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【完結】nOva urGE/ノヴァアージ ~みんなと心を信じあう冒険~   作者: ラクルドゥ
第一章:第3話-友達と別れの岩絵具-
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第3話その2『友達と別れの岩絵具:古風の茶色』

※この『物語』は『フィクション』です。

※それなりに『彩溢れる』気持ちで読んでください!

 


 ――マチルダさんは本気でじっくりと調べる。



「もしダンジョンから出たなら時代がわかるものがあるはず…

……ん?ないわね…。

少なくとも500年ほどの歴史上によく使われた痕跡がない。

…いや、1000年前の痕跡すらない…。

…いつの時代かしら、これが生まれたのは…」



 マチルダさんは手袋越しにゆっくりと触る。

「…え、何この素材?一見するとフェルト生地のように見えるけど、鉄のように頑丈で布のように柔らかくまたゴムのように伸縮するカーボンに近いけど、違うもの。

まったく見たことない物質でできてる。」

 おっとこれは期待しているができそうですなぁ。





「それにこれ未知の物体ってだけじゃない。たぶん相当古い物よ。この国ができて3000年以上経つけど、どの時代や文明にも当てはまらない形をしているし。

 いやでもこれがメイジダンジョンで発掘されたことから考えると…」

やばいマチルダさんの実況に対してワクワクする…

俺ら二人ともニヤニヤする

だがソライの歯に地味にせんべいの海苔がこびりついているのを見てちょっと冷静になる。



▽▽▽▽▽▽▽▽



 1時間後…





「ぜぇぜぇ…はぁ…結果を言うわ。」

「え、あ、はい。」

「それでマチルダさん結果は?」

 ソライがよだれを引っ込め聞く体制に入る。







「わかったことから言うわね。まずこれは完全に未知の物質でできているわ。

おそらく触った感じギアとかを形成する粒子に近い何かと思うわ。」

「ギアの粒子って…俺たちの武器になる

ガジェットに個別のギアをセットして武器を構成する、あの粒子か?」

「ええ、本来武器の粒子はギアに詰まっていて、ガジェットの電気によって展開しずっとフル稼働しても、粒子が存続する時間は約1日が限界。

それ以降は新品でも、フル稼働するために最長で1日はギアが使い物にならない。」

「ああ、そうだ。だから俺とソライは同じ武器を買って使ったら交代させている。」

「サイム、聞きたいのだけれど、『これ』何時間…いえ、『何日間』この状態でいるの?」

「少なくとも…3日…ってマチルダさんまさか!」





「ギア粒子で外に出しっぱなしで3日間は以上よ…。

だからこれはギア粒子じゃない。

どの元素にも属さない物質。

そして驚くべきことに、おそらくこれは『生きている』わね、かすかに心音が聞こえる。

これはおそらく、最初の時代に生まれたことが鑑定結果でわかるわ。

この形状、もしかしたらだけど、この国の建国神話ででてくる。アレかもしれない。」





「建国神話?何それ?」

 俺が聞くとマチルダさんはこう告げる。

「詳しい文献は戦争なんかでほとんど紛失しちゃったんだけど、ただ1つ残った壁画からは、ありとあらゆるものを創った創造主は確かこんな帽子っぽいものをかぶっていたと言われてるわ。」

「へぇーそういえば、アルゴニックは自身が創造主とも名乗っていたな。」





「もしも、そうだとしたらこれは大ごとよ『最初の時代』のしかも『創造主』そのものを見つけてしまうなんて。サイムあなた自身のしたことをわかってる!?

これを研究機関に渡せば3日間武器を外に出せる発明品ができるかもしれないし、

犯罪組織に渡せば、街の『武器発生の妨害電波』をかいくぐれる違法なガジェットを大量生産で来てテロに使われるかもしれない!」

 この町を含む都市には安全のため都市内に限り、武器のギアを発生させないジャミング電波が出ている。武器のみにしか効果がないのでほかの種類のギアには効果がない。



 閑話休題。

「さーせん。ま、いいだろそれより買取金額をだな。」

「もっと自覚を持ちなさい!」

「いやーそー言われても発見しちまったもんは仕方がないだろうよ。マチルダさん…」

「はぁ…わかったわ。」





「まった、サイム。もう一つ鑑定してほしいものがあっただろ。」

「おっと、そうだったぜ。マチルダさん、実はこれも鑑定してもらいたいんだが…」

 そう言って俺は懐から、紫色の超越の歯車を取り出す。

「…ッなんでこれをあなたたちが?」

「森で発見した。」

「…いや、よく見ると『オメガ』とは違う…。だけど…これは…」

「どうしたんですか?」

「いえ、なんでもないわ。鑑定を始めるわ。」




▽▽▽▽▽▽▽▽


 30分後

「結果から言うわ、これも未知の物質よ。それにこれもあなたたちの使ってる『ギア』と大きさ、要は規格が違うけれど近しい何かわね。」

「じゃあそれをガジェットにはめると武器になるのか?」

「ガジェットには大きいからはまらないわよ。まぁこれが一体何なのかは説明できないけどね。」

「そうか…で、マチルダさん、」







「「これらの買取金額は?」」

 ハモった。





「……買い取れないわ。」

「え」

「なんで、俺たちが苦労して取ってきたのものを…」

「1.時代が古すぎて正式な買取金額がわからない。

 2.買い取れたとしてろある堂じゃ高額すぎてお金が払えそうにもない。まぁざっと上げるとこの二点ね。」



「そんなぁあああああああーーーー」

「絶望した!ろある堂に絶望した!」

 一気に崩れ落ちる俺たち



「まぁいいわ、本来なら鑑定代を払ってもらうところだけど、いいものを見れたのでおまけしいといてあげる。わかったらとっと、もっと高級な鑑定屋さんに行きなさい。まぁそれこそぼったくられるだろうけどね。私は今それどころじゃないのよ。」

「くそがあああああああ無駄足じゃねぇかああああああこんなもん!!!」



 俺が超越の歯車をアルゴニックにドンっとたたきつける。





「ちょっと!壊れたらどうするの!?」

「大丈夫。フライパンで焼いても何ともなかったくらいだったし。」

「は?焼いた!?」

「…サイム、ちょっと…。」

「はい??」

「さっきこれと歯車が若干、光ったというか揺らいだような…」

 俺はアルゴニックと歯車を見る、少し薄紫色に輝いた気がした。





「この歯車、少し貸して。」

 俺は言われたように歯車を渡す。

「もしかして…!」

 マチルダさんがアルゴニックに歯車を近づける

するとアルゴニックに歯車がぽちゃんと吸い込まれる!



「認証コード『ξ-クサイ-成長について考えるもの』を確認しました。」

 その時だ。アルゴニックから声がする。





「うわっ」

 部屋がばゆい紫色の光に包まれたかと思われるとアルゴニックは宙を浮き始め。

前に俺とニッちゃんが見た時みたいに手と足が生えてきて、





 そして…





「ふぁああああああああ~~~。おはよう…俺は夜型なんだよ…。

はぁ、ねむ

昼とかに起こすなよ…。…ん?ここはどこだ?」

 アルゴニックが起きたのだった。



▽▽▽▽▽▽▽▽





「ようやく起きたか、アルゴニック、お前ずいぶんと眠るのが好きなようだなぁ?」

「…え~~~っっとぉ?どちら様??」

 ズコーーーー!



「あ、そうか、名乗ってなかったっけ?

俺はサイム、武山才無だ。あの時、塔で助けてくれた!」

 名乗るとアルゴニックはニッチャリ顔で

「ああ、快適な空の旅の人か!あッてんしょぉおん!ぷりーずッ!

ご機嫌はいかがだったかな?にゃひひひっひひァ!」

 なんだろう、むかつく、すげぇ殴りたい。殴っていいかな?

「一応僕も名乗ろう。僕はソライ。応木空井。」

「私は書輪街子、皆からはマチルダと呼ばれているものです。あなたはもしかして、最初の時代にいたという、創造主ですか?」



「いかにもタコにも、俺は創造主だが?

そういえば最近たこ焼き食ってねぇな…。明石焼きでもいいから食いたい。」

 なぜたこ焼き知ってんだこいつ…。つか明石焼きって何?

「やはり…」

「で、お前らなんで俺を起こしたわけ?」

「は?なんで今まで起きなかったんだよ?」

「そりゃ俺の動力たる家族…超越の歯車がなかったからじゃん。」

「一応、聞きたいのだけれど、サイムたちの話を信用して創造主だとして、

聞きたいことがあるのだけれど、貴方の中に吸収された『あの歯車』はいったい?」

「あーあいつは、『ぜんま…』じゃなくって…!

俺の『動力』であり家族!

超越の歯車の一体、『溶』を司る歯車『ξ-クサイ-』だ。」

「さっきから行っているが、動力?」



「え、何々?やっぱりお前ら俺についてそんなことも知らないわけ?

じゃあマジでなんで呼び出したん?」

 何、当たり前のことを知らなあいんだって感じで、きょとんとしてもらっても困る。

「あなたのいた時代からざっと数千年たっています。

ご無礼を承知ですがいろいろと終えてくださいませんか?」

 ナイスマチルダさん!






「いいだろう!

なら、ここでちょいと重要なことを言わなくちゃあならない。

まずな、俺を起こすっていう奴はたいがい、『願い』を持っているもんだ。」

「願い?」

「そそ、願いだ。よくある話だろ、願いを願ったらなんでも叶うっていうお話。

ほら、ランプのあれ的なのだよ!よくある奴だよ!

童話とかでも見たことあるだろ?打ち出の小づちとかさ!

デウス・エクス・マキナ的な展開で

『なんかなんやかんやあってうまくいっちゃいました~』とか~

都合のいいように願いが叶うとか!

『テヘェ、俺、なんかやっちゃいましたぁ~?』的な小説サイトでよく見る。

『夢と冒険、全部叶って、希望の未来へレディゴー!!』的な話だよ!

あるだろ?創造主があれやこれやで叶えてやろうってんだよ!」





「まぁあるっちゃあるけど。まさかお前…」

「だから言ってるだろぅ?お前らは俺を起こしてくれた。

もし散らばった24体の歯車共を全て集めきってくれたら、

『俺の叶えられる範囲』で『なんでも願いをかなえてやろう!』

しかも回数制限は『俺の気分次第!』

あれも叶ぁーう!これも叶ぁーう!自由ざぁーい!

よほどのことがない限りなんでも叶えられると思っているぞ!」



 そういうと、どや顔を決めるアルゴニック。





▽▽▽▽▽▽▽▽





「……………………」

 なんでも…叶う…?なんでも…叶う…?

なんでも叶うッっだって…!!!?





「えええええええええええええ!!!!!!!!!!?????」

 いや待て待てこれっ非常に!

「「うっさんくせー」」

 ソライも同じことを思っていたらしい

「え」

「これは興味深い話ですね。もしよろしければ私の願いを、叶えてくださいませんか?」





「あ、今は無理。

誰でも叶えるつもりはない。あくまで集めてくれた奴限定だ。

俺の中に今入ってるのが、物質をなんでも溶かす。『溶』の歯車だけだ。

もし願いを叶えてほしくば『24体の超越の歯車』が全員集めれたらな!」」



「はぁ~なんだよそれ~せっかく出てきてくれたのに、何にも叶えてくれないのかよぉ~」

「すまんなぁ…だが、集めれば何でも叶えてやるよ。

よければ歯車探しを手伝ってくれないか?

大丈夫、やる気があればサルでもできる簡単な作業だから。

ちょっと遠めのスタンプラリー廻る感覚で済むだけだから!」



「サイムこいつやっぱり売り飛ばそうよ。」

 こいつの話はひっじょ~に胡散臭い。力を取り戻せばなんでも願いを叶えるだと?しかも、その力を取り戻すのを手伝えだと?胡散臭すぎる。



 ――…だが、だがッ!どうしてだろうか…



 なんでこんなにも胸が、ワクワクすることでいっぱいなんだろうか?

「げッ!?サイムその目はまさか…考え直したほうがいいぞ!

こいつは嘘をついている可能性があるぞ。胡散臭すぎる。騙されんな!」

「ソライ、確かにこいつの話は、非常に胡散臭すぎる、

それにもし探すとして無駄な徒労に終わるかもしれない。だがそれも冒険職ってもんだろ?だから俺はそれでも俺は」





「こいつの話、乗ってみても

 いいんじゃないかなって思うんだ。」





「はぁーー…相変わらず無計画さだな…。

はは、また面白くなってきた…わかったよ。

お前がそういうんなら、僕も一緒にやることにする。」

 俺の方針は会社の方針だ。それについてきてくれる、社員ソライがいるだけありがたい。

「決定だな。とりあえず、お前らについていくことにするわ。」

「よーし、それじゃ歯車探しを早速…」







「待ちなさい。」

 ろある堂を出ようとしたところ、マチルダさんが待ったをかける

「あなたたちに依頼を渡します。報酬は超越の歯車1つとと借金の帳消し。」





 唖然としてしまう提案にぽかんと口を開くソライと俺。

「マチルダさん!?マジでいってますか!!?俺達ですよ!!」

「僕らがこんなことを言うのもあれなんだけど考え直した方が…」

「あら?考え直した方がいいの?」

「い、いえ滅相もございません!」

「大マジよ。腕っぷしだけは強いあなたたちを見込んでの依頼なのだけど?

 返事は?」

「「はい!」」







「それで、護衛って?」

「なぜ、下町の鑑定屋を護衛しなければならないか、理由を聞かせてもらえませんか?」

「実はね、私のろある堂がね。夕べ、何者かに侵入された形跡があるのよ。」

「それだったら、警察に…」

「行ったわ。ついさっき、でも何も盗られてないのよ。

だから警察も証拠不十分として処理された。

しかもこの町でも有数の防犯が備えたこの店に、わざわざ入って何も盗らずに出ていっただけ。まったくの意味不明なドロボウ…」



「なぁ防犯カメラには何か映っていたか?」

「それがその時間の防犯カメラのデータが壊れてて何も映っていないのよ。

警備会社も連絡が来ていないらしいわ。」

「ふむ…何か狙われるような理由は?」

「わからないわ。ただ最近、何者かに後をつけられているような気がしてならないのよ。」

「ストーカーか。」

「そう。多分ドロボウと同一人物でローブを羽織っていて顔や姿はよくわからないけど、背格好から子供っぽい感じがするのよ。」

「なるほどな。で、警察も当てになんないし、俺たちを頼るしかないってことか。」

「あなたたちは戦闘能力は称賛に値するは、あとはダメだけどね。」

 戦闘以外評価されてねー…





「じゃあ今日は一日中、ここから出なければ結構安全なんじゃない?」

「残念だけどそうもいかないのよ。私たちの社長であるジェームズがそろそろ誕生日で…

その…わ、私も贈り物しなくちゃいけないの。

だから今日贈り物を選んで贈らないといけないのよ!売っているものは今日限定のもので…。」

 マチルダさんは本店にいる、謎の敏腕社長ジェームズ社長に対して絶賛片思い中ということはショーワ町の周知の事実である。

町のみんなの温かい目でマチルダさんの恋を応援している。






「あーなら、仕方ないか。」

そしてマチルダさんはこの町きっての強情さだ。

「ところでよー俺の家族…超越の歯車は本当にお前の手元にいるんだよな。」

「ええ。」

「何色だ?」

「茶色っぽいけど、でも反射するし『銅色』っぽい感じです。」

「つまりは『ドウ』…いや、『この世界での名前』は確か『オメガ』か。」

「…あなたはやはり『オメガ』のことを知っているのですね。」

「当たり前だろ、数少ないまともな性格をした『あいつ』は俺の歯車なんだから。

依頼が達成したら俺のもとに返してくれるんだね。」

「ええ、それは私の名前にかけて保証するわ。」

「まぁうだうだ言ってても話進まねぇし。とっと贈り物買いに行こうぜ。マチルダさんよ!」




「そうね。慎重に取り組んでください。

少なくとも歯に海苔をつけないくらいは慎重に仕事してほしいものです。」

「歯に海苔?」

「お前だよ、ソライ…」

 ソライは自分の歯を触る。

「あ、ごめーーん!あっはっは!」

「まったく、依頼中はしっかりして下さい。」

「「はい!」」

「依頼スタートです。武山冒険社、覚悟はいいですね!」

 そういって俺らはろある堂を後にする。



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~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~

~鬼は自分の角が折れた時にそれをお守りにする習慣があったらしいぞ!~

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