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第19話その2『THE_REVENGE:偽塔と地域の究極』

※この『物語』は『フィクション』です。

※それなりに『諦めない』気持ちで読んでください!



 ――午後14:10

9月15日、旅38日目






 俺らは残されたエレデ島の住民に連れ去られた住民10名ほどいるのを確認したのち彼らに必ず助けると約束した。

どうやらタツカちゃんはゾンガイらに救出された?らしい?

そしてそのゾンガイ達はどこかへと失踪したらしい。

どうやら六道達も、今回はあまり頼れなさそうだ。



 今は全員でおにぎりやらの軽食を食べ体力を回復しつつ、俺らは『医』の歯車レツに治療してもらっている最中だ。

どうやら『巨』の歯車『偉大なるガンマ』しか脅威に思ってなかったようで、

『医』の歯車であるレツを回収し忘れていた。

「………さて、まずは敵の位置だな。アル!どこにいる?

発信機的なものを取り付けたんだろ!?」

 『おまえ』から教えてもらったことだからな。

「ん?ああお前、よー見てたな…。驚きやわ…。

せやな、大体……ん???」

 アルがどこからともなく液晶ディスプレイを取り出し場所を確認する。

俺もその画面を覗き込むが、ここは俺らもよく知る場所だ。

まさか敵は街中で騒動を起こす気でいるなんてな。



「………あいつらの場所が分かった。俺らもよく知る場所。

場所はショーワ町の真横………タイショー町1丁目………

『タイショウモダンタワー』にいる!!」

 タイショウモダンタワー(※第4話参照)

それは俺らの故郷ショーワ町と同じ東協都トーキョート塔明区トウメイクに存在する塔。かつてハナビを拾った日、旅の前日。

同業他社ライバルの万歳ストームと対決し、ノーツーと戦った場所。

都市機能のインフラシステムが存在し、老朽化しているとはいえ人の出入りは多い!狙われると塔明区トウメイク全体の都市機能が麻痺しかねないし、犠牲者が出る!!



「あそこは狙う理由はいくらでもあるような場所だ。

狙われるようなものを作るから大体、国が悪い!!」

「「同感!」」

「まぁまぁ………。」

 とにかく、またあそこで戦闘をしなくてはならない…。

俺はほっぺについた米を口に運び、少し考えてみる。

人質を隠すなら、どこか………?

敵は塔内部のどこにいるのか………?

今、使えるものは何と何か………?

残り時間はいくらほどあるか………?



▽▽▽▽▽▽▽▽



 そう考えみんなに作戦を伝え数分後に、骨折の痛みが引いてきた。アルも調子がいいみたいだ。

「痛み止めと軽度の治療を処方いたしました。

無理なく動く分には問題ありません。ただし、これ以上攻撃を受けないこと。

いくつか薬を渡しておきます。鎮痛効果と治癒効果が配合された飲み薬と塗り薬です。」

 『医』の歯車らしく、しっかりと薬を処方してくれた。ありがてぇ。

「これで怪我を負っても大丈夫とは思わないでください。怪我をできるだけしないのが『プロ』です。あと後ででいいのでお薬手帳に、ちゃんと薬の内容が記載されたシールを張っておいてください。

副作用についても明記しました。

塗り薬は体温の上昇などですが、飲み薬の方は頭痛とめまいが約2時間後に襲います。何か質問は?」

「「ありません。」」

「また何かありましたら私あるいは、かかかりつけ医に行ってください。」

 やばい………こんな事態でも、すげぇちゃんとしている医者だ………。





「そういえば…お前は何ともないのか??」

「クロさんは、かなり手加減してくださったので。

そもそも私を殴るときに『許してくれ』なんて『賢いこと』いうようなのは

クロさんじゃあ、ありません。

私が本気で信頼しているパートナーは、そんなことは絶対に私に対して言いません。

意見を曲げるのが大嫌いで強情でバカで、上から目線の人に従うことと労働が大嫌いで、バカで。」

 バカって二回言ったな。





「そして何よりも私たちと昔から、どんな馬鹿なことでも一生懸命にやるのが

すごく好きな心豊かなのがクロさんという、私の親友パートナーです。

だからこの言葉は、きっとクロさんからのこういう伝言です。」

「?」

「『信じている。』だ、そうです。」

「つまり助けに来てくれるって信じているんだな!」

 ならさっきの作戦はますます希望が持てる!!

「さてアルゴニック。私を吸収してください。」

「ああ、認証コード『ε-涙の重みと命の重みを考えるもの-』を認証しました。」

 アルがレツを吸収する。

じゃあ俺らが次にすることは………ソライと『アレ』を書くことだな。



▽▽▽▽▽▽▽▽


 さてと………忘れちゃあいけないのが………。

「おい、モンブ!」

「???」

 実はモンブは連れ去られていなかった。

だからハナビはさっきまで諦めの意見を出していたが

この子が連れ去られたらあそこまで厄介な説得は必要なかったろう。

まぁ連れ去られなくてよかった。



 それに俺が説得している間、実はこの子は島民たちを元気づけていたらしい。

頼れるお姉ちゃんってやつだ。

「なぁに?サイムさん?」

 俺はソライとともにさっとしたためた手紙を茶封筒にいれる。

「モンブ、これを万歳ストームのタマシイ達へ渡してくれ。

状況説明を端的に書いた封書だ。

絶対しくじってほしくないことも記載しておいた。

ある程度してほしい準備も。これには社長、副社長として

俺とソライの母印ぼいん…いや、血を使ったから『血印』か…

それが推してある大切な封書だ。」

 モンブがコクンと頷く。

「俺らはアルやお前らと協力して『あの作戦』の準備をしておいた。

これが俺のできる今の最大限だ。」

「わかった!お姉ちゃんにまかせてよ!」

 よし!いい返事だ!



▽▽▽▽▽▽▽▽





「さてと、行くか。空間裂傷!!」

 アルが空間を切り裂く。一つはモンブが帰る用。もう一つは俺らが進む用だ。

俺らは空間の裂け目に入り中の様子はどんなものかうかがってみる。

タイショウモダンタワーの中のようだ。

いきなり敵がいるなんてことはなく今のところ、大丈夫そうだ。

人はそんなにいないように感じるけど………。



▽▽▽▽▽▽▽▽

タイショウモダンタワー1階_エントランス

▽▽▽▽▽▽▽▽



「とりあえず、進んでみるか。」

 俺らは歩き出す。

以前と違ってなんだか人の出入りが少ない気がする。

タイショウモダンタワーは都市機能の施設なのに…。

このモダンタワーは1~2階は商業施設だ。

俺らは飲食店が立ち並ぶ区画を歩く。

「この先にいるんだよな…」

「ところでさ、みんな、今日の晩飯どうする?」

「え、何こんな時に?」

「いや、これが終わった後に何か

うれしいことがあるほうがやる気出るかなって思ってさ。」

 俺はメイジダンジョンを攻略したとき(※第1話)にすき焼きを食いたい一心で駆け上った。ダンジョンでなくとも同じような塔だし、モチベーションは大事だろ。



「ハナビ、ハンバーグとオムライスがいい。」

「オレは味噌汁と鮭と卵掛けご飯。」

「僕はチャーハンが食べたいなぁ。」

「あたしは、サラダとハンバーガー。」

「俺はかつ丼が食べたい。」

「私はピザが食べたいですね。」

「俺、焼きそばが食いたい。」

「………見事にみんなの意見がバラバラだなー。」

 俺ら、らしいけどな。



「どうします?」

「ユウジ、全員分作れるか?」

「いや、無理でしょ。」

「わかった!お前の希望を叶える!!

てんこ盛りロコモコ丼を作ってやるよ!!」

「おお。」

「ロコモコ丼ってなぁに?」

「大人のお子様ランチみたいな物だよ。」

「おお、お子様ランチ!ハナビ大好き!」

「なんだか、飯の話をすると明日への活力がわいてくるな!」

「もう、単純なんですから。」

 だが実際、大事なことだ。楽しみがあるってのはな。



▽▽▽▽▽▽▽▽



 この区画を通り過ぎると、かつてアルがニッちゃんにボコボコにされた地下がある。

ノーツーが潜伏していた場所だが、あそこは人がまずいない。

それに相手は俺とアルが死んで、仲間は戦意が消えたと思っている。

ここなんだよな。隠れつつ少しずつ相手を切り崩すことのできる油断チャンスは。

だからこそ、見つからずに地下まで行きたい。



 ノーツーがここに出入りしていたってことは、地下へは監視カメラはおそらくほとんどないはずだ………。



「うわ…閉まってる。」

 俺らの目の前には防火シャッターが閉まっていた。

「サイムさんどいて。ハナビがハッキングするよ!」

 ハナビは自分のコードを、すぐそばにあった防火シャッターの制御端末へぶっ挿そうとする。

………なんどジャンプしても、身長が足りなくて。

不安そうにチラッとこっちを見る。

「はいはい。これをここに挿せばいいんだな?」

「う、うん…。」

 ハナビの端子を端末へぶっ挿す。

「みんな、待ってね………。開くよ!」





▽▽▽▽▽▽▽▽

タイショウモダンタワー地下1階_廊下

▽▽▽▽▽▽▽▽



 たしかここらへんでノーツーがいたあたりのはずだ。

人がいるならこのあたりだと思ったのだが…。

誰もいない…。あるのは依然来た時と変わらない切れかかった蛍光灯。

薄暗い廊下………。防火シャッターまで降りてるくらいだ。

おそらくこの塔のどこかにはいる………。

………ここは都市の人造の塔だ。だが…一応………。



「ソライ、トラップ探知できるか?」

「……確かに警戒したほうがいいかもね。」

 あと念には念をいれて…。

「アル、歯車を3体だけ貸してくれ。」

「単体ではあまり使い物にならんぞ??」

「そう思ってこいつを持ってきた。」

 俺は裏カジノで同僚から渡されたもの(※第6話その終参照)

リギョクの研究所に寄った時に渡されたもの(※第8話その終参照)

偶然、修業に必要かと思って3つだけ持ってきていた

それを見せびらかす。



 かつて裏カジノでゴウジャはこいつに超越の歯車を差し込み武器に変えていたもの。『レガシーアダプタ』とか呼ばれる道具だ。

「本来、安全面から都市内で冒険職が使う武器ガジェットは妨害電波によって変形できない。妨害電波の発生装置はこの塔の最上階だから、それより下の階で戦闘になった場合、自衛すらできないだろう。

だがこいつは別だ。ノーツーやブラン、ハナビたちの姉妹はこれを変形させていた。」

「なるほど…何がいい?」

「………『溶』、『操』、そして『守』。この3体がいれば勝てる。」

「じゃあアドバイスだ。

『溶』はなんでも溶かす鞭になる。

『操』は自在に操作できるワイヤーになる。

『守』は絶対防御の盾だ。」

 『溶』は予想外だがちょうどいい。

組み合わせればいざ戦闘になった時、説得できる可能性が見えてきた。



▽▽▽▽▽▽▽▽



 さて数十分間、ある程度見て周ったが……。

「地下2階ってあったけ………。」

「これより下の階層にはたしか、スクエアバギーを都市外へ進ませるための通路があったはずですよ。(※第5話参照)」

 ………通路………………。そう遠く離れていない場所…。

たしかそこら辺の交通インフラもこの塔の役割だったはずだ。

交通規制とかもできるし………。

一部地域の水道の管理、電気等の都市機能もになっていたはずだ………。

ここからだと………。

「なぁ俺、分かったかも。人質の場所。ちょいと待ってな。」

「「「「「「???」」」」」」

 俺はガジェットの通話機能である人物へと電話をかける。









 RRR………という音の後………。

「あーもしもしぃ~~!」

「へぇい!こちらショーワ町第八商店街の『魚屋』でぇい!!」

 クソデカい声でしゃべるこのおっさんは、俺がよく行く第八商店街の魚屋だ。

いつも借金の催促をしてくるおっさんだが…今回ばかりはあんたが必要だ。





「あー魚屋?どうせ暇だろ?

わりぃんだけど、『商店街会長』の人脈を駆使してほしい。」

「あん?その声は?サイムか!?テメェ!!借金払えってんだい!!」

「………悪いが急いでいるんだ。今、ごちゃごちゃ言い争ってる暇はない。

このままいけばお前らの所もシャッター街だ。それは俺もお前らも困る。」

「………………ちッ、いいだろう。話を聞いてやる。

俺ら第八商店街はテメェら、『武山冒険社の親』みてぇなもんだしな。

人生の先輩風ビュービュー吹かせてやらぁ!!」

 ありがとうよ。こんな俺を育ててくれた親共。

地域社会と人情の力見せてもらうぞ。



「俺んところの孤児院のババアも誘って、協力してもらってあることをやってほしい。助っ人も『1名』そっちに向かわせる。今から電話をスピーカーモードにしてテメェんところのカミさんにもメモを取ってもらってくれ。」

「おうぅよぉ!」

 音質が変わったな。

「じゃあいうぞ!」




▽▽▽▽▽▽▽▽



 数分後………。

「………以上だ!!」

「………なぁるほどな。まかせろ!第八商店街の底力見せてやる!」

 魚屋がわかってなくてもこいつのカミさん…嫁は結構、頭がいい。

うまいこと商店街中で協力して行けるはずだ。

長年連れ添ってきた地域社会。俺らを見てくれて叱ってくれた少年時代からいるおっさん共。あんたらは、背中を預けるにふさわしい存在だ。

「頼んだぞ!!」

「ああ、帰ったらテメェらが借金払ってマグロの刺身とビールで祝杯だ!!

借金払っ」

 俺は問答無用で通話をきる。





 ふふふ、《オングストローム》、お前は本当に運がない。

地元に根付いて活動してきた俺らはここでは最強の企業だ。

地域と密接につながっているっていうとこが、弊社おれらの強みだぜェ。

『ショーワ町』を、舐めるなよ。

お前らがいくらすごかろうと、ホームグラウンドでは負けなしだ。



※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!


~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~

~歯車たちは武器になるとそれぞれの力を無制限に行使できるぞ!~

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