第5話その3『風の道中_3_蒼の滝と薄光の丘』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『意味なくゲラゲラ笑う』気持ちで読んでください!
▽▽▽▽▽▽▽▽
蒼の滝
▽▽▽▽▽▽▽▽
出発からしばらくして…
――午後16:32
8月9日、旅1日目
「さてと、サイム!みんな!そろそろ最初の関門にして絶景ポイント来るぞ!」
「何ですか?『関門』って…だってまだ出たばかり…」
「あ、そうか!今日は晴れってことは!」
「あーそうだ。皆さま窓をご覧くださーい!」
俺とソライは意気揚々とソファ裏の窓を指さす。
そこには大きな滝があった。この滝は『蒼の滝』と呼ばれている。
滝の横幅170m、落差48m、平均水量毎分90,000m³の滝。
俺達はそのとんでもない水量の滝を眺められる麓を走っていた。
麓といっても何もないわけじゃあなく木の数が少ない森って感じだ。
「うわーーーー。教科書で見たけど実物は初めてです。」
「すげぇな俺の世界…。」
「ねぇねぇ、ソライお兄ちゃん。
なんで、あそこの滝の虹、全部『違う青色』だよ!なんで?虹って虹色じゃあないの?」
ハナビの萌え袖で指さす、虹にはそれぞれ薄い蒼や青紫や濃い青等の『七色の蒼』でできてた。
「ああ、それはね、ハナビちゃん。この滝の水をよく見てごらん?一見すると普通の水だけど独特に光って見えないかい?」
運転しながらソライは親指で窓を指さす。確かに水はところどころまだら模様の不思議な色があった。
「ここの水はね。いろんな山の有毒性の鉱物や遺跡の謎の遺物や、過去の工業用の廃棄物が流れて化学反応が起こって独特な色になっているの。」
「水の色と虹はどう関係するの?」
「虹ってのは光なの、スペクトラムとかプリズムとかそういうのだけど。
光ってのは水とかに通して虹になるんだけど、なんだか独特な色をしている、ここの水は青色以外の色を吸収しちゃってこういう虹になるんだって。」
「へぇ~~。」
「ここの蒼い虹はきれいでもあるけど、同時に恐ろしく忌まわしいものなんだ。」
まぁきれいな薔薇には棘がある。きれいだと思っても生き物を殺すそういうモノだって世の中にはある。
「…ん?ここの水その説明だと人体に有害…?」
「アルゴニック…当然有害に決まってるだろ?」ニコッ
「あ、そういえばさっきの書類に窓開閉禁止区域に、蒼の滝って…。」
「そういえばニッちゃんの書類に書いてたな。
大丈夫、『ここ』は窓を閉める程度でいいんだよ。問題はこの先だ。ソライ!」
「わかってる!みんな先に説明しておきたいことがあるから、よく聞いて!」
ソライが運転しながら神妙な面持ちになる。
「いいかい?ここの水は当然ここから下流に通じている。
下流はここら辺と違って勢いは弱まっている。
勢いの弱い下流の水の毒はどうなると思う?」
「…毒が沈殿していく?教科書に載ってたような…。」
「そう、ある種のヘドロの状態になり滞留し沈殿していく。
中には夏の気温で、気化する毒とかもある。決して嗅いではダメ。
当然、窓を開けたらダメだし。
なんなら窓を閉めても、エンジンが腐食してするかもしれない。」
「さらにソライに付け加えると、ここらは毒性のある器官を持つモンスターもいるそうだ。」
当然ここの周りの森も毒草しか生えていない。
「え、ど、どうするんですか!?」
「まぁあわてるな。慎重にここから早急に脱出するために内陸へ若干寄りに進む。
そして小さい丘を超えたら平原があり、俺らは海岸線へ戻っていくって感じだな。今日は丘に泊まる。」
「それまでピンチとかは特にないと思うけど、
できるだけハンカチとかで口覆っておいてね。」
「「「はーい。」」」
その後、極力喋らず息を止めて石橋を渡ったり、雄大かつ不気味な色の滝を眺めていた。
自然ってのはすごいけど、こえーなとか思いながら、通り過ぎていた。
▽▽▽▽▽▽▽▽
薄光の丘
▽▽▽▽▽▽▽▽
――午後20:13
「うん、うん、わかりました。ごめんなさいおじいちゃん心配かけて…。
じゃあ頑張りますね!バイバーイ」
ニッちゃんは電話を切る。祖父である権三郎のじじいへの連絡だ。
まぁあのじじいは、孫であるニッちゃんに対して甘く俺らに対して厳しい所がある。さっき俺が電話したときは、受話器越しから薙刀が飛んでくるかのような鋭い怒声が聞こえてきたのに。
「サイムさん電話貸してくれてありがとうございます。」
「いいってことよ。都市じゃあないから衛星電話じゃないと繋がらないしな。
で、じじいは何だって?」
「えーーーと宿題をやりなさいくらいしか。あまり心配してませんでした。」
さっき電話したときは『孫に何かあったらその首と胴体が離れると思え!』と脅されたがな。くわばらくわばら。
さてと、俺達はすでに蒼の滝の危険地帯を抜け、薄光の丘という山岳地帯の中腹に来ていた。ここら一体はあまり獰猛な生き物はおらず、木々もあまり高くない、舗装はされてないがありがたいことに道はある。
俺らはそんな山の中船で言うアンカーを地面に突き刺し家を固定しキャンプをしている。
――ちなみにだがアルゴニックはすでに寝てる。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「シャワーあがったよーん。」
「ソライお兄ちゃ…ん!?尻尾どうしちゃったの!?耳も何か変!」
「あ!ゴワってしてますよ!ソライさん!」
「へ?」
ハナビが風呂上がりのソライを見て驚愕している。
「あーーー昨日は朝風呂だったし、ハナビは見るの初めてだったな。
こいつは尻尾とかが濡れて自然乾燥させるとゴワゴワするんだよ。
旅の最中は節電のため、ドライヤーが使えないからな。」
「うわーーーもこもこぉ~~。」
「あーーー少女が僕の尻尾をもこもこって触ってる~~ここが天国か~~。」
ソライ…顔がキモイ。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「え………あ、え、あ…」
「どうした?ニッちゃん?」
「あ、いえ、そりゃそう…ですよね…ドライヤー使えないんですよね。。。」
「大丈夫だろ??ニッちゃん、ここのシャワーにシャンプー置きっぱなしだし…。」
「え…あ、いえ…その~~すごく言いづらいんですが…
私、とんでもないくせっ毛なんです。たぶんお母さんの遺伝か何かなんでしょうけど、いつも髪の毛を後ろでくくってるのも、それの対策で…」
「大丈夫だろ。ここには俺らしかいないし。」
「わかりました…。じゃあ入ってきますね。」
ちなみにだがシャワーの順番はじゃんけんで決めた。
アルゴニック→ソライ→ニッちゃん→ハナビ→俺の順番だ。
なお、ニッちゃんが風呂に入っている間に、ソライがハナビとともに尻尾を拭いていた。
▽▽▽▽▽▽▽▽
それからしばらくして…、俺達はニッちゃんを見て驚愕する
「ウ”ェ!!?」
「あーっはっは!」
「ソライお兄ちゃん、笑っちゃだめだけど………これは…とんでもないね。」
「ニッちゃん、そ、その髪は…いったい…?」
「…もーだから見せたくなかったんですよ。」
ニッちゃんの髪の毛はくくっていた時よりもとんでもなく拡がっていた。
腰まであるオレンジの髪の毛全て天然パーマでクるんクるんになっている。
「…ニッちゃん、育毛剤でも持ってきた…?」
「持ってませんよ!何、女子高生に育毛剤の有無を聞いているんですか!!?」
「で、でもなぁ…。ソライ…。どう思う…?」
「ひーーーっはっは!!すごい髪!!」
「うるさいッ!!」
「もずくッ!!」
ソライがニッちゃんに殴られる!
▽▽▽▽▽▽▽▽
「子供のころからのコンプレックスなんです!
髪の毛がごわごわするし、水にぬれるといつも髪が曲がっちゃうんですよ!」
「あらら~…それはご愁傷さまだな…。」
「サイムさん髪の毛乾かすの手伝ってくれませんか?」
「ん?まぁいいけど…。」
俺がニッちゃんの髪の毛を乾かすために、バスタオルでわしゃわしゃと髪を拭き始めるとハナビとソライが小声で…。
「ソライお兄ちゃんお二人は?どういう?」
「…どうといわれても、何もないんだ。今のところ。」
「へ、へぇ…。あれで…。」
「二人ともー聞こえてるぞー。どうとかってなんだ?」
「お前が、罪深い馬鹿だって話してたんだよ。」
「あ!??んだとゴラァ!!」
「ちょ、サイムさん髪の毛、痛いです!」
「ああ、すまん!ニッちゃん!」
くそーーー何だよソライ!薄馬鹿って!覚えていろよ!
「あ、ハナビちゃん入ってきなよ。」
昨日は忙しかったからご飯を食べて、すぐに寝たハナビはここの風呂は初見だ。
「ガスの元栓は開けているので、お湯はすぐに出てきます。結構熱いので水を出しながらやらないといけないので覚悟してください。」
「そういえばハナビってお湯入れていいのか?」
こいつがロボットだということをいつも失念する。
「うん、大丈夫です!少しの間だけだし、お風呂くらいならなんともないよ!」
ハナビはだいぶ高性能なようだ。ってそりゃそうか…。ただでさえアンドロイド…人型ロボットなんだから水くらいは平気なんだろう。
「じゃあお風呂入りまーす!」
シャワーの音が鳴ると同時に
「熱”ッ””ッっつ”ぅッ!!!!」
と少女とは思えないほどの大声が叫び声が聞こえてきた。
▽▽▽▽▽▽▽▽
――数分後
「ここのお風呂、こんなにも熱いの!?」
「俺らも引っ越した時、ひどく驚いた。だがなれると癖になるぞ。」
「意外にいいものと感じるし。」
「「それが俺らのスタイル!」」
さてと。ニッちゃんの髪の毛もだいぶ戻ってきたし。
「じゃあ俺も入るわ。」
「あ、サイムー男性用のシャンプー変えといて。」
「うい。」
「…二人とも、次サイムを見たらめっちゃ驚くよ~。」
「???」
▽▽▽▽▽▽▽▽
「うわぁ~~~」
「!!???」
俺が風呂から上がったらなんだこれ?なんだ?なんか女性陣の視線が俺に刺さる。
「ど、どうした?」
「サイムさん、その髪…。え、あ、え!?」
「え、まさかはげたのか?ソライにいわれて変えたシャンプーが脱毛剤ってことだったり??」
「い、いえ…?いつもの長髪が真っすぐのストレートに…。
すごく、イケているっていうか…かっこいいい…っていうか。」
「ハナビもそう思うー!はねている髪の毛がストレートにしただけですごくかっこいいっていうか…。」
「サイムばかりずるいなー。
僕も女子に主に、ハナビちゃんにちやほやされたーい。ブーブー。」
「いや、普通に風呂上りってだけなんだが…。」
なんだ???俺の髪の毛そんなに変なのか?ただまっすぐになっただけだろ?
そんなに変なのか?
「とりあえずみんな風呂上がりだから湯冷めしないようにな。
特にニッちゃんとかまだ顔が赤いし、あとで羽織る物渡そう。」
「え、あ、はい…。」
風邪とか引かないでくれよ…。
「ある程度あったまったら寝る前に外で、見せたいものがある。」
「あーハイハイ、薄光の丘名物ね。」
「「?」」
▽▽▽▽▽▽▽▽
「突然外なんてサイムさんどうしたんですか?」
「まぁ見てみな。ソライ電気消してー。」
――俺達は玄関の扉を開けて、玄関口に腰かけ電気を消す。
「見てみろ。」
「??」
「…あ!光!」
「森が光って…。」
ニッちゃんの言う通り森から薄いながらもやや黄色い光が一つ
――また一つ
――それは
ふわりと浮かび上がる。
「ここはな、様々な蛍が住むことで有名な森だ。
特にこの季節は蛍が繁殖のために光を出すいい季節らしいんだ。」
「きれい………。」
「なんだかフワフワしてて、ピカピカだね。」
「ああ、運よくこれたし、幻想的できれいだ。」
蛍の光に包まれた初日が終わる。
※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!
~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~
~冒険職が壮観な景色に感動していると奇襲を受ける割合が多いぞ!~