第21話その6『リベラ・デュナミス:始まりの攻略』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『気分最上級な』気持ちで読んでください!
レイトさん達が着いた先………どうやらここからが六層の本番らしかった。
そこはとてつもない大きさをした広間で、野球場五つ分くらいあった。
他の通路からやってきた六つの隊と合流したようだった。
「サイムサイム………。」
「ん?」
ソライが画面の一つを指さす。
今見ているレイトさんとは別チームだ。
「僕気づきたくなかったんだけどさ………。あれ…僕の………。
父上じゃない?」
「え!?」
確かに武者姿のソライの親父さんらしき姿が………。
「オレも気づきたくなかったことがある…。
………その隣にいるのオレの兄ちゃんだ………。」
ユウジが言う所に確かにユウタロウさんがいる………。
って!?ちょっと待て!!その隣!!
「ムッチー!?」
「と不良二人!!(名前なんだっけ?)」
なんであいつら参加してんだ!!?ムッチー完全な非戦闘員だろ!!
っていうかその装備何!!?
バックの中にパソコン機器がはみ出るくらい詰め込んでるけど!!?
つーかメンバー的に疑似武山冒険社を組めそうな連中ばかりだ………。
「誰とは言わないけど、あたしの母校の教授もいる………。
なんで非戦闘員まで………。」
そうか!!箱舟を『動かすため』の乗組員が必要なのか!!
よく考えればユウタロウさんもムッチーもエンジニアだ!!
スイッチを押せばすぐにここまで運べるわけじゃない。
航路やメンテナンスとか必要なはずだ!!
俺らが驚愕している間にも状況は動き出す。
扉が閉まり、床が下へと下り始める。
まるで…いや、この広間全体がエレベーターなんだ…。
そして少しずつ、広間を覆うように風が吹き始めているのか、
マイクに風のノイズが入る。
『オペレーター、そして各員に通達!
この六層はこのまま七層へと突入する!
そして下っている最中で『軍団タイプ』のモンスターが出現し
七層に到達した瞬間!
巨大モンスターが現れる!そしてここの環境が各地方のスイッチと連動する!
各ダンジョンと連携しながら、モンスターを倒さないと全滅する!!』
………まじか、俗にいう『モンスターハウス』か!しかも環境が変化する…。
「…!!
攻略組に通達!各地方のダンジョンにモンスターが出現した模様!」
『だろーね。連動しているんだから、こっちの攻略とそっちの攻略も同時に進めなきゃいけない。厳しいけど頑張って!!』
これが同時攻略か……。
俺らは戸惑いを隠せず画面を見ているが、みんなどこか冷静だ。
それはそうだ。エイドスドアルームではこれ以上かもしれないからな。
おそらくまだ落ち着ける段階なんだ。
エレベーターが下がっていって壁面に穴が出現する
『オペレーター。敵だ。数は100…200…500…2500。
見える?』
「確認しました。」
大量の虫、スライム、猛獣が穴から出てくる………。
どれもこれも人間以上のサイズだ。
「各員、非戦闘員を中央へと守る形で防御陣形!
非戦闘員は機材を守りつつ、己を守ることを意識してください!
接敵まで
3
2
1!!
戦闘開始ッ!!」
人と同じサイズの敵が、2500!画面に映る130社確か大体700人程度だったはずだ。
非戦闘員のことを考えると500人程度の人数での戦闘………。単純計算で1人5体………。しかも七層につくまでに片付けないと、大型モンスターも現れる………。
だが…それなのに………画面の向こう側の彼らの余裕そうな感じは何だ??
『A級冒険社アドバンスライト!御来光と行こうか!』
わずか数十秒。
この数十秒でわかる………。
彼らは…『余裕』ではなかったのだ。
『自然体』だったのだ。
『この場』は彼らにとっては『モンスターハウス』ではない。
すこし運動できる『ただの広間』なのだ。
そう………よく考えるべきだった。
ヒトメの弟子。ヒトメから直々に指導を受けたものが
レイトさん『だけ』とは限らないということを!!
『武山流槍術!!』『白野流銃術!!』
正直、ヒトメに少しだけ劣っていたとしても
一般人から見れば恐ろしいまでの、戦闘センスと怪力と俊足などなどの
馬鹿恐ろしいスペックと俺ら以上に技を使いこなす技量を持つ
アドバンスライト1社に30名ほど人間が集まっているわけだ。
彼らのカメラが返り血まみれでほとんど見えないが
他チーム視点を見てみると、文字通り『ちぎって投げている』。
当然彼らだけではなく………。
『王木流刀術!!』『戦槍一点!!』
ソライの父親とハナビの姉妹たちも戦っている。
あいつらこんなに強かったっけ?
他の冒険社達もカニをロケットランチャーでぶっぱなし、
スライムを爆殺し、ライオンの脳天に手裏剣をあて、
金属バットで鰐の顎を吹き飛ばし、巨大コウモリを火炎放射器で燃やしm
熊をサイコロ状に細切れにして、蛇を武術で骨と鱗と内臓に分解している。
………あれ??俺の国って、化け物より人間多すぎじゃね?
正直、モンスター共より人間の方が怖いわ………。
なんか、大きな十つくらい足が生えたグリフォンっぽいのを
腕力で雑巾絞りみたいなことをしている人奥にいない!??
え…最上級冒険社ってこんな化け物みたいな人らばかりなのか?
▽▽▽▽▽▽▽▽
「現在、敵総数、約1000!!」
もう2000体、倒したのか!?
見ればもう足の踏み場さえなく死体の山の上をみんな飛び跳ねて戦っている。
まるで川とかにある飛び石で遊ぶ子供のように。
だが、肝心のレイトさん視点は返り血で機能してなく、たまに拭いたと思ったら三半規管をやられそうなくらい視点がブレてみえない。
だから他の視点を見ているんだが、意外にもこっちも
なかなかに厳しそうだ………。
『被害状況!アドバンスライトは2人ミスって重傷2名!軽傷3名だ!』
「他チームを含めると死亡約90名!重傷130名!軽傷185名!
非戦闘員除く、戦闘可能人数は残り約278人!!」
『上等ッ!!』
レイトさんはこういうが、意外にこっちも削られているのだ。幸いにも俺らの知り合いに死者は見た感じいないが、乱戦状態なので油断できない………。
「………!!オペレーター各員に通達!!頭上に注意!!」
なんだ!?唐突にいろんな画面が光輝いて………。
まてこれ見たことがあるぞ…。この技は確か…。
「蜘 蛛 いいいいやあああああああああああああアアアアッッッ!!!!!!
たいよおおおおおおおおおッッッ!!最 大 出力ううううウウッッ!!!!!」
野球ドームが何個もあるであろうその広間に大声とヒカリが行き渡る。
それはまるで『太陽』ッ!!!この技はハナビの妹ッ!!エプの攻撃だァ!!
巨大な太陽がエレベーターとなっている広間をガコンと揺らし焦がすッ!!
画面の全員は何とか躱しているようだ!!
見ただけでわかる!!全てを灼熱の業火で燃やしていってる!!!
「………蒲公英姉妹!!何がありましたか!?」
『ケホ…ケホ…こちら次女のノーツーですぅ~!
なんかね………エプちゃん、蜘蛛のモンスター見ちゃったらしく…
トラウマから最大火力の太陽であたりいったい燃やしちゃったらしいの…』
《苦》の歯車の影響がこんなところに…。
オペレーター含めてほとんどの、モンスター燃やした
エプにドン引きなんだが………。
なにより姉であるハナビが開いた口が塞がらない感じの顔だ……。
「さすがに気絶しちゃったと思うからちょっと戦線離脱するわね~。
みんなエネルギーが尽きてきているし、ごめんなさい~!」
いや、仕方がないだろう。半分くらい敵が消し炭に変換されたし。
とりあえずだ………。俺は近くにいたハナビへ顔を向ける。
「ハナビ、気を付けろよ。あいつと一緒に暮らすってことになったら
蜘蛛だけは家に入れるな。」
「うん………。」
「そして姉としてサポート………頑張れよ………。マジで。」
「うん。」
▽▽▽▽▽▽▽▽
あとは消耗戦なのだが、残り十数匹というところで七層についたのか、
エレベーターが止まり、上から何かが降ってくる。
ズドンと大広間に着地したそいつ…それは………。
「これは………。」
『対象を確認………ドラゴン?
…いや………『ヒュドラ』だ。
あえていうなら………そう、『ガーディアンヒュドラ』って感じかな?』
九つの首を持つ龍、ヒュドラだ。
しかもこいつもギミックが適用されているのか、
戦闘中色々といじくった結果、針のトラップまみれの大広間に合わせて
ヤマアラシのように、棘の鱗鎧で覆われたヒュドラだ。
結構大きく、広間の6分の1ほどの面積がある!
『オペレーター!!スイッチを割れやすい氷へ!!棘は危険だ!!』
「現在、氷の蒼木ダンジョンが敵に防戦一方であり、変更不可です!!」
『何だって!!?』
別ダンジョンも連動中っていう厄介さが出てきたな…。
何とか、ヒュドラを非戦闘員から離しながら、攻撃を行っているが、
すでに鱗の棘を飛ばしてきている!このままだとまずい!
このダンジョンで変化可能な属性は、風、電気、炎、圧、毒、氷、針だ。
少なくとも重傷者がいる中で毒やマグマといった危険な環境下に変えるわけにもいかない!風なんかで飛ばれたりしたら厄介だ。
残すところは…。
『圧へ属性を変化できるか!?』
「圧へ変化はあと少し待ってほしいとのこと!
ただし、炎のダンジョンにてスイッチを押さないと
マグマを処理する排炎溝が開かず、ダンジョン内を埋めつくすという報告があります!!」
『何だって!?一か八か!!ダンジョン属性を炎へ変更!!
そしてマグマと氷の敵を処理次第、風→氷→炎→圧へ変更してくれ!』
「炎へ変更します!!」
▽▽▽▽▽▽▽▽
広間が燃え盛る炎が吹き荒れる状態へ変化し、
壁からマグマが垂れ流される!
そしてヒュドラも針のような鱗鎧が炎に覆われるような変化をし
巨大な九つの炎柱が襲い掛かるように
残りの250名弱へと襲い掛かる!
俺は少し疑問に思った。
「これ…本当に俺達は見ているだけでいいのか………?
ピンチだぞ………。」
「違うな今、オレらがこれを見ていなければ、
おそらくエイドスドアルームで足を引っ張る。
エイドスドアルームはもっと困難を極めるだろう。
今するのはエイドスドアルームへ向けて、『見るという仕事』
生き残るための『インプット』だ。」
………ユウジの言うことで納得した。
それもそうだ。同じワザと師匠の元で訓練を積んだ、兄弟子。
今、ここで休息し学ばなければ、向こうで死ぬリスクを上げることになる…。
歯がゆい思いをしてでも『信じる』しかできない。
▽▽▽▽▽▽▽▽
『レイト殿、あの炎の首を斬ればいいのだな?』
『ああ。』
「父上!?」
ソライの父親が、妙なことを言い出す…。
今にも炎の光が画面を覆いつくそうとしているのに…。
『………王木流刀術!
枝垂れ桜ッッ!!!ウラァアッ!!』
ソライの親父さんラクライさんがヒュドラの首を
見事な一太刀で一つ斬り伏せる。
『根切りの血を舐めるなよ、蛇風情が…。』
俺らと里で戦った時がいかにて加減していたかがわかる一太刀だった…。
『さぁ!皆!奴がひるんでいる隙に!!属性変化まで逃げるぞ!』
「各員!風に変化します!!」
ダンジョンに暴風が吹き荒れる!!
皆が風で思わず顔を覆いたくなるような前傾姿勢になる!
それと同時にヒュドラに翼が生えて空中を飛ぶように、
六層まで羽ばたき、みんなを見定める!
『属性変化までどのくらいだ!?』
「氷はあと少しで終了!!炎と圧はいつでも!!」
『氷と炎、圧はあいつが変化したら秒で変えてくれ!!』
「了解!」
ん?氷、炎、圧を瞬時に切り替える…。
相手は属性をダンジョンに合わせて変化していく敵………。
やろうとしているのは、まさか………。
「氷、変化可能です!」
『やってくれ!!』
「氷ダンジョン!スイッチを!!」
オペレーターたちが指示をしていく!
ダンジョンが急速に冷凍されていく!
冷凍庫の中ってこんな風になっているんじゃねーのか?
っていう想像を絶するほど寒そうに!!
それと同時に羽の生えていたヒュドラの体表が氷はじめ、羽が小さくなっていき、空中でバランスが取りずらくなっている!?
『ほほほ、炎ぉぉ!!』
「炎ダンジョン!!スイッチを押して変化を!!」
するとさっきの炎状態のダンジョンになっていく
だが違うのは飛行していたヒュドラのそれぞれの首達がそれぞれに文句を言うように咆哮し始める。
氷のような体表なのに炎のような体表でぐちゃぐちゃでありながら飛行の制御ができてない!!
『圧!!はやく!!』
「圧のダンジョン!!頼みます!!」
すると広間は気味が悪いくらい脈動し始めて、
足場がおぼつかなくなっているようだ。
だが、それよりも空中にいるはずのヒュドラは、おぼつかないどころかすでに落下をし始めており、落下しながらそれぞれの首たちで喧嘩し絡まっている!!
『チェックメイト!!落下した!!総攻撃だ!!』
首を一つ落とされ、風属性で空中へと逃げた。
だが、炎であつくなった鱗に氷で冷やし耐久を下げて、
さらに属性を変えまくって混乱させ空中から叩き落す!!
すでに人がボロボロで巨大なヒュドラを取り囲み、首を狩り始めている。
彼のやったのはまさしく、『策士策に溺れる』という言葉の通り…
『これぞ、ギミック殺しってやつだよ。戦闘終了だ。』
勝っちゃった………戦闘員を260名残し、
非戦闘員200名を無傷で済ませて。
ブブカブの大迷宮六層、七層を攻略してしまった………。
これが………A級冒険社か!
※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!
~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~
~レイトさんは結構ひどい事故にたまたま巻き込まれてたヒトメに救われたぞ!~
※すいません明日は17時投稿となります。




