話しているときこんなのだったけ?

あまりのレアケースに、ギャップ萌えに奇妙なギャップ笑いしてしまう。





 ――少しニッちゃんの素が見れてなんだか少し楽しいなオイ。





 ニッちゃんは俺を横目にチラッと見て。

「……。ああ、ごめんなさい。それでですねー。もう少しかかりそうなんですよー。」

 まず、勘づかれたか!?笑ったこと、勘づかれてジト目になってる。

ああ~ニッちゃんの素の口調もうちょっと聞きたかったなぁ~~!!

もう二度と見れないような光景だったのに!

「……え?…???緊急??は、はい???

……???

……?変わり、ますね。」

 なんだか様子が奇妙だ???

「サイムさん、ムッチーからです。なんだか、ちょっと大事な用事があるとか…。」

「俺に?」





 俺はニッちゃんのガジェットを受け取りムッチーとの電話をする。

ムッチー久々だな…。と思いながら受話器に耳を当てると。

ノイズ交じりに聞こえてきたのはムッチーの声だ。





「サイムさん、そこ………ッから!…めて…ザッ…危険なのッ!!」

「…はい??」



▽▽▽▽▽▽▽▽



 なんだ??ムッチーとの通信にひどいノイズが入って聞き取れない。

危険を知らせている?ことは確かだ。

「ごめん、話がよく見えない…。」

「いいから…ッ…!原罪(エデン_シン)は危険なの!!

それにそっちに…ッ……てるの!」

「ごめん肝心な部分を聞き取れなかった。

それにしてもよく俺らの目的地が、原罪(エデン_シン)だってわかったな。言ったっけ?」

「だからそれに…ザッ ……るの!!このままとても危険な『破』の……が、それに…ザッ」

 途中からノイズがひどい…。ムッチー今どこにいるんだ??

「ムッチー??おーーーい??」

「…」

 なんだ??



▽▽▽▽□▽□□





「もしもーし。」

「ザザッ……ジ…ッ いヤー.なんでもないですよー.すイません.

どうも回線のちょうしがわるくて。」

 あ、戻ってきた。なんだか音質変わった気もするけど。



「大丈夫か?」

「すイません。ちょっと移動しながらでして、別回線とマイクを直シました!」

 まぁちゃんと、ムッチーの声だし問題ないだろう。まだ少しだけノイズがする気がするけど。



「で、原罪(エデン_シン)が危険って?『破』の…なに??」

「ジつは、原罪(エデン_シン)…その部下がその街にいて、ある『破壊活動』をする計画があって、それを止めないといけなイの!」





 は?

「『破壊活動』って?」

「『戦争』を起こそうとしていルかもしれないの…」

「『戦争』?」

いちおう言っておくと、警察は信用できない…!

警察内部にその人物が内通者スパいとして潜り込んでイて、『その都市以外』で『遠隔爆弾』を爆発させて、『内戦』を起こそうっていうe-メールが届いたからなんだ。」



 メール…?なんで、ムッチーのもとへ…。それにそんな行動はもはやテロじゃないか!



「メールの差出人は?」

「『暗躍する影20210801_cc662』っていう、すんごいなまえデす。」

 …またこいつか…。MCS事件に続いて、また訳のわからない事件が…。

なんなんだこの暗躍する影ってのは……。

「私も調べてみた感じ、本当っぽくって。下手に動くト危険なの!

原罪(エデン_シン)を警察の内通者スパいが、勝手に原罪(エデン_シン)の名前を使い

戦争を起こそうとしていルの!だからその前ニ止めて!」





 ……ムッチーも調べたのか…。じゃあ情報に信ぴょう性はありそうだな………。

「わかった。ありがとう。ついでだ。これは依頼と受け取らせてもらうぜ。」

「アりがとう…ふふふ。サイムさんがそこにいてよかったー。

じゃあ何としてでも原罪(エデン_シン)を説得してね。調べた感じ、原罪(エデン_シン)本人は説得できるらしいし、むしろ危ないのは警察の内通者ラしい。きをつけて!」

「わかった!情報提供ありがとう。それじゃあ。」

「バイバーイ。ぶじショーワ町に戻ってきてねー。」

 こうして電話が切れる。



 ――……???







 何だっけ?いつもムッチーって、こんな電話の切り方をする子だっけ?

一応、年上で『取引相手りんじのバイト』をやっているものに対して…まるで大人っぽくない女子高生みたいなわかい雑さがあるっていうか…。

いや、女子高生なんだけれども…。



 それにまるで今の情報、なんだか変にムッチーらしからぬ。薄さの情報だったな…。

調べたってどこの情報とか、いつも長ったらしいウンチクみたいに説明して、企業から信用を得ているムッチーは語るのに…。





 ということは…。

「なぁ……ニッちゃん。ムッチー、風邪でも患っているのかもしれない。」

「ええ!!?マジですか!!?」

「ああ!アレは風邪だ!声も若干、変だったし!移動しているのも病院へだろう。熱があるかもしれない!あとで軽く商店街の連中に格安ツケ電話リーモト・ショッピングしてムッチーの家に風邪に効くものを届けさせる!」

「私と話した時に元気そうだったのは……もしかして、友達だから風邪を悟らせないようにするためなんじゃ…。」



 …あ!

「そう考えるとムッチーの気遣いを、俺が言っちゃったから台無しにしちゃったんじゃ…。」

「…いえ、知れただけでもいいんです。心遣いに感謝します。それを無駄にしないように頑張ります!」

 ニッちゃんに気合が入る!





 それに警察の不祥事を暴いて、戦争を止めるってなんだかアニメとかラノベで見る英雄っぽいじゃん!やべー盛り上がってきた!

「よーーーし!やるぞーーー!」

「やれやれいつになく張り切ってますなぁー。」

「だな。」

 ソライとユウジが後方、腕組で達観しているのをよそ眼に、俺は少しだけテンションが上がった。







主観変更side_ムッチー

▽▽▽▽▽▽▽▽



「大丈夫ダ、まかせておけよ。ムッチー!

ちゃんとニッちゃんやみんな連れてこの街ヲ『脱出』する!大人を信じな!」

「うん…信じてますからね。サイムさん…。ちゃんと『逃げて』ください。」

「それじャ!またぶじにショーワ町で、アえるのを楽しみにしてるからな!

バイバーイ!」

 サイムさんとの通話をきる。







 サイムさん、頼みますよ…。本当に危険なんです…。

『その街』から逃げないと…。

このままだと『その街』…木っ端みじんに『大爆発』してふきとんじゃいます!!



 それにニッちゃんと久々にちゃんと話せてよかった。

こういう時のサイムさんなら、きっとニッちゃんにもうまく伝えてくれる。友達を不安がらせるのは、いい気分はしないし…。



 …あの回線の不調は何だったんだろう?サイムさんの声も少しきれいな感じがしたし…。





▽▽▽▽▽▽▽▽



 …そんな回線の不調から数時間後。

なぜか我が家に大量の長ネギとおかゆが届けられ、家族全員で困惑しながら食事することになるとは、この時の私はまだ知らなかった。



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~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~

~『とある聖職者のフリをした女』に出会ったらすべての記憶が消えるらしいぞ!~

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