第17話その5『RANtoRUN//カゲ:ネットリテラシー』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『キター(・∀・)ーな』気持ちで読んでください!
「電脳化??」
なんだ…その能力…。
「まずいな…もしこれが何らかの試練だとして、あいつが相手か…。
みんな少し話を聞いてくれ。」
俺らはアルを取り囲むように輪になって家電量販店の隅っこで話をする。
「まず初めに奴は『物理的に電脳化』していて、肉体が電脳化しているから、電脳にいる間は実態を持たない。」
「な、なるほど…つまり電脳化を解除していないからこっちからは手が出せないのか…。」
「ああ、そしてこれが一番肝心なんだが、自己増殖と自己成長の二つの特性を器用に操る歯車だ。無限に増えて無限に学習し強くなる。
的確に弱点を突くタイプの歯車で準備に余念がない。
あいつがもし準備していたとしたら『すでに詰んでいる。』」
「は…?それってどういう…。」
俺は少し疑問視する。だってもしもダメでも協力したり、ここまでの騒ぎだし、俺ら以外にも敵は多いはずだ。…いざとなったら国でもなんでも頼ればいいし…。
と思っていた時にユウジがハッと電光掲示板を見ながら驚いたように口を開く。
「そういうことか!わかったぞ、アルの言っていること!
つまり…もし準備されていたら、すでに『増殖済み』で『個人個人を学習した』大量の歯車のコピーたちの『情報』に踊らされて、オレらの周りの人間が『敵』になるってことだな!」
「おお、そうか!なるほど!よく気づいたな!ユウジ!」
「ああ!だろ!だってそこの電光掲示板にああいう情報が載っていたからな!」
ん?情報…??
――俺らは少し嫌な予感がしつつ後ろの電光掲示板を全員真顔で見つめる。
▽▽▽▽▽▽▽▽
【速報】サイバーテロ犯人発覚『武山冒険社』【最重要】
【最重要】懸賞金5000万円!やばい集団!『武山冒険社』
【顔写真アリ】こいつらが犯人www→『武山冒険社』
▽▽▽▽▽▽▽▽
という掲示板の情報と共に俺ら7人の顔写真がしっかりと載っており
懸賞金もばっちり載っていた。捕まえたら5000万円という巨額の金額が…。
………そして通行人はこの家電量販店前にいる俺らと電光掲示板をチラチラ見る。俺らを取り囲むように5000万という顔で睨みつける幾人ものの通行人諸君の顔が俺らへ少しずつ迫る…。
――…まずい…。圧倒的に………!!マズイッ!!!
――……じりじりとにじり寄られながら顔が青くなり冷や汗が止まらない俺ら5人…。
「ツ…。」「に…。」
「「「ツカマエロオオオオオオ!!」」」「「「逃げろおおおおおお!!!」」」
通行人がとびかかると同時に、俺らは一斉に地面を蹴りだす。
「「「ガジェットギアッ!!セットォッ!!」」」「クリエイトッっ!!ラスチィッ!!」「きゃぁ!」
ギアはくるくる回りボードへ変形する!
俺、ユウジ、ユミはボードで、通行人を振り切ろうとする!!
アルは巨大な金属の腕を背中に創造して、ハナビをメイジダンジョンの俺の時みたいに掴み上げる。(※第1話参照)
分散しなければッ!捕まっちまう!!
通行人が迫ってくる状況の中、ユウジが参謀として指示する!
「みんな!!別行動だッ!!ゾニュロ集合ッ!!」
「了解!解散ッ!!」
急いでみんながそれぞれ分散しながら別の道へ四方八方へと別れる!
うおおお!!急げぇえええ!ボードを強く踏みブーストをかけその場を逃げる!
主観変更side_ユウジ
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CHASE.『情報に踊らされた一般人』
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――約10分後
クソ!!とっさに頭をフル回転して、集合場所伝えたけどこれはまずい!!
歯車を捕まえる前にオレらが捕まっちまう!!下策しか伝えられなかった!!
そもそも『ゾニュロ』でよかったのか!?アルとハナビがたどりつける気がしない!
まずい!すでに『情報』に齟齬が出ている!!
この会社の参謀だろ!落ち着け…クールになれ…。
「「5000万円~~!!!」」
「落ち着けねぇ!!急げぇ!!」
よくよく考えれば追跡者は人間!オレらと同じ人間。
つまりはボードギアを操れるってわけだ…。
すでに左右をがっちりロックされつつ、大通りに『誘導』され同じ場所をグルグルまわっている。その証拠にさっき見た工事現場がまた目撃している。
おそらく『情』の歯車はそれぞれの電子端末を使って、それぞれの個性にあった的確なアドバイスを出しつつ、個人個人を連携させてオレらを捕まえ追い込もうとしてやがる!
狡猾すぎる!!こんなにも大人数を扱う歯車なんて!!数は力を体現してやがる!
――…だが、そこなんだよ。『そこ』が相手に付けこむことができるわずかな隙だ。
相手がうわべの情報しか見てないだけなら、オレはそれを塗り替えトリックする!!
走行中にボードのギアを外し『穴』に落ちる。ガジェットの状態に戻す。
落ちた先は工事現場をしていたネット回線とかの電気設備のマンホールだ。
おそらくオレという5000万円が外に転がっている情報に踊らされているなら、整備員はそれを取りに行くだろう…だからここには人はいない。
そして整備員は仕事をサボっていること会社に知られたくないだろうから…
ここら辺に……あ、あった。回線?とかのパイプのすぐそばに脱ぎ捨てられた
整備員の制服!ちょっと失敬して、これで変装しよう。
着替え終わったちょうど、マンホールから人がなだれ込む。ここは人が数名しか通れないのにご苦労なこった。
「おい、あんた。ここに5000万円の男がこなかったか?」
「(声を作って)いやァ?しりませんねェ?あっしハここで整備してたもんでスからァ。」
「そうか…整備ご苦労さん、はやくネット繋がるように犯人確保俺らも頑張るよ。」
「(声を作って)お気をつけてェ~………。」
よかった…。案外馬鹿にならないものだな。履歴書や採用面接で聞かれるわけだ…。
前職での経験ってのはこういう時役に立つもんだな。
同僚と組んでイカサマした時に喉を鍛えていて助かった…。
それにこういうネット回線とかだったら、大手の会社にもつながっているはずだから都合がいいここを伝ってゾニュロまで行こう。
このネット障害…『あの男』が無事だといいんだが…
主観変更side_ユミ
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多すぎでしょ!!すでに後ろこの大通りいっぱいにあたしたちを狙う人の群れ!
このままいけばボードの燃料がつきていずれ捕まってしまう!!
何とかしなければ!
こういう時はよく観察すること…。
敵の隙は必ずある。そういうことをみんなから学んだんだから。
相手の司令塔は学習していく超高度なAI。予測済みのことに関しては簡単に対処されてしまう。だけど追ってきているのは人間!
今の場所は空中回廊!絶好のポジション…。
こういう場所の地形から考えて………あれがあるはず…。
どこなの…。あそこさえ行けば撒けるはず………!!
………あった!見えてきた!!電車!!!線路に侵入して撒けばいい!!
人なら命を優先……。
…あれ?まさかあれ…電車じゃなくって…。モノレールぅ!!?
電車がぶら下がるタイプの…正式名称は『懸垂式』のモノレール!?
しかも肝心のモノレールを支えるレールの上にあるの普通に歩道じゃない!!
レールが空中回廊と兼任になってるのね~~、なるほどー利便的―って感心してる場合じゃない!!線路まで侵入しようとしない人間の真理を利用しようとしたのに!!
…ん?そういえばここ……さっきまでいた家電量販店ドデッカメラのすぐそばなのね…。
さっきの場所からちょうど裏手あたりかしら?ぐるっと周ってきたのね…。
………うん?つまりここにはあれがある!!
「うおおおおお!!」
あたしは空中回廊で追われている中、思いっきりスピードを上げながら、ジャンプをし
手すりを飛び越え、空中へその身を投げる!!
「ドぁっとッ…!」
空中でニ三回転をし遠心力をつけながら大ジャンプをし、身体を丸めながらレールの壁面を蹴って、レール上部の歩道へ衝撃を伴いながら着地する。
「ふぅ…。」
歩道にいた人間は突然、下の方から現れたあたしを見て驚きつつ
すぐさま「5000万円…」と言いながら少しずつ近づいてくる。
まぁ、ここには用はない!必要なのはこの場所!高さ!!
ボードに乗りなおし、さらに強く踏み込み!!より高くジャンプをする!!
そしてそのまま勢いのままジャンプの限りを尽くし、比較的に低い位置にあるドデッカメラの広告用のバルーンを支えている紐をキャッチする!!
バルーンの紐を放して、ボードギアの推進力を利用し空中を移動する。
これなら行けるはず。バルーンを利用して悠々自適にゾニュロまで移動しよう!
主観変更side_ハナビ
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あれから数分が経つ………。
実はアルさんと『絵』の歯車の能力を使い、今はハナビたち二人は巨大な段ボールの中に隠れながら街の路地裏から路地裏へ、色々なものへ擬態しながらひっそりと移動している所なんだけど…。
「アルさん…。」
「…。」
路地裏で不安になりながら隣の段ボールに身を隠しているアルさんに声をかける。
「アールーさーーーん。」
「………わかっているんだハナビ…。
…純粋に………迷った………。」
「…アルさん………大人なのに迷子なの?」
「………うん…。」
「…恥ずかしくない?」
「……言わんでくれ…。
俺は自慢じゃあないが就活の時、いつも迷ってギリギリの時間で面談した経験がある。
『なんば駅』で大和路線の場所を数十分かけて見つけられずにウロウロした挙句、駅員さんに聞かなければわからないほど方向音痴だ。
だからここがどこなのか、ゾニュロがどこなのかわからん。」
「ほんとに自慢じゃないね。」
この創造主、『創れ』はしても地図を読む能力は皆無ってやつらしいの…。
ハナビがしっかりしないと…。
ソライお兄ちゃんならなんて考えるだろう…。
ハナビたちにとって大切なのはおそらく、場所を知ること。
ハナビたちはみんなみたいに逃げ惑うのに困っているわけではない。
最大の課題は迷子でたどりつけないこと。
電子掲示板とかに地図は書いているけど、ハナビたちはあそこまで近寄ってじっくりと見れそうにない。
だけど、ソライお兄ちゃんならこういう土地を知るのに別に地図を見る必要はない。
ハナビは覚えてるもん!ユミ先生が言っていたゾニュロは『正五角柱』の建物だって、そしてハナビたちはそれを『上』から見る方法を知っている!!
「アルさん!お願い!『重』の歯車でハナビをフワフワ浮かせて!」
「合点承知の助!
『重』!!グラビティポイントゼロ!!」
おっととっと…お姉ちゃんの攻撃で磁力で浮いた時よりも身体が軽い…。
そりゃあそうなんだけど…今のハナビたちは風船みたい…。
いやそれよりも軽くなっている!
「ハナビ!空中は冷えるからな!
『光』!暖房頼むぜ!」
アルさん…ありがとう。次々と歯車を使い空中の環境へとならしていってくれる。
「えーーーっと…正五角柱…。」
雲より高いところ…。飛行機さんよりも高いところ、お姉ちゃんたちでも来たことがないようなすごい高いところから眼下の建物を眺める。どこにゾニュロって会社はあるんだろう…。
「ハナビ!あれだ!」
アルさんが指さすのは面が1,2,3,4,5の五角形をそのまま伸ばしたような不思議な建物だ。
「あれだ!いってみようよ!」「ああ、ほないこか!」
あとは合流するだけだー!!みんな待っててね!
主観変更side_サイム
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――うおおおおおおおおおお!!
ここからゾニュロまでの距離は大体徒歩10分ほど!!
このボードで行って3分間!!どうにかきり抜けようにも今のも泣きそう!!
物量が違う!!くそ!キリがない!!異常に人が増えていく!!
それにさっきから飛ばしすぎて!燃料がやばい!整備しとけばよかった!!
燃費の悪さがここにきて祟ってきたか!!!ケチったのがあだになった!!
しかもここの土地の悪さが今までの比じゃない!
ショーワ町はパイプが露出し、物が多くゴミが散乱した町だ。
何かから逃げるためにそのゴミを投げつけたり、パイプにつかまったりして逃げるのが常だ!対して!ここオータバ電気街はきれいすぎる!!水道管は露出してないし!そこらへんのごみを投げつけて時間稼ぎすらできない!!この街の設計者は確実に血液型A型の潔癖症だ!!そして人が多すぎる!!すげぇ勢いで増えていってる!!
前後左右上下!全員俺を狙う中、こちとら身体能力だけで人をかき分けて進んでるんだぞ!!
って前から人来てんじゃねぇよッ!!
「ドァアっとおおぉッ!!」
危ねぇ!!人身事故発生するところだったぜ!!
中学のころヒトメ直伝の回避の特訓をした甲斐があったもんだ!!
回避しなきゃやば
「うぼぁったぁっ!!」
また人がタックルし
「はぎゃぁっッタぁああ!!」
落ち着いて考えられねぇ!!後ろから来てたとは!!
ん…?影が…。うぁぉおお!!
街の搭型の建物から同じくエアボードに乗った人が俺を狙って降り注いできてやる!!
俺はエアボードを強く踏み込み、縦に一回転しながらボードを盾代わりにして降り注ぐ人から自分をガードし加速しながら道路に戻る!!
普通に法定速度超えてるけど!文句言ってられねぇ!!違反切符なんていくらでもきるから誰かこの状況を何とかしてくれよ!!
「うおおおおおお!!」
――もうだめだ!!流石に近づかれすぎている!!回避できない!!
その時だ。俺に割り込むオレンジ色の髪とサザンカの香りそして素手で振り下ろされる鬼の一撃。
「鉄 拳 制 裁 !!」
………もうだめだと思ったが…。なぜ…ここに…。
「ニッちゃん!?なぜ!!?」
「話しはあとです!皆さんと合流しますよ!」
「ああ!!」
何故だかわからないけど学校にいたはずのニッちゃんが俺のもとへと駆けつけてきてくれた…らしい…。だが、依然として取り囲まれている現状には変わりはない…が……。
「どうする!?まだまだ人は多いぞ!!」
「大丈夫!私以外にもいます!頼れる仲間ってのは!」
そうニッちゃんが言うと俺らの隣に見覚えのある二人の男が現れる。
「手筈通りにお願いしますよ!」
「「了解!!ムツキのお嬢によろしく言ってください!」」
「な、なんでお前らが!?」
そう彼らはニッちゃんが殴り飛ばし、やんちゃしまくっていて、
かつて俺らの古巣『喧嘩組』を名乗った二人組の不良だった。(※第3話参照)
「「うおおおおお!!」」
二人組の不良は俺らの前方にいる群衆を蹴散らし道を切り開く!!
「行きますよ!!サイムさん!!」
「ああ!!」
▽▽▽▽▽▽▽▽
「あ、来た来た!サイム!こっち!!!」
「ユウジ!みんな!!」
よかった!勝手にどこかへ行ったソライ以外の全員い、いる…にはいるんだが…。
意外なメンツが一人足されている…。
「ムッチー?なぜここに…。」
「お久しぶりです。仕事ですよ。
ただのスパムからサーイバーテロに発展したこの騒動のケリをつけに…。」
ムッチーはニッちゃんの親友でハイパープログラマー女子高生だ。
あまたの外部取引をしながら仕事を請け負い高校生活にいそしむ。そういう少女だ。
「学校を中退して、この異常事態に対処しに来たんです。
この街にはお得意様がたくさんいるんですが…。
最も異常が確認されているのはここで、セキュリティシステムそのものを乗っ取られていて、防犯シャッターが閉まっていて、今現在出入り不能の要塞と化していて、中の人達が閉じ込められているんです!」
「え!?監禁されているの!?」
「その通りです!」
ムッチーはタブレットで扉のセキュリティ用の端末にアクセスしているようだが、非常に苦い顔をしている、うまくいっていないようだ。
「警察は!?」
「今のネットワークの状態で、警察のシステム自体が成り立っていません!
おまけに電話回線もさきほど落ちてしまいました。都市の機能どころか国家の機能まで壊れてはじめてます!」
な、なるほど………。
「…ハック完了!!エントラス!シャッター!開きます!!」
ムッチーがタブレットを力強くタップする。
だがシャッターが開いた向こう側のエントランスには人はいなかった。
エントランスには赤ランプがともり警戒態勢中って感じのやばい雰囲気が漂う。
ユウジは顎に手を置き、考察する。顔がだいぶひきつっていて焦っている。
「お、おそらくみんなどこか別の場所に避難したんだ。地下とか別の階層にシェルターみたいなのがあるはずだ。とにかく中に入るぞ。」
「ああ!」
ユウジの表情から少し焦りが感じられる。まぁそれもそのはずだ。
「…みんな、とにかく『兄貴』を探すのを手伝ってくれ。
オレの兄はここでそこそこの責任ある立場だ。
あのアホをとっ捕まえて打開策を導きだす!!」
ユウジの兄、白野 勇太郎はこの会社の役員なのだ。
この事態を解決できる術を持つのはおそらくあの人以外いない。
俺らは追われながらこの巨大な会社情報E級、
『IT最大手の企業ゾニュロ』へと乗り込む!
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~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~
~ムッチーは完全に以前の不良を飼いならしているぞ!~




