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咆哮と叫喚



 咆哮とともにジランの体はすさまじい勢いで再生していく。

「くそおおおおお!!!」

「何か、あいつに弱点は無いのか!?」

「そうよ!!弱点よ!!」

「ニッちゃん、僕に考えがあるんだけど…」

「ソライさんが!!?え、どこか頭でも打ったんですか!?」



「いや、そんなに驚かんでも…

あのさ、まずみんなでジランの頭上まで連れていくじゃん。

そして奴の口の中に入って、内側からサイムのカオスミックスで混ぜたり

僕の鏡開きを大量に増殖させたりなどなどで内側から破壊する!

っていうのはどうかな?」

 確かにニッちゃんの『空』の歯車があればそれは可能だろうけど………。

ティラノのような見た目を凶悪にしたような感じのあのジランという肉の装甲を破壊するためにいちいち、足とかを破壊していてもキリがないのもわかる…。



 う~~~ん…。



「そっちのほうが効率がいいか…?」

「危険すぎます!!それカオスミックスのペナルティ的にきついはずです!」

「いや、実はそれオレもほぼ同時に思いついた案なんだが…

一つ、これをやるにはあるリスクを覚悟しておかなきゃならねえ…

それは体の中に閉じ込められ、そして口や腹の中から四方八方から襲ってくる敵の攻撃をオレらが凌げるかどうかってことだ。さっきのアルとの戦いを見て思った。あいつの体は自由自在何だって、しかもめちゃくちゃでかい。ソライがいくら刀を増殖したとしても、それまでオレらが耐えられるか…」

「でもやるしかないわ!」

「…そうだな。ただ耐久するより引き際を見定めるほうが重要だ。

いかにして逃げるか。それだけを念頭に置いてやるぞ!」

 全員が頷く。







「行きます!空間裂傷!!!」

 ニッちゃんは空間に穴をあける。

その空間の裂け目を通り、ジランの頭上へ。

「サイムさん!少し空間転移にズレがあります!!」

 口の中まで少し距離があるぞ!!?





「走れ!!」

「もう、走ってる!!」

 目指すは口の中だ!!

今いるのは首のあたり!!赤黒い肉塊の上はぶよぶよで進みずらい!!

だがさすがに俺ら六人が首にへばりついた事で身体を震わせる!!

気づいたようだ!!

「ガジェットギア!セット!!」

 俺らはエアボードを取り出す、今いるのはうなじを過ぎたあたりだが、肉塊が動き出している!下手に走ったりしてたら危険だ!!



「まった!サイム!口の中はまずい!!

さっきの攻撃で口からビーム出してたじゃねぇか!」

「え、じゃあどこから…」

「鼻から入るぞ!」

「えーーー汚くない?」

「口だろーが鼻だろーがおんなじだ!」

「いいから行くぞ!」



 俺らが鼻の穴目指してツッコんでいくとソライのボードに乗って後ろを軽快していたハナビが後ろを指さす!

「後ろから大量の手が接近中!!」

「こんな時に!!」

 俺のすぐ傍を肉塊の手がよぎる!!それも一本なんかじゃなく2,3本以上!!

………そうだ!!まだ武器は手にある!!

「『オメガ』!!土壁!!『ラムダ』!!シールド!!」

 俺は手元にあるランスの先を迫りくる無数の腕に向けその周りに土を創り出す!

それでも乗り越えてくる腕を『守』の歯車で防御!!







「そろそろ鼻先!!」

 俺らは鼻の淵を掴み、中に入る。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 落下しながら対ショック姿勢をとる。

こういう落下系にはこいつだ!!

「『シグマ』!!」

 重力をコントロールしなんとか落下ダメージを防ぐしかない!!





「なんかべとべとする~!!」

「そろそろ底が見えてくるぞ!!」

 そこにはなんだか柔らかそうな肉壁でできていた。

「うぉ!!?」

 俺らはトランポリンの要領で飛んで転げまわる。

低重力でここまで来たがなんだか不思議な感じだぜ…。

「みんな!無事か!?」

「大丈夫です!」

「おk~」

「さてとそれじゃあ作戦開始だ!」





主観変更side_アルゴニック

☆◇☆◇☆◇☆◇



 ジランの中に入った…か………。

サイム達があの中で戦っている…。もう少し休ませてもらおう…。

「アルゴニック…。」

「………いつかのお前か…。」

「しばらくぶりだな。創造主。」

「ああ、しばらくぶりだ。」



 こいつは確かキジタケヒコだな…。

半透明…何かあったのか?



「ニーイに会った。」

「………そうか。」

 ニーイにあったか…。

ということはだ………。

「オドロが生まれた原因を知ったのか?」

「ああ。貴殿の世界。其の人の心の歪みが生み出す矛盾の果ての怪物。」

「………ああ。その通りだ。

人間ニーイという概念は人という生命とともにある。

必ずどんな感情も奴を参照する。

結論として『俺の世界』と【現実世界】、この二つの世界で人間性が調和を保たれてさえいれば、矛盾があったとしてもオドロなんか産まれない。」

 サイム達に言ってなかったがこれはオドロの鳴き声から薄々察していた。

人間主義の正義に偏りすぎた人という業の深い種族の末路…。



「だが人間性が悪意にまみれた時、

その揺り戻しとしてこの世界でオドロが生まれる。」

「そう。

そして結果として、『俺の創り出した世界』で産まれたオドロは少なからず

地震や疫病いろんな形の厄災として【現実世界】に降りかかる。

それがオドロ。【人間ニーイという悪意】へ変貌した未来の人類の形。

人権、哲学の崩落後の次元間侵略種族。」





「業が深いな。」

 キジタケヒコは要の扉をチラッと見つめる。

「ああ、業が深い。

現に少しずつ【現実むこうの世界】で兆しと軋みは深まっている。

なんとなくだが、人々の漠然とした不安や負の感情をよく見かける気がしてな。

せめて人の心だけでもと憂いてしまう時もある。」

「何とかなるのか?」

「これからによる………。言えるのはそれだけだ。」





 キジタケヒコは少しだけ宙に浮く。大きな炎を拳に宿して…

サイム達の方へと向かい始める。

「そうか…ならば我も[これから]を求めよう。奴らが出てきたら加勢しよう。

貴殿はもう少しばかし、休め。何者かのIdに救われたと言え、無茶のしすぎだ。」

「………ああ。頼んだ。」





 ………………【ほんと、頼んだぞ。】




主観変更side_サイム

☆◇☆◇☆◇☆◇





「サイム!!」

「やばい囲まれた!」

 俺らは円形になりながら周りの次々と生えてくる手に応戦していた。



「まだかああああああああ!!?ソライ!!!」

「まだまだ!!」

 ソライは鏡開きを大量に倍々に増殖させていっているが、まだ足りない!

今の沖差はでかい鮫レベルだ!全然足りねぇ!!



「そっちこそどうなのさ!サイム!!」

「さっきからカオスミックスやってるが全然混ざり切らない!!

つかもうそろそろペナルティ!!」

 手に肉の生暖かい感触が伝わって気持ちが悪い!!

他のみんなが俺と片手が使えてない状態のソライをカバーしてるが持たねぇ!!



「この大きさは無理があるか…」

 まぁ70mだ。ぐちゃぐちゃに混ぜようにも七支刀を増殖しようにも無理があるし、

すでに敵の腹の中だ…。他の武器化していない歯車も応戦しているがなかなか大変だし、ニッちゃんがぶん殴ってどてっ腹に穴を開け続けても瞬時に修復される!!



「ユウジさん!プランBとかあるんでしょ!」

「プランB?ねぇよ!んなもん!!」

「………あ、待って!大きさには大きさで対抗するってのはどうかしら?」

「大きさ…?『エレデ』か!!」

「はーーーい呼びました?」

 エレデが俺の足元へやってくる。



「エレデ!ソライの鏡開きをうんと大きくすることはできるか!?」

「できます。」

「よーーーしやれェ!!」

「おおきくなあれ!!!」

 エレデがチョップをするとソライの鏡開きがだんだん大きくなっていく!!





「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 すげぇ!!針山状態の七支刀が見る見るうちに何メートルも!

何十メートルも大きくなっていく!!

昔、ロックアリゲーターに追いかけられた時に見たあの針山よりも大きく!!

鋭く!!この腹の中を覆いつくさんばかりに!!!




「………ちょっと待って!!地面が!!抜けるじゃないの!!!」

「あ…。」

 ユミに言われた通り

俺らの立っている地面が切り刻まれて、

底が抜け落ちる!!!




「きゃああああああああああああああああああああああああああああ…。」

 俺らと切り刻まれた肉塊はボトリと血しぶきとともに落下していく!!

真下に白い地面が見える。

肉塊じゃあない!!

「まずいまずい!!この高さから落ちたら死ぬって!」

 俺らは輪になって手をつなぐ。みんなが傍にいてよかった…

あとは!!

「『シグマ』!!今すぐ無重力にしろ!!」

「(*^^)v」

 するとふわりと宙に浮き無重力になる。





「あっぶねぇええええええええ…。」

「下に落ちてぺしゃんこになるところだったよ!!」

 今も肉塊が何キログラムも降っていく中、俺らは地面すれすれで浮いている…。

必死に上から降っていく肉塊を避けながら、進む。




「みんな!!上を見て!」

「よーーーし!、破壊できたかな?」

 巨大な鏡開きに貫かれ肉片をまき散らすジラン。

段々構造が保てなくなったのか肋骨らしき部位がむき出しになってソライの攻撃で腹から下がえぐり取られている!!なにせ歯車二個分の連携攻撃だ。

こいつさえ崩せば中のサンアが出てきてくれるはずだ!!





☆◇☆◇▲◇▲▲





 そう思ったが…なんだか様子がおかしい…

「まだ散らばった肉塊が動いていないか!?」

 肉塊がだんだんと合体していく。

「みんな、油断するな!まだ終わってない!!」

「エレデ!鏡開きを元の大きさに戻しておくれ!」

「はい。小さくなあれ。」

 エレデはソライに七支刀を手渡す。

「サンキュ。」




 

「来るぞ!!」

 俺らのもとへ何十体ものの有象無象の肉塊が襲い来る!

「「「「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」」」」

 俺らは咆哮とともに走り出す!!


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