第4話その3『逃亡者3066:ロケット花火』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『姉妹を思う』気持ちで読んでください!
俺たちは店を出たところで困ったことになった。3066をどうするかだ。
この子を何とかしてやりたい。だがこのままいけばこの子は姉ロボットに、連れ去られてしまうだろう。それにこの子を制作者のもとに送り届けてあげたいとも思う。
――そうやって考えていると突然横から大きな声で
「敵の兵を発見!!!」「駄目だ!!」「駄目だ!!」「駄目だ!!」
「駄目かぁ…」
と非常に聞いたことのある、うるさい声が聞こえてきた。
「おいサイム。」
「わかってるソライ。厄介な連中がすぐそばまで迫ってきてんだろ。」
「武山才無。こんなところで飯とはいいご身分だねぇ」
俺はため息をし、声のしたほうを振り向く
「久しぶりだな大和魂と万歳ストームども。」
「ヨォー!武山冒険社!」
俺たちの前に現れた軍服を着たこのミリタリーな六人はX級冒険職、『万歳ストーム』
通称、万歳突撃部隊。
全員がミリタリーオタクの集団で、俺らほどではないにせよ、戦闘力と連携力で行ったらかなり強い部類の同業者である。
ただし俺同様に人の都合を考えない節があり強引かつ、力づくで解決する節がある。ようは俺と似たようなただの馬鹿。
ただ、その特徴的な言動から結構人気者なのが腹立つ。
ほぼ同時期に、俺の武山冒険社と事業を始め『先に』ランクを上げたので何かと、うちを見下してきやがる傾向があるんで、その喧嘩を買い続けていった結果、完全にライバルとなってしまった。
「おいタバコくれよ。(唐突)」
あとこいつらは口が悪くうるさい。
「悪いねぇ俺は持ってない主義なんだわ。」
「チッ。まぁいい。そんなことよりだ。今、時間いいか?」
「今は勝負をしている暇はない。後にしてくれ」
「よし、今いいんだな!」
「いや、よくねえから今クッソ忙しいの!」
その言葉にタマシイ以外のメンバーが口を開く。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「俺は攻撃を行う。半端ものには一泡吹かせねぇと気が済ままねぇや。」
この男の名はカンミ。
紺色の軍服を着て薄汚れたバンダナをつけたしわだらけの50代後半の老兵という印象で。身長が低く手先が器用な草原人という種族だ。万歳ストームのある意味かなめであり工作員だ。
『山軍王-マウンテン・アーミーキング-』と呼ばれている。
『よぉ』とか『ねぇ』とか小文字を多様に使う渋い感じの言葉遣いだ。
「ハイ!ワカリマシタ!」
この男の名はワア。体が男性なら岩や鉄のように固い種族で赤い模様が肌にある石流人だ。こいつはでかく2m越えのタンクトップを着ておりハゲで筋肉もりもりマッチョマンだ。
つねにニコニコと^p^って感じの笑顔が欠かさない爽やかな感じの男だ。めちゃくちゃタフで壁にされると攻撃は通ったことがない。片言でしゃべり、特徴的な声をしている『ハイ!マッチョ・ソルジャー!』の異名がある。
「了解であります!」
こいつは吉田飛弾。
頭にかぶったミリタリーヘルメットが特徴で、種族はアナウサギの獣人だ。 ニッちゃんやムッチーと同級生でニッちゃんたちと仲良くケンカしている。ニッちゃんたちの仲はある意味、俺とタマシイ以上に棘がある感じで、仲が悪いかもしれん。学校で何があったんだか…。基本あります調でしゃべる。
二つ名は『デモリッション・バニー』
「攻撃だー!燃えてくるじゃあないの!」
こいつはメダ。
赤い髪と一本角と黒の軍服のマントが特徴的な奴で正直戦闘したくない…。影が薄いから下手な行動をするといつの間にかやられている。つまり隠密行動させれば、右に出る者はいない。口を開けば交戦的だ。
ついたのが『ミエナイチカラ』という二つ名である。
「敵艦発見!!我らが最強たるゆえんを見せてやろう。」
この男の名はエイ。
髪の毛で光合成し栄養素を創る『妖精人』という種族だ。カーキーの軍服に種族特徴の緑の髪に長耳。
万歳ストームの副参謀、交渉を担当しており、頭がよく。危険感知技術がこいつの強みだ。素性を明かしたがらず不気味な奴だが頭の良さははっきり言ってタマシイ以上。
『大本エイ発表』という二つ名があり
常に落ち着いていてどこか客観的な口調をしている。
「だが我々の意見は満場一致で貴様らとの勝負をする方針だ。さぁ我々との勝負を受けろ!!」
最後になったが、大和 魂。万歳ストーム、代表取締役社長。
種族は黒髪黒目の人間だ。深緑の軍服が特徴的な男で。
熱血漢、口がうるさく、うざく、豪胆で、全力で物事につっかかる、そして強い。
腕力もそうだが全体的な能力が馬鹿みたいに高い。
厄介なのが成長能力そのもののスピードの速さだ。相手にしてたらキリがない。
あと、なーんか、俺との相性が悪い。腹立つ。
――この厄介でうるさいのが俺らのライバル。万歳ストームだ。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「勝負しろ!サイム!」
「えーーーもうじゃんけんでいいじゃん。勝負なんてさ。」
「駄目だ!それはもうやったからな!
まさかとは思うが我々に負けるのが怖くて、敵前逃亡か?
そちらの事情など知ったことはない!負けっぱなしでいられるか!
我々との勝負を受けろ!!」
「ハイ!」
「話聞け!!」
「ヤツラヲタオセー」
いい加減キレそう、このうざい連中。
暑さのせいか頭ももうろうとしつつ、怒りでどうにかなりそうなレベルだ。
引き下がったら、舐められっぱなしになる!こんな連中に!!
「あぁ!!もうわかったよ!!やりゃあいいんだろ!!やりゃあ!!!」
「勝負でも我々は勢いをとどまることはないだろう。」
「おいサイム…本当に引き受けちゃっていいの?僕かーなーり不安なんだけど」
「背に腹は代えられない。」
▽▽▽▽▽▽▽▽
「おい吉田!」
「吉田です!」
「勝負成績を教えろ。」
「は、勝負は現在前回のかくれんぼで20対20、5引き分けになりました。」
「ということはここが世紀の一戦!
さて勝負……ん?
サイム!あのバイトはどうした!?」
バイト…ニッちゃんか…。
「家の掃除を押し付けた。」
「今すぐ呼べ!!お前たちとは対等に戦いあいたいのだッ!!」
「へいへい…。…もしもし~ニッちゃん?」
「サイムさん!何やってんですか!帰って掃除してください!」
通話越しからでもわかるすごい怒声が耳に届く。
「あ~その節はごめんね。でもね、目の前にタマシイの奴がいて帰るに帰れなくって…。」
「こっちは掃除が大変でムッチーにも手伝ってもらっていたんですよ!
何、同業他企業と遊んでんですか!!」
「ニッちゃん、これどこにー…。うわ!これ、男物のパン…」
ニッちゃんの友達であるムッチーの声が電話越しに聞こえる
…パンツそこら辺においたまんまだ。男でもこれは恥ずかしい…
「いや…本当にごめん。ボーナス出すから…マジでごめん…。
とりあえずタマシイが呼んでいるから来てくんない?」
「はぁ~わかりました。これでろくでもない用事だったら殴り飛ばしますよ!
覚悟してください!!」
ろくでもない用事なんだ…
確実にろくでもない用事なんだ。
覚悟しておこう…右で殴られるか…左で殴られるか下手すりゃ両方か…
オラオラか…考えるだけでぞっとする。
▽▽▽▽▽▽▽▽
――20分後
「こんなところで油を売っていたんですか…呆れますね。」
さして距離のない位置にある広場に俺たちは来ていた。
ニッちゃんが来てくれたはいいものの…。めっちゃ怖い。
「お久しぶりです、サイムさん。」
ムッチーにいやされる。かわいいし愛想がいい。何だ姿だけで放たれるこの包容力は…。彼女がとても先ほどまで、俺のパンツを見ていたとは思えない。
ほんと、適当に置いていて済まない。
「よぅ、ニッちゃん、ムッチー。」
「あれ?ムッチーイメチェンした?」
「はい。髪をちょっと…。」
ソライが何気ない一言を放つ
全体を覆っていた前髪が、右眼の部分をよけるようにセットされており片目しか隠れていないようになっている。あと頭にあったお団子がない。
「この前ぶりであります。草島さん。睦月さん。」
「あ、吉田君。」
吉田とニッちゃんの間にピリリと火花が散るような光景が目に浮かぶひりついているというか、ある意味俺とタマシイ以上にライバル視していやがる
「そういうこと…。ムッチーも巻き込んでごめん。補欠頼むわ…。日給を出すわ…。」
日給という言葉にムッチーが
「内容によっては『割増』してくださいね。」
ちゃっかりしてる発言をしてきた。たくましい。
「よし!じゃあこの6人で、勝負を開始する!!」
「ん?6人ちょっと待ってくれよタマシイ!!お前らまさかこのちっこいロボットと、さらにちっこい謎生物ももしかしてカウントしてる?」
「よし!大和魂を見せてやる!!!」
「いや、聞けよてめぇ!!」
まてまて、こんな幼女ロボットと役に立たったことない『生もの』を連れて、こいつらとの勝負受けるのか!?無茶言うんじゃあねぇよ!!
▽▽▽▽▽▽▽▽
「今回の勝負内容は前回勝者の我々が決めさせてもらう!!」
「だから聞けよ!!!」
あーーーーもう話聞かねえええええぇー
「勝負のルールは簡単だ!ここに数枚の依頼書がある。
どれも街の内部の困りごとだ。
これをそうだな…2つ解決する。
町の依頼を解決後、その後あそこに『タイショウモダンタワー』があるだろう?
あそこでも各社、『地下と頂上』合計2つ解決して突き進む。
そして最終的に地下と頂上の両方のゴールに三名ずつ六名全員でたどりつく。
以上だ。
ようは街の依頼2つ、塔の依頼2つ、『合計4つを解決し2つのゴール』にたどり着くだけの競争だ!!」
あー依頼解決系のタイムアタックか。
「感覚としては肝試しとか借りもの競争みたいなものってことね。はいはい。」
「ハイ!」
「我々の勝利は近い。」
「チッ、仕方がねぇやってやるよ!!」
もうこいつらに対してはほぼやけくそだったりする。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「ではここから依頼を2つ取れ。街の奴だ。」
「はいはい…」
そういって手渡された依頼書からまず街の二つ取る。
依頼内容は…げッ、『テッシュ配り百個』に『迷子の猫の捜索』!?
これめちゃくちゃ時間がかかるんじゃないのか?
「ふむ、我ら万歳ストームは、
マンホールの写真を50か所撮ってくることと、牛乳の配達20軒か」
あいつらの依頼のほうが謎だな…
「サイム…依頼こなしていけるのか?」
「やるだけやってみようか…ここで諦めるのはカッコ悪いし。」
「じゃあ次にここから2つ依頼をとれ塔の奴だ。」
…依頼書をとる。
「上層部サーバーのファイル整理。
地下…謎の幽霊を何とかしろ!?はぁ!!!?」
幽霊なんて無茶苦茶だろ…いるわけねーじゃん。ちらっと女子組を見る。
あーーーニッちゃんが青くなってる。ムッチーはコクンとうなずく。
そりゃそーか。覚悟して勝負しなきゃな。『最悪』のことも考えよう。
▽▽▽▽▽▽▽▽
俺たちはティッシュの入った箱と、猫の写真を受け取り、
吉田の合図でスタートすることになった。
「行くであります!位置について!」
クラウチングスタートの体制をとる一同
「ああ!」
「行くぞ!よいドン!!」
あいつ!!?スタートの掛け声が雑ッ!!
「『よいドン』ってなんだよ!」
「ばんざあああああああああああい!!」
「ごかすなあああああああああ!!」
俺たちはいっせいに駆け出していく
「サイム!どこに行く!?」
「ショーワ駅だ!駅なら何とか配りきれるはずだ!」
「アルゴニック!塔の時に壁吹っ飛ばしたあのでかい手で、3066号を背負っていけるか?」
「ああ、できる。来い!ラスチ!」
アルゴニックが巨大な鉄の手を背中から生やし、3066号を掴む。
いきなり走ったんで昼間のチャーハンがこみ上げてきそうだ。
………それでも、この勝負にちょっとワクワクしている自分がいた
炎天下の中全力疾走で移動したんで、汗だくになりながら駅に到着。
「あっつい…」
「はぁはぁ…じゃあ配るぞ…」
「おーーー…」
俺たちはポケットティッシュを配ることにした。
ティッシュには商店街にあるサンマルピアノ教室と書かれており、これを人に手渡していけばいいということが分かった。
▽▽▽▽▽▽▽▽
ショーワ駅
▽▽▽▽▽▽▽▽
1時間後
「サンマルピアノ教室でーす。よろしくお願いしまーす。」
道行く人たちはたまーにテッシュを受け取ってくれて、
おかげで全員で合計して40個消費することができた。
「もーいや!もー知らん!マジあっついし!やらん!」
ただし…アルゴニックが駄々をこね始めるまでは順調だった…
「そんなことを言うなよ。これ勝負だから、早く終わらせて次の依頼まで行かなくっちゃいかんだろ。」
「そうは言うけど!俺は暑いの嫌だもん!誰だよこんな暑い世界創ったの!」
「お前だよ!!」
「大体さ、なぜちまちま一人ずつに配らなきゃいけないわけ?
めんどくさいだけじゃないか!」
ああ、こいつ根っからのめんどくさがり屋なんだな…
「確かに僕もアルゴニックの意見に賛成かな…
このままいったところで時間をとられて、勝負に負ける可能性がある。」
「ほら見ろ、ソライもこう言ってる。」
「やるんならできるだけ、人を集めれそうな方法を取れたらいいんだけど。」
「人を集める方法か…」
うーむなんかいい方法はないかな…
「…思いついた!!
なぁアルゴニック、君の中にある『絵』の力でやってほしいことがあるんだ。」
「何を?」
「それは……だ!!」
ソライの一言で場がシーンと静まり返る。
「うーーーん。一度やったらへとへとになる、できなくはないけど。まぁやってみるわ。」
▽▽▽▽▽▽▽▽
――準備が整い数分後
「準備完了!!」
「大丈夫です。」
「「いくぞおおおおーー」」
「「「「おーー!!」」」」
俺は、オーディエンスに向かって言う。
「皆さん俺たちのマジックショーに、集まっていただきありがとうございます!!」
ソライの用意した作戦とはまずアルゴニックの中にあるカイの力でここら一帯にマジックショーの宣伝をやる。その間これまたカイの力で俺たちは特にニッちゃんをメイクをする。
その間、ソライが駅に事情を話し、許可を得る。
あとはステージもろもろを整えれば完璧。
キャストは俺とニッちゃんが、マジシャン
3066号がマジックを受ける側、アルゴニックが舞台装置
ムッチーとソライがティッシュ配り
ちなみにアルゴニックは俺のそばで、疲れたのかほぼくたばっている。
「では早速やっていきます。」
「はい、では皆さんまずはここを見てください。ここ」
ニッちゃんはまず、地面を指さす。
「何なら触っていただいてもかまいません。ここには、何もない変哲な地面ですね。ここからなんと等身大の箱を出現させて見せます!」
「ハイ、3・2・1。」
「クリエイトぉ…!」
アルゴニックが言うと同時に子供がすっぽりと入りそうな巨大な箱が出現する。
「おおぉぉぉ」
観衆は驚いたように見やる。
――ちなみにもうアルゴニックは炎天下のアスファルトに横たわって干からびそうだ。
…あとで家に帰ってから、きれいにしないと…帽子になんか砂利がくっついている。
「ではこれより人体切断マジックショーを行います!
それでは助手の3066号君入ってくれたまえ。」
「はい。」
3066号がボックスの中に入る。
「それでは剣を」
「おぇ…クリエイト!
(小声で)まず、そろそろ【ペナルティ】がきつくなる…。」
アルゴニックの周りに3本の剣が出現する。なんか吐きそう声が聞こえたが気にしない。
「見てください。この剣、この剣は固い本物の剣です。
この剣を今からソライが少女に刺していくんで、見ていってください。」
剣を見て息を飲む観衆。
「はい、まず一発!」
ソライが箱の中に剣を挿入する。
「きゃーーー」
3066号が叫ぶ。しかもかなりリアクションがガチだわ。
彼女の顔についているゴーグルの目玉が左右別々を向いていやがる。
「Oh…」
観客が戸惑う。
「それじゃ二本目!えい!」
「きゃあああああああああああああぁぁぁぁ!!!!」
さっきよりもかなり怖く叫ぶ。
ここら一体の人が集まってくる。
「ッ…ぁッ…」
そしてボックス内でがっくりとうなだれる3066号。さらにボックスから、流れ出す血(赤い絵の具)
観客は若干ドン引き。中には警察に連絡しようとしている人もいるようだ。
正直やりすぎた…
「そ、それでは。3・2・1でボックスの中身が開かれます!
いきます。3・2・1!ハイ!」
ニッちゃんがそう叫ぶとボックスがもやを出して、
「ばぁーん!」
縦に割れ中から元気で無傷な3066号が出てくる。
「じゃーん!3066号は無事でした!」
「おおおぉおおおおおぉお!!」
即席で作った簡易ステージは拍手に包まれる。
「それでは皆さん、記念にポケットティッシュをどうぞ!」
「あとすいません!実は皆さんに協力してもらいたいことが一つありまして、この猫を見かけたという方はぜひ教えてくださいませんか?」
ソライ、ナイス。これで猫捜索の依頼も何とかなりそうだ。その後、俺たちはポケットティッシュを無事に配り終わった。
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~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~
~サイムは昔、映画館でバイトしたことがあるぞ!~




