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【完結】nOva urGE/ノヴァアージ ~みんなと心を信じあう冒険~   作者: ラクルドゥ
最終章:第21話-リベラ・デュナミス-
202/273

第21話その5『リベラ・デュナミス:始まりの狼煙』

※この『物語』は『フィクション』です。

※それなりに『気分最上級な』気持ちで読んでください!



「恩返し??」

 え、俺らレイトさんに何かしたか??

「ああ、失礼…君らは知らないんだった………。

そうだな…見せたほうが早いだろう。

僕が何故恩返しを君らへとしたいか…。」

 レイトさんは、ポケットから最新式のガジェットに最新式のスピアギアをはめ込む。



「アドバンスゼロギア・セット………。」



 ギアは超高速で回り、手元に槍が出現する。

俺のより鋭利で攻撃力が高そうな近未来的な槍だ。

「まぁ見ててよ。寸止めするから。」

「…へ?」

 オペレーターが大量にいる中央指令室で、槍なんか出して何を…。



 レイトさんは槍の柄を床に押し当てて、勢いよく地面を蹴り、壁を蹴り、

槍を軸にして俺の見慣れた技を目の前で、ブっ放つ!!

その技の名前をレイトさんは口にする。



「武山流槍術 漆合目ななごうめ

伊吹いぶき………………。」

 俺の目の前で『俺が普段使ってる技』が顔に当たる寸止めで止まる…。







 何で………なんで見ず知らずのこの人が俺の技を使えるんだ…???






「なんで?って感じだろう?これは君の技だもんね。」

 レイトさんの言葉に俺は驚きを隠せずコクンと頷く。

「………僕はかつて彼女に救われたのさ。

今から10年ほど前に、ある事故にあった僕を、

当時『小学生』だった彼女が助けてくれてね………。」

 小学生だった…。10年前…。彼女…俺の技………。

「まさか………。」

「………僕はサイム、そしてユウジ。

君らの『兄弟子』に当たる存在だ………。

………僕の師匠は、『高達 ひとめ』。君らが大切な時を過ごした彼女なんだ。

『Z級』だった僕らが力をつけて『A級』と呼ばれるまでのし上がれたのも、すべてヒトメさんのおかげだ。」

「………まさか…。こんな人がいたのか…。」

 ヒトメの弟子………。俺とユウジの兄弟子………。

ヒトメが創り出した『技』を扱うもう一人の存在。

それがまさか………A級冒険社『アドバンスライト』の社長だったなんて………。





「ヒトメさんが亡くなってからずっと機会を伺っていた。

ヒトメさんが守り抜いた青春である君らに…。

ヒトメさんのおかげでここまで成長できた僕らはずっと、待っていた…。」

 ………。

「………そういえば、さっき4年間も俺らと同じ最底辺Z級冒険職だって言っていたのは、まさか…。」

「ああ、彼女が稽古をしてくれたから、強くなってダンジョンを攻略できたんだ。」

  ………そうか…つまりこの人が今生きているのも、

最上位の冒険職になれたのが、まさかあの赤金魚のせいだったなんて…。

俺は思わず笑みがこぼれる。そうか、よくよく考えれば『ヒトメの遺産』って

アイデアノートだけじゃなくて、武山冒険社おれらも含まれるよな…。





 だからヒトメが守り抜いた『俺ら』へ恩返し………か。





 訳が分かって心がほがらかになる。

「ハッハッハ…。そういうことか………。ありがとう言ってくれて。

ただこちらも一つ言っておきます。」

「………なにかな?」

「………………たぶん、『稽古』なんて仰々しいものじゃなくて、

『実験』とか、『遊び』だと思いますよ。あいつのことだから………。」

「………そうだね。」

「それじゃあ、俺らはここで兄弟子さんの活躍を見届けます。

あのヒトメ特有の『意味不明な言い回し』を解読するより

こんなダンジョン簡単でしょう?」

「ああ!それは間違いないことだ…!

もしかしたらこのダンジョンの攻略が、

【エイドスドアルーム】の攻略につながるかもしれないし、ぜひ特等席で見たまえ。

幸福を祈って(命を懸ける全力で)バクバク爆弾する(突撃する)』よ。」

 ………この言い回しは、六甲の文章だな。

そう言って右手を上げて、レイトさんは中央指令室を後にする。



▽▽▽▽▽▽▽▽



 それから少し時間が経って。



 ――午後14:58



「………なんだか、すごい人でした…。

私も負けたくないです!ヒトメさんを今カノとして越したいです!」

「いや、ヒトメみたいなのにはならなくていい。っていうか、なってほしくない。」

 俺が張り切っているニッちゃんへ軽く肩ポンをする。

ニッちゃんの良さがある。そしてヒトメほどの超人がこれ以上いてほしくないのだ。

自分がみじめになる…。

「じゃあどうなってほしいんですかー?」

「料理と服のセンスがまともなニッちゃんでいてほしい。」

「………う、うん…。」

 まぁかわいらしい反応を取る。こういうのでいいんだよ。

「まぁ、とりあえずあたし達は見守るしかできないのよね…?」

「だな、そろそろ時間だしな。」

 俺らは普段通り会話しているが、すでにマチルダさんを含む中央指令室では厳戒態勢らしく、全員持ち場につき仕事をしていた。

俺らは中央指令室の片隅の休憩室………。

ていうか…レイトさんが作ったであろう専用室みたいなところで、

ふかふかのソファで、巨大モニターを眺めていた…。





 正直、唐突に来たトンデモVIP客対応に驚きを隠せない………。



「たしか、この『大迷宮』の攻略組って、ハナビちゃんの姉妹とレイトさんが行くんだよね。」

「たしかそのはずよ…。あの子たち、大丈夫かしら…?」

 まぁハナビはまだ帰ってきてないし、ついでにアルも帰ってきてない。

だからユミの大丈夫っていう言葉が、結構不安だ。

すでに第一陣であるレイトさんはダンジョンへ潜っている。



 すると、俺らがモニターを見ていると、

ふらふらでアルとハナビがこちらへとにじり寄ってくる。

「「ただいまぁァァぁ………。」」

「「「「「あ、うん…おかえり。」」」」」

二人ともソファに倒れ伏す。



「レイトって人に『空』の歯車を預けておいた。

あの人が最下層まで到達したら、空間をいじくってここと繋げておいて

箱舟を動かすための鍵として俺が歯車のエネルギーをちょびっと分け与えたら動くことができる。」

 なるほど、アルは一度行ったことがある場所じゃないと空間を繋げられないもんな。







 ちょうどその時、ジリリリリリリリリリリリリリ………!!!!!!

というベルのけたたましい音が指令室内に鳴り響く!

「第一陣、六層へ突入!!!

これより未開エリア第六層の攻略を始めます!!

各ダンジョンとのギミックの連携を取ってください!!!

オペレーター各員!スタンバイ!!」

「スタンバイ完了!!攻略組、デバイスの状況は大丈夫ですか!!?

代表者は答えてください!」

『こちらレイト!

現在第五層と六層の階段を降りている途中だ。

そろそろつく…。』

 意外に早かったな………。どうやら始まるようだ。

国家最大規模の7000人以上での多重ダンジョン攻略が!!



▽▽▽▽▽▽▽▽





 画面にはレイトさんのカメラ付きヘルメットから、リアルタイムで情報が送られているらしい。

洞窟内は以外にも明るいが………まるで、生きているようにゆっくりと光がさしているようにわずかに明滅している。

今は螺旋階段を下っているな…。ここが人の手が入っている証拠だ。

下の方にわずかながら光が見える。

『そろそろ着くな………。見えるかい?』

「確認いたしました。アドバンスライト隊、到着します。」

 俺はレイトさん視点を見ているが、巨大モニターの他の冒険社達も同時に到着しようとしている。



 レイトさんの部隊が着いたのは…。

『やはりここは暑いな………。』

 溶岩の通路だった………。

レイトさんが後ろを振り返りみんなの無事を確認する。

総勢40名以上。

その中にはハナビの姉妹達の姿も確認できた。

『オペレーター。うちの会社の別動隊はどうだ?』

「現在、氷、電気の同型の通路と接触しています。」

『他の部隊はどうだ?』

「針、風、二つ極めて厄介そうなのが毒、そして壁が常時ピストン運動し、プレスをしている圧。他者の部隊も到着しています。」

『………まずは恋識レンシキのほうのダンジョンのスイッチを押してくれないか?』

「了解です。恋識レンシキへ指示します。階段へとお下がりください。

………40秒程お待ちください。」

 それからきっちり40秒後…恋識レンシキのダンジョンのスイッチが押されたのか、通路がエレベーターが到着したみたいにクルっと回転し、

溶岩でできた道が風でできた道へと変化する。



 これが言っていた『三十八の顔』を持つダンジョン………。

属性が変わるのか………。

『確認できた。風に変わった。

おそらくこの今いる道がメインなんだ。

ここからスイッチによって、それぞれの属性の道へ回転する。

だが逆を考えれば、ギミックを利用してギミックを破壊することも可能だとは思わないか?』

 どういうことだ………?

『オペレーター、今からいう順番に各ダンジョンのスイッチを押してくれ。

北の蒼樹セキギと、南の来岳ライガクこれを順番にもう連打でいいから

押して言ってくれ。そして全員、後ろへ25mは下がってくれ。』

「かしこまりました。全体通達!」

 マチルダさん達オペレーターが全員示し合わせたように動き出す。



「カウント開始5,4,3,2,1、連打を開始してください。」

 レイトさんの視点もそうだが、通路自体がぐるぐると回転しかき回されていく。

まるでコマのように七つの通路がころころと風景を変えていく。

『………そろそろだな。』

 その言葉に答えるようにダンジョンの通路がガタガタと音を鳴らし始める。

そして遠心力からマグマや氷、電気が階段の奥から漏れ出し、

で通路と、階段の出口ごとぶっ壊していく。



『どんな装置にも耐久値は存在する。

僕がここへ先遣隊として突入した時、大人数で通るのは厳しいと考えた。

なら、ダンジョンを潰す。マンチ攻略法がうってつけだと考えたんだ。

これなら最も安全だからね。』

 そう言い終わり、通路がドゴンッ!と崩壊する音が聞こえる。

『蒲公英姉妹のブラン君?いるかい?』

『あ、はい。』

「お姉ちゃんだぁ…」

 あ、ハナビの姉。三女のブランだ。

『君の力で、この通路の瓦礫を磁場で浮かして退けるのを手伝ってくれないか?』

『いいっすよぉ!NS磁場フィールド!どすこーーい!!』

 磁場で浮かして瓦礫を抱かした先…

崩壊した通路を俺らより経験の詰んだ冒険社達はすいすいと渡っていく…。

ダンジョンを壊してでも攻略するマンチ手法…

すでに罠は全て潰しており、少し足元はぐらついているようだが安全そうだ。





 これがいままで、冒険に挑んできたもの達。

深淵であれ、灼熱であれ、進み続けるもの。

A級冒険社、攻略するもの。



 負けられないな…。



※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!


~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~

~ヒトメさんの生前の日々は充実しすぎていて体感48時間の日もあったぞ!~

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