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第20話その3『最後の歯車:ハナビ達の分岐点』

※この『物語』は『フィクション』です。

※それなりに『穏やかな』気持ちで読んでください!





「なぁみんな、旅が終わったらどうする?」





最初に話を切り出したのはユウジだった。





「まぁみんな、なんか願いがあって、この旅を始めたんだよな…

だから願いを叶えて、そのあとどうするかだよな。」



「オレはな、アルに金を出してもらって、その金を元手になんか事業を始めようと思う。武山冒険社にいてもいいけど、今度はオレがお山の大将ってのになってみたいって、この旅をして思った。」



「あたしはユウ君についていこうかなぁ…。

………だって一人だけじゃ少し不安だし傍にいたいの。」



「ハナビはね。エプちゃん達姉妹みんなで仲良く暮らしたいなぁ。

今度はリギョク様に頼らず、自分たちだけで暮らして…ユミ先生に教わるだけじゃなくてちゃんと学校に行きたい。

でも…ソライお兄ちゃんと一緒にいるのも悪くないかもってちょっと悩んでるの。」



「僕は………ま、当分はサイムについていくつもり。

僕がいなきゃお前何もできないだろ?

でもいつかは別れて一人旅も悪くないんだろうって、少し思い始めている。

今はまだその時とは思わないし、友情は消えないけど、いつまでも一緒は少し違う気がする。ハナビちゃんと一緒にいるのも選択肢の一つだね。

全部終わって落ち着けるところについたら、その冒険を本にしてもいいかもね。」



「確かに…ニッちゃんとアルは?」

「俺は…特に考えてないな。あ、そうだ。せっかくだからこの世界を見て回りたい。

絵でも描きながらゆったりと旅をしたい。」



「私は、そのーーー…自分で考えて生きていたいです。

自分で考えて自分の思うように成長していきたいです。

………あとでサイムさんには言います………。」

 なんだそれ?なんで俺にだけ?



「サイムさんは…?」

「俺?俺はなー………………ごめん、今は言いたくない。」

 なんだろう………何故かまだ言いたくないんだ。

ヒトメを生き返らしたいって思いの時以上の、明確な夢が今ある。

でも何故か言いたくない。ニッちゃんが言わなかっただろうか…。





 俺の今の夢。それを叶えるために………。





「少しずるいけど、いずれお前らにちゃんと伝える………。

でもこれだけは言える胸を張って、いろんな人と信じあい助け合い生きていたい。

馬鹿にされるかもしれない。くじけるかもしれない。

つらいかもしれないし、落ち込むこともあるかもしれない。

でも、だからこそ俺は心を信じたい。」

「…サイムお前。いいことを言ってるんだろうが一つ、僕からアドバイスだ。」

「?」

「それって今言うと死亡フラグだからなッ!!!!」

「…あ、言っちゃった。」

 まだエイドスドアルームは俺らの頭上に浮いている。

まぁ自覚すればフラグなんて折れるだろ、そもそもここは現実だし。

小説じゃあないんだから。

「まぁ、なるようになるだろ!さっきのは死亡フラグでもなんでもねーし!」

「そうだといいんだけどなぁー。」





「そういえば、あいつらは今どうしてんのかなぁ?」

「あいつらって?」

「ほら、ロボット達だよ。」

「確かにどうしてんのかな?最後に会ったときは吉田に預けたんだがな。」

「あいつらは俺のところで面倒見てたよ。」

 そういえばアルは地味に別の場所で一緒にいたらしいな。

「あとはあの場にお前らが来た時点で状況は動く。気合入れろ。

そして読者ともども俺の頑張りを刮目しろ。」

「おう。」

 その読者ってのは俺はまだ理解してないが、口癖かなんかだと思い始めている。

「ハナビはね、またお姉ちゃんやエプちゃんと一緒になったら、

いっぱいエプちゃん()遊ぶんだ!」

 ハナビはいい姉になるな。たぶんきっと。………うん。

その食欲のまま、妹のご飯をさっき何食わぬ顔でユミから掠めとるような行動をしなければの話だが。

「ハナビ、エプちゃんをぜひともきゃっきゃウフフしてね!

いや~やっぱり姉妹仲良しが一番だね!」

 ソライがキモイ笑顔を向けながら鯖缶を開ける。

「お前にとったら天国だもんな。

だってこいつの姉妹ってロリしかいねぇもん。」

「その通りィ!ノーツーちゃんも、モンブちゃんも、エプちゃんも、ヘラロスちゃんも、ブランちゃんも、ゲジちゃんも、そしてハナビちゃんも!!!全員、僕の射程範囲内さ!!」

「こんな決意固める場で変態発言しないでください!!!」

「ヌベラッ!!」

 ニッちゃんがソライを殴る。

見事に瓦礫と貸した我が家に突っ込んだ。



「なんだか久々にニッちゃんに殴られた気がする…」

「そうですか?」

「昔からこんな感じだったぞ。昔は殴る役がヒトメだったってだけで。」

「つまり、お前は昔から成長がないってことだな。ソライ!」

「ええええええええええええ!?」

「その通りです!ソライさんは昔っから!変態のロリコンでした!」

「ひどくない!?」





「懐かしいな。

昔はソライが殴られるとオレとサイムも『ついでに』ヒトメに殴られたよな。」

 本当に懐かしい。全ての理不尽であり、愛情をもって死の淵に叩き込まれた。

「あったなぁ…あのアスファルトをも砕くパンチに比べるとニッちゃんのはまだマシ。」

「え?こうみえてずいぶんと強くなってきたつもりです!」

「いや、一回冗談で馬鹿なこと言ったら、ツッコみ一発のパンチで

オレ、複雑骨折しかけたもん。」

「ヒトメのおかげで月に必ず1回は走馬灯を見すぎたせいで、走馬灯の走馬灯を見たことがあったなぁ…。俺…実はヒトメが俺らの技開発しているときに、

事故で奥歯一本、銀歯に代わってんだよなぁ…」

 左奥歯がその銀歯である。

倒れ伏した時、傍に奥歯が転がっていた時は痛みより衝撃が勝った。





「あの赤金魚にかかわって、骨が折れて入院経験のない鮫島学園ぼこうの不良男子はいない。」

「顔面破壊の女王。」

「ゴリラより強くライオンより獰猛でチーターより素早く

不良の俺らより賢くドラゴンより凶暴な金魚。」

「威圧で失禁して泡吹いて気絶した当時の高校生と空手家とボクサーたちの顔を僕は忘れない…。」

 実際不良をやっていた俺らより、不良ぜつぼうだったヒトメの話を聞いて女性陣がドン引きし始めている。

「そしてそんなヒトメへ、いたずらがばれるまでのスリルが面白いんだよな。」

「よ、よく不良続けられたわね…」

「だってツッパリやってたほうがかっこいいと思わないか?」

「80年代じゃないんだから…」







▽▽▽▽▽▽▽▽





 ――数分後





それからグダグダと酒を飲み続け。

そこそこ酔ってきた俺ら。

飯も少しずつなくなっていき、あるのはつまみのチーズやポテチくらいだ。

若干顔が赤くなっていくのを感じるが、まだ平静は保っている。



「やっぱさ~中学の時の勉強なんか役に立たねぇんだよ。」

「そ~そ~同じように勉強したところで、闇落ちするときは闇落ちするんだって!」

「意味ありますよ。大体中学のころまともに勉強してこなくて、万年金欠のあなた方には言われたくありません!」

「ハナビ、お姉ちゃんたちといっぱいお勉強するんだ!」

「ハナビちゃんはえらいねぇ~いや~エロい!!」

 すでにこの場にいる誰もが察し始めてきているのだが………。



 ソライが相当酔っぱらってきているのだ。

実家のみんな同様。ソライは酒に弱い。

情緒が不安定になり、ろれつがまわらなくなっていく。

そして色々と普段押さえつけている『欲望』が、ぶっ飛んできているのだ。







「おいおいソライ、ハナビをわいせつ的な目で見るんじゃねぇよ。」

「いつも通りだってぇ~」

「つまりお前はいつもハナビを見る時、あれやこれやアダルトなことを考えてるってことだよなぁ。」

「いつもは考えてましぇ~ん。たまにで~す!」

「変態!」

「あべし!」

 ソライがニッちゃんに殴られる。

だが酔いは終わってねぇ…。



「おい、サイム、ソライ止めろ。明日は最終決戦だぞ。

あいつの酔いのまわり方ひどすぎるぞ!」

「そういえばソライの実家の連中みんな酒よわかったな。」

「うわあああああああああああああああああああああああん!

ニッちゃんがいじめるぅううう!!」

 ソライは大号泣する。

「え…えぇ?」

「何だ?突然!?」

「あーーあいつな、泣き上戸なんだ。」

「す、すいません!ソライさん!!!」

「びえええええええええええええええええええええええん!!!

僕悪くないもおおおおおおおおん!!

なんで僕ばかり殴るのさ!!!

僕だってねぇ頑張っているんですよおおおおおおお!!?」

「本当にすいません!」

 ダダのこね方が、手足を上下に振って子供というより赤ん坊に近い。

エレデ島で見たのと似た光景だ。




「何だこの構図…

僕は!?僕ぁ!!

いっつもみんなが動き出す前に、切り込み隊長として活躍してきたのにぃい!!」

「サ、サイムさん!!助けて!!」

「まぁ待ってろ。ユウジ、ビール一本貸してくれ。」

「ほらよ。」

「ほら、ソライ。お酒だぞーお前の好きなお酒だぞ~。」

「わぁい。お酒ソライお酒だぁいすき。」

 ソライはビールをぐびぐびと飲む。

当然あまりお勧めしないやり方だが、もういっそ潰れて寝てほしいのだ。

「ぷっはぁあああああ!!幸せぇ~~~」

「こいつ、いつかアルコール中毒で死ぬんじゃないのかな?」

「良い子と悪い子のみんなは無理やりお酒を進めちゃあだめだぞ!」

「アル、さっきから誰に向かって言ってんだ?」

「ソライお兄ちゃんよしよし。」

「はなびちゅぁ~~~ん!!」

 ソライがハナビに抱き着く。

「ソライお兄ちゃん苦しい!」

 ちょ…だいぶ強く押さえつけてないか!?

っていうかソライ、顔を胸にうずめてないか!?見間違いか!?

あとハナビ………。

痛がっているように見えて母性が刺激されて、どことなく満足そうなその危ない顔は何だ!?



▽▽▽▽▽▽▽▽




 そんな風なソライだが、目には大粒の涙があふれていて…。

声を押し殺仕切れない様子で、どこか悲しそうな表情だ。

「…いやだよぉ…

いやだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

みんなと旅を終わりたくないよおおおおおおおおおおお!!

バイバイなんていやだよおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「……ソライ。」



 …そうだよな。これで、俺らのこの冒険は終わっちまうんだよな。

そして俺らはそれぞれ別の道を生き。みんな、離れ離れになるんだよな。


「…」

「…」

「たぶん、たぶん。みんな、バラバラに離れ離れになっても

みんなの心が信じあっていればきっとまた、出会えますよ。

離れていても一緒ってことです。みんなの心はちゃんとつながっています。」

「ニッちゃん…いいことを言うじゃねぇか!」

「うわああああああああああああああああああああん!!

すっごいいい事いうじゃんかああああああああ!!」

「ちょ、そんなにもソライさん泣かないでください。

また私が泣かしたみたいじゃないですか!」




「そういえばさ、さっきからユミが黙ったままだけど…どうかしたのか?」

 俺らがユミのほううへ振り向くと、立ち上がり

ユミは手に俺らの戸は違う酒瓶を持ったままゆっくりとこちらに向かって歩く。

いつもとは違うユミの異様な雰囲気に少なからず謎の緊迫感が身体を走る。


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!


~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~

~ソライは実はこっそりといろんな場所とハナビの写真を撮りまくっていたぞ!~

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