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【完結】nOva urGE/ノヴァアージ ~みんなと心を信じあう冒険~   作者: ラクルドゥ
最終章:第21話-リベラ・デュナミス-
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第21話その終『リベラ・デュナミス:始まりの箱舟』

※この『物語』は『フィクション』です。

※それなりに『気分最上級な』気持ちで読んでください!

※胸糞展開飛ばした方向けへ、第21話その6のあらすじ

  大罪達によってA級冒険社アドバンスドライトの社員

  社長のレイトさん以外、だまし討ちで全員死亡。

  ムッチーやB級以下の会社は生き残る。



 ――午後18:38

9月16日、旅39日目



 ――世界滅亡まであと3日


▽▽▽▽▽▽▽▽

『リベラ・デュナミス』ベースキャンプ_中央広場

▽▽▽▽▽▽▽▽



 あれから予定通り、箱舟は俺らのもとへとやってきた。

だが、レイトさんの姿はどこにもいなかった。

箱舟に乗り込んでいるのかさえ分からない。

ムッチー達曰くいつの間にかいなくなったらしい。




 ただ空間をいじくってテレポートしたアルが歯車のエネルギーは分け与えたらしく、自動車の鍵をひねる要領で

いつでも起動できる状態まで持って行ってくれたようだ。



 レイトさん達が命がけで入手した箱舟は

パット見て石造りの巨大な帆船だった。

大きさは野球場2個分より少し大きめだ。

所々、動物とかも出し入れできるような巨大なハッチがあり、

俺らは箱舟内部にはまだ入ってない…

だが聞いた話だけど、何が入っていたかは謎の格納庫らしきものや、

遊技場なんかもあるらしい。

豪華客船より少し下っぽいグレードの客室もあり、雑魚寝の部屋もある。

ゆうに10000人以上は乗れるだろう。

これが【エイドスドアルーム】へつながる入口か………。

すでに搬入作業は折り返しへ来ており、設備のチェックしているものもほとんど問題ないとのことだった。



 タマシイら曰く、先ほど攻略を頑張った水色のバンダナはこの船の防衛。

まぁ水色のバンダナはもう220名程度しか残ってないらしい。

半分以上があのダンジョンで命を落とした。



 俺らはあんなことを見せられたばかりだが………。

ビビってられない。



 それはここにいる箱舟を見上げる、七人全員が覚悟している。

あのハナビがいた未来では俺らは【エイドスドアルーム】で死ぬことになっている。

だが攻略しなければ世界が終わる。他人任せでいられない。

先ほど死んでしまったA級冒険社が脳裏をよぎるが、

死ぬつもりなんてないのに、ビビッて死ぬなんて絶対にそうはなりたくない。

俺ら、冒険社は哀しむ暇はない。

哀しみなんて世界を救った後、さんざん哀しめばいい。



 だから俺らは、向かうしかない始まりと終わりの場所へ。



▽▽▽▽▽▽▽▽



 箱舟はまるで最初に挑んだメイジダンジョンのように

俺らを待ち構えている。

「とうとうここまで来ちゃったね。サイム。」

 ソライは2年前のことを思い出したのだろう。開業した日のことを。

「まったくもって、いつもピンチばかり。いいことも同じくらいね。」

 ユミは俺らと出会った日のことを思い出したのだろう。

「逆境とスリルだらけ。考えることも飯の作り甲斐のある会社だよ。ここは。」

 ユウジは常に日常的にいつも支えてくれたな…。

「お姉ちゃんに追われて、ついには世界の始まりの場所かぁ…。」

 ハナビはお祭りのチラシの花火から名前を取ったんだよなぁ。

「俺は一度いたことがあるけど、あそこは未知だ。俺の【管轄外】だからな。

何が待ち構えているのか、わからないのはいつものことだけどな。」

 アルは色々あったけど、思えばあの場所から始まったな。

「必ず帰りましょう!みんなで約束です!!」

 ニッちゃんは俺が誕生日に挙げたロケットを握りしめて、

昨日の告白を思い出しながらか、強く俺の方へと目線を向ける。





 そして俺は…。最後のダンジョンへの道を一歩進み、みんなを横目で見る。

みんなが覚悟溢れるいい顔だとわかった。だから丁寧に言葉を紡ぐ。

「ここが俺らの旅の終着点だ。

いざ、向かうぞ。世界の創造された場所

【始まりの間】

【エイドスドアルーム】へ!!」

「「「「「「おおぉー!!」」」」」」

 こうして俺らは箱舟へと乗り込んだのだ。







□◆▽◆×◆○◆

箱舟(Noah's Ark)

□◆▽◆×◆○◆



 ここが…箱舟………。

入ってみて思ったのが、内部は全然石造りではない…。

どちらかと言えば金属だ…。

豪華客船というよりかは潜水艦の様な重厚だが、どこか近未来的だ。

今いる廊下の幅は広く8人くらいが悠々と歩いていける…。

だがダンジョンとは違い、無機質だ。しばらくここを拠点にやっていけそうだ。



「私達ってどこで寝ればいいんですかね?」

「タマシイたちが軽く、場所を割り振ってくれたぞ?」

「………それって…個室とか!?」

「「!!?」」

 ニッちゃんが顔を赤らめ流した発言に若干、昨晩色々とあった()()二人がすげぇ顔でこちらを見る。

「………残念ながらいつもと同じ、七人部屋の雑魚寝だ。」

「「………。」」

 あいつら…残念の様な安心した顔をしやがって、いったい何があったんですかねぇ~………?深く突っ込まないけど心の中に野次馬が少なからずいる気がする。





「しかし広いな…。」

 レイトさんはあんなことがあった後だ。

この船に乗り込んでいたとしても、そっとしておいてやりたい。

だが、いてくれたら少し心強いと俺は思ってしまう。

正直、あの時レイトさんまでも死んでしまったら、

精神的に追い込まれてしまう冒険社は少なからずいたかもしれない。

こんな考えはひどいかもしれないがな。

俺はあのダンジョンで亡くなってしまった280名を心の底から

お悔やみ申し上げます。あとは俺らに任せてください。

そういう思いでここに立っている。





 今、余計なことを考えた時点で俺らがああなるのだ。

忘れてはならないことだ。

それは冒険とは常に危険と隣り合わせなのだから。



□◆▽◆×◆○◆



「ここが俺らの雑魚寝部屋だな。」

 箱舟を何度も上がったり下ったりした先にある角部屋。

大体船首に近いあたりだ。そこが俺らに割り振られた部屋らしい。

出発時間は21時。そこから少しして朝4時から作戦開始だ。

「サイムさん!意外に中は広いですよ。」

「ああ、そうだな~。」

 七人が川の字して寝ることを考えなければ広い部屋だろう。

それを考えると、ギチギチだ。でも見た感じ、床は畳だし押し入れには布団がぎっちりだ。

「さ、布団を敷いて寝ようぜ。」

「つっても僕ら結構、昼寝を指令室で変わりばんこに

取っていたりしているけどね。あ、お菓子持ってきたんだけど食べる?」

「食べる~!」

 ソライのアホがベースキャンプで買ったチョコレートを、ハナビの口へと放り投げる。

おいしそうにハナビはほおばるが、その光景はさながら動物の餌付けだぞ。

しかも投げているのは獣人ソライという皮肉めいた光景だ………。

俺は少し布団を引かずに寝そべる。天井はLEDみたいな明るさだ…。

畳の匂いがいいと思いつつ。少しあることに気づく………。





 これを作ったやつはどんな奴なんだ?





 なんで世界創世の場所へつながる船に、畳なんて物があるんだ?

この部屋はどう見ても『和室』だ。

まるで、俺らと同じような文化がこんな昔からあったのか?

いつ造られたかも、わからない船になぜ和室がある??



「………。」

「ん?アル、どうした?入って来いよ。」

 俺は寝そべりながら首を傾ける。

アルは何故だか知らないが、ドア付近で横着していて入ってこないからだ。

「Noah's Ark………か。箱舟にしては、ありきたりな名前だな~。

オリジナリティがない。」

「のあずあーく?なんだそれ?」

「この船の名前さ。このドアの下に船の名前としての石碑的なものがある。

いつ造られたかわからねぇけど。名前らしきものがある。」

 アルが指さす方には確かにこの船の名前らしき石碑が壁に埋め込まれている。

「なんでオリジナリティがないのよ?

そもそも変な名前ね。どういう意味?」

「………???

え…知らへんの?有名な話やん……。

【旧約聖書】に書かれている奴…。

大洪水から、ノアって奴が動物たちを乗せた船で避難させた話…。」




「へ~~~…初めて知った。」

 そんな奴がいたんだな…。





「………ところでアルさん、【旧約聖書】って何ですか??」



「…え?」

「あたし25年生きてきたけど、そんな本初めて聞いたわよ。」

「…有名な奴なんだけど………???」

「何?マンガ??有名だとしても僕は知らないけど…?」

「え、え………??なんで…?」

「オレも初めて知った、そんな本。」

 ン???ちょっとまて………。俺も初めて知ったが………。

なんだこのアルの困惑ぶりは…。

「まて………待て待て!!

お前らに聞きたいことがある…。」



 アルは何かを焦るように確認する。

「【キリスト教】って知ってか?」






 初めて聞く言葉だ。

なんだそれは…??

「いや………。」

「知らないけど………。」

「………まさか…この世界にあの【キリスト教】はないのか………???

あれ…??そうなるとおかしいぞ???」

 アルは何かに気づいたようにおろおろとし始める…。





「………じゃあ…じゃあさ…。

なんで、あの宗教の聖典!【旧約聖書】に書かれている

【ノアの箱舟】がこの船の名前に使われているんだ!!?

なぜ【読者側おれの世界】特有の言葉が、

この船の名前として使われているんだ………!?」

「え………。この船はアルの世界のものなのか???」

「いやそれは多分ない………はず。

旧約聖書が書かれたのは何千年も前のはずだ。

そのころにこんな科学技術の塊みたいな船があるとは思えない。」

 ………アルの話から考えると少し疑惑が出てくる。

箱舟もそうだが、【エイドスドアルーム】ってのは元々

世界創造前のアルが【向こう側】の世界から来た時に通った場所だ。



 肝心なのはここだ。『世界創造前』という部分。



 世界が、この星が創造される前から

エイドスドアルームは存在していたらしい。おそらくこの箱舟も。

だが、今、寝転がっているこの畳は、まだ新しく感じるし。

なんなら【和室】という文化や文明が、この船には搭載されている。

アル曰く、エイドスドアルームにはクーラー等の現代科学も存在している。

そしてさっきのアルの発言、この世界にはない言葉が、この船の名前。



 アルが世界を創造する前に何があった?



 誰が、何の目的で、そんなものを作ったのだ?









 いや、考えると………。

もひとつだけ決定的と言える疑問があるな………。

それは………。

「うーー考えてもよーーーわからへん!!

ドアルームに着いてからわかるかもしれへんし!!」

 アル…創造主アルゴニックという存在についてだ。

思えば一つ見落としていたことがある。



 なぜこいつと俺らは意思疎通ができるんだ???



 こいつは世界創造を行った。

その時に【俺らの言葉】が存在していたのか?

そんなわけはないと思う。こいつは人は作れないって言ってた。

人はたまたま生まれた存在だって。

そんなニュアンスのことを喧嘩した時に言っていた。(※第11話参照)







 じゃあたまたま、生まれた俺らが、別世界から来て封印されていたこいつと

たまたま同じ言語を使って、意思疎通できるのはちょっとおかしくないか?



 ピンポーンパンポーン!

『乗組員へ通達!!

これより箱舟はエイドスドアルームへ向かって出港します!

揺れにご注意ください!』

 アナウンスが世界との運命を告げる。









 この箱船、エイドスドアルーム、創造主、未来での出来事、魔神

そして…【向こう側の世界】、それらの真実が俺らの行く先に見えてくる。

船は真実の海へと今、航路をとった。


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!


~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~

~この世界の宗教と現実の宗教は全く別の進化を遂げた様だぞ!~

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