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【リバイブポイント4_Q:Where do I go?】

※【警告】『リバイブポイント』に突入いたします。

衝撃に備えてください。



 ――降りしきる小雨の中。



 俺らは立ちすくむ。おそらく最悪の状況に!



 敵が多すぎる。敵の種類も多すぎる。敵の強さも強すぎる。

敵の特性も厄介すぎる。敵意も恐怖も多すぎる。仲間は動けない。

天気は小雨。地面は砂浜。

おまけに頼れるべきはずの仲間アルは裏切りによって精神が不安定だ。





「クロ…裏切ったって…嘘だよな…」

「…」

「嘘じゃありませんよ。

あなたは本当に、自分の都合のいいようにし考えない『理想主義者』ですね。

『現実』を受け入れなさい。

デルタがこちらにいる時点であなた方の敗北は確定事項なのです。

そして念を入れてウプシロンと、死神とそのIdを保有した少年もいるのです。

概念以上と概念下全てに対応できるよう、念入りに計画させていただきました。」

「…」

真っ黒な歯車は長い手を『力』無く地面に引きずってうつむく。

そして黄緑委の『変』な歯車は俺らを見据える。笑うように。



 そんな二つの歯車を、家族であるアルは見つめる。

「…わかった。見損なったぞクロ、@。

今お前らが、どういう心でいるのか俺にはわからない。

お前はやってはいけないことがあるってわかってるよな。

クロは親愛なるパートナーであるレツを殴り飛ばした。

二人とも仲間であるエレデを見捨てて、敵に寝返ろうとしている。

それがどれほどの罪か…

さすがに馬鹿共でもわかってるだろ。」

 アルの問いかけに対してクロは絞るような声で

「…うるせぇな。俺だってこんなことをしたくないんだよ…

でもしかたねーじゃねぇかよ。」

「………。」



 アルは目を閉じる。喋っているのに小雨に消えそうな声で話す。

「理由があるなら今ここで話せ。」

「シロがこいつらの人質になった。

俺は兄弟を見捨てれるほどできた男じゃねぇんだよ。

すまねぇな…」

「!?」

 兄弟を人質に取られているのか…。そういえばこいつの弟は、こいつ自身の制御に必要だってアルがこの島、着いたときに言ってたな………。





「はい。お話はそこまでですよ。

我が従僕、《ニアリーイコール》が次元の彼方から、こちら側へやってきているんです。

彼を迎えに行くために忙しいのでクロ、まずはそこの邪魔なガラクタを破壊しなさい。トシツキ、死神、@は待機してください。」

「了解」

「「………。」」

「…了解した。こいつらをぶっ潰す。」

 クロがこちらへと向かってくる。

25㎝とは思えないほど力強い威圧感に、砂が舞い散る。

そこにあるのは『剛力』『怪力』『圧力』『暴力』『全力』そんな『力』の化身。

元カノのヒトメと似た『理不尽』を感じる…。これが『力』の歯車………。

ただ歩いているだけなのに………。





「やるしか。無いのか!?」

「サイム…さん…私たちも戦えま…す。」

「ニッちゃん無理すんな。俺らだけでやる。」

「こんな時に…なにもできないなんて…」

「気にすることはない。今は俺とアルに任せとけ。」

 ニッちゃんは倒れ伏しながら俺へと顔を向ける。策略にはまらなければこんなことにはならなったが、そうも言ってられねぇ!!

「サイム!持てる限りのすべてを尽くすぞ。

戦えるのは俺ら二人だけだ。

まだほかの連中は使えない。」

「わかってる。行くぞ!!

ガジェットギア・セット!!」

「クリエイト・ラスチ!Lv.2!!」




 俺とアルは各々槍と金属の腕で身構える。

ただアルは、ぬいぐるみ状の身体から、人間体に変化しており。

背中から巨大な鉄の『片腕』を生やすのではなくて、『両腕』とそれを支える『肋骨ろっこつ』の様な鎧を身にまとっていていつもの何十倍も本気だとわかった。



「まずは俺からだ!『ロビ』!『レンモ』!力を貸してくれ!!

『風速重㎞!!』」

 アルは接近し、ラスチの両腕を使いクロにパンチする。

風が周りの砂を吹き飛ばした重い一撃だ!!

直撃の証拠に周りの砂が重みで吹き飛ぶ!!



 ――まず確実に直撃した…



 はずだった。





「こんなものか。弱弱弱弱弱銅破。」

 『重』『風』の力が乗った重く鋭い一撃が!!?

なんとクロはそれを片手のパンチで、鉄でできたこぶしを正面から破壊する!

「ならば『アオ』!『イッキー』!仲良しコンビの力を組み合わせて!!

『超爆音神速インパクト』!!」

 アルがリズムよく、ものすごいスピードでパンチのラッシュを繰り出す。

残り片方しかその腕は残されてないのに。





 だがクロは超スピードを全て髪一つで回避する。

「見切ってんだよ。アオ達の技ごとき。弱弱弱弱銅破。」

 残った腕もパンチ一発で破壊されてしまう。





「ならばこれだ!グーベー!!『破』の歯車なんだろ!こっちへ来い!」

 アルの言葉に答えるかのように『破』の歯車がアルへ力を貸す。

「カミサマブレイカアアアアアアーーーーー!!!!!」

 アルの手元からかつてリギョクの研究所で見た

破壊の嵐である極太ビームが巻き起こる。

「効くと思ったか?弱銅破。」

 そんなのはお構いなしに、クロはビームを連続パンチではじく。





 だがその位置だ!!それがいい!!

クロの動きが鈍らせることができたそれがいい!!

「ここだ!!!武山流槍術!!六合目ろくごうめ!!六甲ろっこう!!!」

 俺はビームを『遮蔽物』にして接近しジャンプし、アルが足止めしているクロへめがけて、槍を振るう!!高威力のこの技なら!!





「な!?」

「何ィ!?」

 あれ?当たった。

当たったはずなのに。

『頭』の『上に地面』がある。

俺は逆さまになってる?

まさか………投げられたのか!?柔道やカブトムシみたいに!?

25㎝の身体で!?攻撃されている真っ最中なのに!!?



「効くわけねーだろ。週刊少年漫画読んでから出直せよ。」






「めちゃくちゃ…すぎんだろ…」

 俺は身体を起こす。

「俺はまだ『力』の1%も出していないぞ?」

「『操』古流式絶対操術一の型「童人形」!!」

 アルは大量の糸を出し。クロをぐるぐるに巻き付ける。

「弱弱銅破。」

 だがその糸がまるで紙を破くかのようにちぎれていく。

わずかな時間稼ぎもできないから連携がしずらい!!




 気づいたらクロはゆっくりとアルの目の前まで行っている。

まずい!!もうこんなに進んでいたのか!!?

「すまんな。」




 ズドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

という爆弾の様な音が響き渡り

クロはアルをさっきのレツ同様に、思いっきりぶん殴るッッ!!





 アルも岩場のクレーターに埋まれた。

まるでなにか…チープなB級映画のようだ。

だがこれは現実だ。

「ヒィ…」

 これは………。

「さぁクロ、そこにいる武山冒険社もやるのです!!」

「…オングストローム。あんまり調子乗ってんじゃねーぞ?」

「おや、そんな口を聞いていいんですか?」

「…」

「あなたの弟の命は私が握っています。

そこにいるやつらを野放しにしておくと我らの障害になります。」

「…わかった。

どこの誰だか知らねーが…

この場で死んでもらう。」




 勝てるのか…!?

いや違うな。勝つんだ。

こんなところで死んでたまるか…!!諦めてたまるかよ!!!

槍を持つ手に力が入る。足場は砂で悪かろうと、踏ん張れる!!



「うおおおおおおおおおお!!

武山流」

「遅い!」

 何!?

もう俺の懐に!?さっきまでアルを殴った地点…。

「あばよ。」

 クロは俺のみぞおちに一発すさまじいパンチを繰り出す。

「ぁ…が…・」



 ――そのまま俺は岩場に吹っ飛ばされて意識を失う…








 ――せめて一太刀…







【アクセスポイントを検出中です。】



▽▽▽▽▽▽▽▽

××××××××


【アクセスポイントを検出しました。】



 寒気がする。

ただあるのは絶望。



【アクセスポイントの相互交信中。】


【接続を開始します。】


挿絵(By みてみん)


簡易ゲスト権限、Id01-The One- 個体名:武山 才無の変数へ介入制限を確認。】



【特殊個体権限により接続を完了しました。】







【※重要な警告:これが最後のリバイブポイントです。】



【ご注意ください。】



××××××××

▽▽▽▽▽▽▽▽





 うぅ~ん…

俺はどうなった?



挿絵(By みてみん)







『武山才無。』

 どこからともなく俺の心に声がともる。



おまえ』か…

 そうだ!俺はクロに負けて…

『然り…おぬしはデルタに負け、今気絶しておる。』



 はぁ…なんもできなかった…つまり、またここか…。

なぁいい加減、ここは何なんだ…??

なんだかここに来るたびにお前がはっきりと見えるようになってきているし。

五感とかも鋭くなってる気がする。

戻ったら普通に『筋肉』とかの調子もよくて色々とパワーアップしてる気もする。

ここは一体何なんだ??俺の頭の中なのか?周りは真っ暗で何も見えないけど。





『【ここ】は【ニーイ】が保有する、コミュニケーション用【共有思想領域】。

固有名称は【変数:リバイブポイント】、我が貴殿と会話し【決断】を促すための【有機的な普遍共通思考クラウドにおけるパブリックドメイン】の一つ。』

 パブリ………??どういうこと??

『そうだな………。

我はよくは知らぬが例を挙げるなら【ここ】は、【貴殿らの世界】に存在するデジタルゲームにおける【管理者専用部屋デバックルーム】の一種のようなものだ。

それのほんの一つ。我と貴殿、そして【ニーイ】と呼ばれる【管理存在】以外アクセスは不可能な領域。』

 で、なぜデバックルームに来たら五感が鋭くなったりするんだ?

『ここにいると【変数そんざい】に対して軽度の【最適化アップグレード】が自動更新される。より【求めているもの】へと変化していく。』





 つまり俺がここで強さを『求めたら』戻ったら超パワーで押し切れるってことか?

『………あ、ああ。強く、なれる、ぞ。

だがお前がいくら強くなろうと奴は倒せぬ。『力』の歯車とはそういう理不尽だ。

奴は手を抜いた。本来の力を出せば貴様なぞ、一瞬で肉塊よ。』

 なぁ『おまえ』、クロを味方にするためにはどうすればいい?

『弟を人質に取られたと。言ってたな?

ならば弟である『シロ』またの名を『ゼータ』を奪還すればよい。』

 なるほどな。

だが居場所がわからんぞ。

『居場所か…

それならばアルゴニックがもうすでに対策をしておる。』

 対策?

『殴られる寸前、『情』の歯車パイを使い居場所がわかる装置を、デルタに取り付けた。』

 ようは、発信機を取り付けたってことだな。







『その通りだ。』

 なんだアル、やるじゃねーか。

『だが貴様、アルゴニックまでもが完全に全滅。

おそらくこの戦を諦めていないのは少数なのだ。

いままでアルゴニックに、旅を助けてもらったツケがまってきたのだ。』

 ツケ?

『お前らは旅のさなか、どうしても『敵わぬこと』に直面すると

アルゴニックに幾度も頼り続けた。

アルゴニックという創造主…『圧倒的な理不尽を覆す存在』に

無意識的に頼り続けていたのだ。『ダメだ。無理だ。』

そう思いつつも、心の奥底では大丈夫、こっちには願望器アルゴニックがいる。

と思っていたのだ。』

 ………。

『この旅は、自身で解決せねばならん。貴殿らの力で解決せねばならん。

お前の【Id(イド)】を示してほしいのだ。』

 ………………ああ、そうだな………わかった。

大丈夫だ。アルに頼らなくたって俺らは今回、解決して見せるさ。

その程度で諦めるサイム様じゃないぜ!

まだ作戦は思いつかねーけど。頼りっぱなしは俺のしょうに合わねぇし!



『…サイム。貴殿はなぜ諦めぬのだ?

ヒトメとの愛は叶わぬとわかっているのだろう?

他に夢ができたのか???』

 …俺でもよくわからないんだ。

ただ言えることは、今俺の胸の内にはどでかい夢がある………気がする。

おまえ』にとってはどうかはわからねぇけど、俺にとってはでかいんだ。

何かは今は言わねーけどな。





 それにな、ニッちゃん達や救うべきトシツキ君や『知』の歯車を見捨てて

ここで諦めたら、すげーーーかっこ悪い気がするんだ。

俺は前に進むことしか知らねぇ。

突っ走って馬鹿やって、転んで笑われても前に進む。

だからまっすぐ先を見つめて生きていたいから。

どれだけ怖気づいて、どれだけ馬鹿にされても生きていたいから

諦めたくないんだ。



『そうか………。』

 どうした?うつむいて???





『…まるで昔の我を見ているようだ。』

 お前はどんな奴だったんだ?

『我にもかけがえのない仲間と、ただただ世界が平和であれ。

生きてこそたどり着ける果てまで、進もうと決意していた。

だが、それも夢物語と知った。

精一杯頑張ってきたが、結局平和になったのは一時だった。

この世が平和になったとしても、その裏では人はひどいことを平然とする。

生き物だと知った。本当の脅威は魔神なぞではなく、人の業だった。

だから真の平和なぞ。夢物語だと思った。ゆえに我は、夢を心を諦めた。』







 …『おまえ』も苦労してたんだな…でも二つ言っておくぜ。







 俺と『おまえ』は違う。俺は『おまえ』みたいに世界を悲観して、つまんねー生き方をするのはもうやりたくない!



 そして『おまえ』は実は俺と同じだ。

同じようにあきらめが非常に悪い。

じゃなきゃ@戦の時、俺を鼓舞するような発言をしちゃあいない。

『…』



 俺らは実は非常に似たもの同士だ。

諦めたつもりでも諦めきれない。

心を諦めきれない。捨てきれない。

いろいろと矛盾してんだよ『おまえ』。

『………………矛盾こそ人の心理か…よい………。

………………………………サイム、貴殿に約束をする。』

 なんだ?

『次、我と出会う時、貴殿に真実を教えよう。

貴殿自身の秘密。

この世界の秘密。

Idとは何か。

そして我が何者なのか。

全てを話そう。』

 おう!楽しみにしているぜ!





『ならばゆけい。貴殿が諦めないのであれば。』

 じゃあな。『おまえ』!





主観変更side_???

××××××××







『貴殿なら、【プラトン】を越えて【石壁】に真の意味で干渉できるやもしれぬな。』

【こんにちは。おひさしぶりです。】

 我の前に【ニーイ】が出現する。いつも通り、面をかぶった幼い子供の姿で。







【条件を満たしました。

次の段階にて、個体名:武山才無 に対する問と審議が行われます。

準備をしてください。全ての真実を告げることへの。

それがあなたの最後の役割ロール

それがあなたに課せられた、この空想ものがたりのでの存在意義。】

『わかっておる。』

【さようなら。】

 ニーイは我の前から消える。

『はぁ………。』











 ………………願わくば、『我ら』を【ここ】から出してくれ。サイム………。


※【お知らせ】『リバイブポイント』へのアクセスを終了します。

進行度が完遂されたため、復活及び再接続は不可能となります。

これまでの『リバイブポイント』のご利用ありがとうございました。

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