第15話その1『過去への旅行者:時間無双』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『時計を合わせる様な』気持ちで読んでください!
主観変更side_ニッちゃん
▽▽▽▽▽▽▽▽
私達は完膚なきまで全滅した
あの4thカラーとの戦いで完膚なきまでに敗北した。
身体が動かない。
重くてかなわない。
「おやこれでおしまいですか?」
「んだよ。つまんねーな。」
「( ゜Д゜)」
「まだまだいけるだろ。ほら戦ってみろよ。」
時間を止めたり重力を操ったり
空間を切り裂く文字通りのバケモノにどうやったら勝てるんだろう…
「ふむ、もう立ち上がる気力さえないのですか?」
「おいおいまさか俺たち殺しちゃった?」
「それはないと思うぜ。まだギリ息がある。気絶しているだけだ。」
「(*^_^*)」
「そうですね。プラス思考でいようじゃないですか。」
「そーそーどうせ俺たちに叶う奴なんてそうそういないって。」
「まぁ我らはチームワーク抜群ですし。最初から勝てるなんて思っていないですからね。」
私たちだってチームワークは抜群なはずなのに…
相手の力が純粋に強すぎる。
「じゃあどうする?プランBか?」
「そうですねぇプランBは下手すりゃ『この世界線に帰れなくなります』からねぇ…」
「(゜.゜)」
「でもまぁ大丈夫だろ。なんならオレのほうにアルゴニックをお目付け役として
配置すればいいんだしさ。」
「よし決まりですね。それではプランB発動です。
皆さん準備はいいですか?」
「(^_-)-☆」
「準備万端。」
「オレに任せとけ。
行くぞ、空間裂傷!」
「(/・ω・)/」
「逆時間断層!!」
「超時間位相次元!!
さぁ楽しんでいってください!
武山冒険社の皆さま!」
何もできず銀色とオレンジ色の光が私たちを包む。
ああ、サイムさん。役に立てなくって、申し訳ございません。
なんで私は役立たずなんだろう…
▽▽▽▽▽▽▽▽
△△△△△△△△
△△△△△△△△
「う、うーーーん?」
「あ、ニッちゃんさん起きましたよ!」
「ニッちゃん…大丈夫?」
「お、起きたか。ニッちゃん。大丈夫か?」
――私は薄目を開ける。
地面が固い…。黒い地面…。アスファルトのようだ…。
…あれ?さっきまで普通に土の地面だった気がする…。
横たわっているのか地面が横にある…。
あと『高い…ビル』?
どこなの?ここ…。
みんなの声が聞こえたけど。どこに…。
「ええ、大丈夫ですけど…ここどこでしょうか?」
私は身体が痛む中、無理やり起き上がる。
目の前には都市ビルがあり。私の地元ショーワ町そっくりの高層スラム街って感じの古い街並みだ。
そんな中仲間のみんなが辺りを見回して、私に駆け寄ってくる。
ここはぱっと見、貧民街であり、近くに鉄塔があった。パッと見て私はどこか知っているような気もした。が…よくある光景にも感じられる…。
私達は4thカラーと言われる驚異的な力を持つ4体の歯車に負けた。
『時』『守』『空』『重』。とにかく世界そのものを操る歯車たちに負けたんだ。
だが、気絶から目覚めるとどこだかわからない都市だった…。
…ここはどこなのだろう…さっきとは違う場所だ。
さっきまで崖の上にいたのに…。少し肌寒い。
「一体何が…」
アルさんが仮面の顔を近づける。
「俺らはな4thカラーに負けたんだよ。そして落ち着いて聞いてくれ。
サイム達とおそらく分断された。」
…そういえばここにはユミさん、ハナビちゃん、アルさん、私の四人しかいない…。
「え、えーーーーと、つまりは?」
「つまり、サイム、ソライ、ユウジ達と別行動であいつらを頼れない。」
「え!?」
サイムさん達と離れ離れ…どこだから知らない場所で…。
これはまず~~い展開ではないんでしょうか…。
「とりあえず立ってくれ。今からこの場所がどこなのか調査する必要がある。」
「そういえばここどこなんでしょうか?」
「知らん。『空』の歯車である『ミュー』本名は『オレンジ』の薄っぺらに転送させられた。
下手したら海外だ。あるいは他の知的文明の惑星かもしれん。慎重に行動しなきゃならねぇ。」
まずいですね…。
「どこかにソライお兄ちゃんたちがいるかわからないから、探さなきゃね。」
「本当にどこだかわからない場所に飛ばされた可能性が高い。
サイム達を探してもいいが、今すべきことはあの四馬鹿の4thカラーのことだ。
おそらく何らかの試験をクリアしなければ、元の場所には帰してくれないだろう。
だから四馬鹿の4thカラーを探すほうが重要だ。
サイム達のほうも同じようなことをやってる可能性もある。」
「試験ですか?」
あの歯車たちは私達を全滅まで追い込んでまだ何かあるのでしょうか?
「あいつらはな。常に退屈してんだよ。
だからおそらくこれは、あいつらの退屈しのぎとして用意された何らかの舞台だ。
あいつらは退屈しのぎで、俺らの命を懸ける馬鹿共なんだよ。」
なんてはた迷惑な…。
アルさんの話しを聞いて、ユミさんは神妙な面持ちで頷く。
「つまり、その試験さえクリアしたら、あたしたちは元の場所に帰れるってことね。」
「なら、気合入れてやりましょう!」
「だね!」
「まずはここがどこか…」
「そういえば武器がないのよねー」
私はユミさんの一言でポケットにあるはずの自分の武器を探ってみる。
だが、ポケットには何もない…。
「ほんとだ。まぁ街中だからいいですけど…。」
「ああ、それはサイムがお前らの武器カオスミックスして武器作ってたからな。」
あ、そういえば倒れた後何かしてたような…。
「つまり互いにガジェット無いから連絡が取れないじゃない!」
ユミさんのいう通り、私達の武器ガジェットは通信機にもなっているから連絡も取れない…。
現代っ子あるあるだけど、連絡帳に電話番号を登録してあるから、番号なんて覚えてない。
「……まずいですね、サイムさん達がこの街にいるにせよ。いないにせよ。
連絡手段は確保しておきたいですね。
ユミさん、ハナビちゃん、アルさんサイムさん達の電話番号覚えてますか?」
「覚えてるよー!」
…さすがハナビちゃん。ロボットだから記憶力すごい!
「あとは公衆電話を…。」
「今時、公衆電話って…ないと思うわよ。」
…まぁそうですね…そもそも、ここ私達の国、旭我とは限らないですし…。
公衆電話や電波どころか…。手紙すら…。
「ねぇねぇ…公衆電話なんて使わなくっても直接会いに行けばいいと思うよ?」
謎の都市なのに直接会う???
「いや、連絡取り合わないと場所がわからないじゃない。」
「え…だってここ私の記憶が正しかったら東協都だよ?
さっき電話番号を思い出そうと記憶をサーチしていたら、ここがどこか分かったの。」
「は?」
「だってここ万歳ストームさん達と対決した場所だもん。
(※第4話その6参照)」
「……どっかで見たことあると思ったら!」
確かにあそこにあるのは…。
『炒飯専門店つくるよ!』
サイムさんがよくいく店だ。
ハナビちゃんがサイムさんとご飯を食べた場所らしい。
――今となっては懐かしいタイショウモダンタワーも遠くに見える。
この古い街並み。
木造のスラムの移動式高層住宅。
いたるところにパイプが並んでいる感じも、私たちの街。
つまり…ここは東協都ショーワ町…。
………私達の地元。私達の…帰るべき…故郷だ。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「ここは東協都ショーワ町なんだ。
だから私見たことがある気がしていたんだ。」
「ショーワ町??たまにサイムが言っていた場所だけど…。」
そういえばユミさんはこの街が初見なんだった…。
「ここは私やサイムさん達の故郷です。
この場所は私達の全てが始まった場所なんです。」
…あまりにも久しぶりすぎてわからなかった…。
「まぁ…約11話ぶりだからな。俺もこんなのだったかわからんかったわ。」
…アルさんがぽつりとつぶやく。11話ってなんの11話なんだろう?
「だがあそこの店、食べた激辛チャーハンは忘れたくても忘れない…
(※第4話その5参照)」
アルさんがジト目になりながら、炒飯専門店つくるよ!を睨む。
「え、アルさんあのチャーハン食べたんですか!?」
「スペシャルチャーハンでな…」
「あのチャーハンはショーワ町に住む人にとっては絶対食べたらダメな初見殺しチャーハンだってみんな周知の事実ですよ!」
「それを教えなかったあの馬鹿共は許さん。」
アルさんはあの二人に小さく復讐を決意している。
まぁアレ辛いですからね。私も友達のムッチーと度胸試しがてら食べましたが…。
舌がひりつくタイプの辛さでしたし…。
ユミさんはエピソードを聞いて、どこか落ち着いたように肩の荷を降ろす。
そりゃそうだ。どこか分からない都市といっても、私達にとってのホームグラウンドのようなものなのだから。
本来ならいつも大人を頼る私達と、今回ばかりは立場が逆転です。
すこし、誇らしい気分!
「どうやら本当に、ここはサイム達の故郷らしいわね。」
「ほんとだよ、ユミ先生。」
「だからここから少し行ったところに冒険社があると思うよ?」
「ハナビ。ニッちゃん。案内して。
もしかしたらサイムたちがいるかもしれないし。」
▽▽▽▽▽▽▽▽
――久しぶりだな~。ショーワ町…。
ハナビちゃんと私の案内で、家があるところまで移動する。
今や懐かしい商店街。たった1か月居なかっただけで。半年は帰ってない感じです。
「ん?」
あれ?あの店…なんで…。
「どうしたニッちゃん?」
「いや…あそこのアイス店、この前潰れたのにまだやってる…」
「復活したんだろ。」
「そんなことってあるんですね…。あそこのアイス、異様においしくなかったのに…。」
私はアイス大好きだけど、あそこのアイスはどうも好きになれなかった。
牛乳の匂いがきつい、そういうアイスだった。
「復活するなんてよくあるぞ、俺が昔、近所に住んでいたラーメン屋が復活しては潰れての繰り返しで、最終的に潰れた。」
「って結局は潰れてるじゃないですか!」
「っていうかアルの世界にも、ラーメン屋あるんだ…まるで現代みたい…。」
「ちなみに俺はこってり系が好きだ。」
私のラーメンの好み、アルさんと被っていてちょっと意外…。
「あたし二郎系。」
ユミさんって種族的に、髪の毛で光合成できるから結構小食なほうなのにガッツリしたものを食べるんだ…。
「ハナビはあっさり醤油ラーメン好き。」
そういえば、家事担当であるユウジさんと出会う前は、手を抜いて醤油の袋麺でした…。
「私もこってり系のちょっとドロッとしてるのが好きです。」
なんていうかラーメンの話してたら食べたくなってきちゃった…。
みんなの表情を見ていたら、この場にいる四人全員同じことを考えている気がする。
「おいしいよなぁラーメン…今度ユウジに作ってもらうか。」
「いいね。」
「なんでユウジの飯ってうまいんだろうなぁ…」
「そのうち料理店とか開きそう。」
そもそもユウジさんの料理は、下手に外食するよりもおいしいことが多々ある。
この旅でユウジさんが来てから、この会社のモチベーションはかなり上がっている。
「そもそも家事ができるとことか、あたしとしてはかなり高評価なんだけど。」
「ユウジさんが来てから家がだいぶ片付きましたよね。」
「前はもっとひどかったの?」
ユミさんはユウジさんが介入する前の出来事をあまり知らない…。
この街もそうですが、こういう情報は私達の数少ないアドバンテージのように感じる。
「足の踏み場がありませんでした。」
「確かにひどかったなぁ…」
「ユウジ様様ね。」
私たちの見知った商店街を抜ける。
商店街は活気に満ちており、私にとってなじみ深い空中回廊にエアボードが縦横無尽に走っている。
普段サイムさん達とここに来ると、基本借金の催促ばかりである。
サイムさんが適当にはぐらかし、ソライさんが話術で踏み倒す。
私も交渉術のカードの一つとして、連れてこられることがあるからいい迷惑である。
「この商店街の方々にサイムさんたち大量に借金作っているんですよ。」
「金がある今のうちに返せればいいのに…」
「『意地でも返さない』とか言いそうじゃないですか?」
「だね。」
私達の話を聞いているとユミさんは少ししんみりした顔で笑う。
「いいなぁ地元…あたしも暇を見て実家に里帰りしようかしら。」
「ユミさん実家はどちらに?」
「実は恋識だったりするのよ。」
「あ、実は私、恋識の音楽祭のカラオケバトルで優勝した経験があるんですよ!(※第5話参照)」
「ニッちゃんすごーい。え、あれに優勝したの?ということはまぁまぁレベルが高いわね。」
本当に…レベルが高いのでしょう…か?
なんだか途中まで結構楽だった感じが…。
…………いや!少しユミさんが半笑いなところから、これ歌のレベルっていうより
芸人的なレベルのことを思ってません!?あのカラオケ、変な人多すぎですし!
「…今度、あたしとカラオケ行きましょ。恋識のカラオケの無期限ポイントカード持っているのよ。次の行く予定の街、恋識だったし。」
そういえば、私達がここに連れられる前に通った
古刻崖は大傘~恋識の通り道でした…。
「ハナビもカラオケ、行くー」
「いいねぇみんなで行こうか!俺、歌下手だけど。」
「はい。一緒に行きましょう。」
ちょっと楽しみが増えた。
こういう和気あいあいとした雰囲気があるから、私はみんなと一緒にいて幸せなのかもしれない。
――…にしても商店街ってこんな雰囲気でしたっけ?
サイムさん達がいないせいかもしれないけど、何か違う気が…。
▽▽▽▽▽▽▽▽
そんな風に楽しく談笑していると、
事務所がある場所までやってきた………のだが。
「あれ?いつもはここに事務所があるのに…」
そこには事務所はなかった。
「おそらくだが4thカラーは俺ら4人だけ、ショーワ町まで転送したんだろう。」
「つまり事務所は転送されてないからなくて当然ってことね。」
「うーーーん…
あ、そうだ。連絡を取るため電話さえ借りれればいいのなら、私の実家に行けばいいんですよ!」
固定電話あるし…なにより保護者である、おじいちゃんが心配してるだろうし…。
もう1か月近く帰ってないし…。寝る前に電話はしているけど…。
さすがに心配だろう…。
「あ、そうか。ニッちゃんの家もここにあるだっけ。」
「行きましょう。」
実家である神社はここからそんなに離れてない。
私達は普段事務所がある地点から徒歩数分かけて、鳥居をくぐり私の実家の階段を上がる。
私の家は少しだけ坂に面しており、さすがになれた上り坂を上る。
「うわぁー実家帰るの久々だなぁ。
おじいちゃん元気にしてるかなぁ…
夏祭りの期間サボちゃったから怒ってるだろうなぁ…」
ここを旅立つ前にした祭りとは、くらべものにならない規模の夏祭りが毎年開催している。
それはサイムさん達との出会いであり、武山冒険社と実家にとって大事な収入源の一つであり、私が年に数回訪れる忙しい日の一つだ。正直言うと私はあまり楽しくない。
だって巫女服を着ながら、境内を走り回り、売店で問題がないか見て回り、祭りついでに来た参拝者にお守りやおみくじを売ったり忙しくて、楽しむ余裕はない。
さらにおじいちゃんが大地主だから、挨拶に来た人や祭りのための警備の人とか、祭りの数週間前とかも忙しい。数か月後のお正月も同じ。
みんなが楽しむ背景の中、私のブラックな環境がある。
だけど、今年は祭りではなく旅で、結構幸せを感じている。
閑話休題です。
「夏祭り…?それにさっきの鳥居って…
もしかしてニッちゃんの家って神社か何かなの?」
「ええ、私の家は神社で、年末とか巫女やってます。」
「巫女さんか。ちょっと大変そうね。」
「ほんとですよ。たまに神社の清掃もしなくちゃいけないので。
割と激務なんですよ。」
正直、巫女辞めたい。と心の中でつぶやく。
「大変そうね。」
「着きましたよ。」
私たちは本殿の神社に着く。隣にある民家が私の家だ。
「ふぅーなんか緊張しますね。」
「実に数十日ぶりの帰宅ね。」
「ええ、ほんといろんなことがある日々でしたが無事に帰ってこれました。」
私は家のドアを開けようと前に立つ。
――その時、ドアがガラガラと引かれる。誰かが家から出てくるようだった。
おじいちゃんかな?と思ったが中から出てきたのは意外な人物だった。
「おじいちゃん行ってきま…?………お姉ちゃんたちだぁれ?」
「!?」
そこにいたのは私よりも身長が小さく、
10歳くらい…いやそれよりも身長が小さいように見える
その少女は茶髪とオレンジの間の色のツインテールを揺らし、
少し目が悪いのか私達を見るや目を細めつつ。
嫌なことでもあったのか、少しだけ物悲しい雰囲気をまとっており。
乳歯が抜けたばかりなのか、犬歯の一本が無く。
私の昔のお気に入りのワンピを着て、何らかの本を手に持ち
頭の小さな二本の生えかけの角がかわいらしく、頬っぺたが子供らしくプニプニで。
――まるでサイムさん達と出会う前の私そっくりの少女だった。
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