第13話その9『明珠暗刀の光明丸:白百合』
※この『物語』は『フィクション』です。
※それなりに『のすたるじぃ~な』気持ちで読んでください!
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VS.『王木家頭首 王木落雷』
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ラクライの変形した歯車を見てみる。そこには何の変哲もないひと振りの刀があった。
「いざ尋常に勝負!」
「くるぞ!お前ら!」
「光明丸よ!!その光を持ってあまねく世界を照らさん!!
はぁッ!!」
ラクライがそう叫んだ瞬間。
刀身からすさまじく、おびただしい量の光が辺り一帯にあふれる!
「まぶしい!!」
「何も見えません!!!」
まぶしすぎて目が開けられない!なるほど、だからラクライはサングラスをかけたのか!
「いくぞ!」
――くそ!どこから来るんだ!?周りが見えないし、自分も見えない!
さらに言えば足音も聞こえないし、時折風の音がする程度だ!
「王木流刀術!弐葉!桃!!」
「ぐああああああああああ!!!」
「ユウジ!?」
ユウジの悲鳴が聞こえる。普段『ソライが使っている技』が、俺らに牙をむく。
しかもあいつ以上に極めた達人が相手…。
「ぐぉちょっと…かすった!」
「心の眼を持たぬ貴様らと俺じゃ格が違うことをしれぃ!」
サングラスつけてよく言えるな、このおっさん…。
「まじでどこから来るのかがわからねぇぞッ!!」
「王木流刀術!」
「みんな!ガードしろ!!」
「どこに!?」
まずい視界が奪われてパニックになる…。焦るな…。
「漆花!!欅!!」
「上か!」
俺は槍を上に向けてガードする。
ガキンッ!と俺の槍とラクライの光明丸がつばぜり合いをする。
すげぇ腕力だし、素早すぎて対処が極めて難しい!
空中にいるラクライを無理やり
体制を崩しながらキックをかまして、なんとかその場を離れさせる。
「おみごと。さてはソライが使ったな?この技。」
「ああ、いつも助けてもらってるよ。」
ソライと使っている技が同じってことは、対処もできる。
中学からの10年間の付き合い舐めるなよ…。
「ではこれなら、どうだ!?
王木流刀術!!捌実!!
柳!!」
八番目の技ってことは多段攻撃のはずだ…。
ソライが、あまりにもえげつないって言う理由であまり使いたがらない技だ。
俺も、あまり使いたがらない一番目の技『頂』同様に、
確か強力過ぎる技だった記憶が…。
――問題は、右から来る?左からか?
「一撃目!」
「ぐぁ!」
傷は浅い、右からか…。
「二撃目!」
「ぬぅ!」
な!今度は左から来た!
思い出したぞ。『柳』は『刀で削いでいく技。』
人間相手だと『いたぶるような技』で、大きなモンスターの時くらいしか使わない技!
「三撃目!」
「ぐッ」
ウォオォ!!次は上から!
くそが、肩をやられた!
速すぎる…!
「四撃目!」
「五撃目!」「六撃目!」
「七撃目!」「八撃目!」
「ぐあああああああああああああああああああああああああ!!」
なんていう速さだ…。
防御ができず、次々と浅い切り傷を切り刻まれる!見えないから下手に動けない!
仲間に攻撃が当たったらと思うと攻撃もできないッ!
ソライを超えるこの素早い刀術で、この視界は強すぎるッ!
「さぁさ、若人よ。
俺を倒せぬというなら、ここで切り刻まれ歴史の露となって朽ちよ。
恥ずべきことにあらず、貴様は『王』にはかなわぬ凡人であるのだから。」
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視界が見えない中での一方的な攻撃!しかも移動しながら多方向から攻撃してくる。
幸い傷はどれも浅いものばかりだけど…
このままいけば順調にダメージが重なっていって出血死する!
「ぐぉおお!やるな…はぁ…だがよ、こっからだ。凡人のッ底力舐めるな!」
「ほぅならば是非もなし、削がれて逝け。
そおら!九撃目!!」
さてと来るぞ!今度はどっから来るんだ?
身構えてると、その時ハナビの声がした。
「サイムさん、右によけて!」
「あいよ!」
俺はハナビの言う通りによける。
「何!?ならば十撃目」
「今度は左に!」
「OK!」
仲間だから疑う必要はない。どれだけ光で前が見えなくてもな。
だからその通りに避ける。
「何と、これをよけるか!
十一撃目!」
「正面から来ます!」
「了解だ!」
俺らが築き上げた絆は、王の太刀筋に通用する。信用した言葉通りに動く。
「…おいそこな少女。貴様、見えているな!」
「ええ、見えてるのー!
ハナビの眼は心の眼よりくっきり見える、サーモグラフィーが搭載されてる。
その刀自体が強力な熱源を放っているから、よく見えるの!
それにいつもソライお兄ちゃんを見てきたから、『父親の剣の軌道』を『演算』するなんて『ぞぉーさ?』がないの!」
「ならば、貴様から始末してくれよう!」
「…ソライお兄ちゃんならこういうよね…。
……かかってきな……なんちゃって。」
ザッザッ!とラクライがその場を立ち去る。
「ハナビ!気をつけろよ!」
「まかして!それに私には頼れる仲間がいます!
いざとなったら『タイマン勝負』で片しちゃいますので。」
了解…そういうこと…ね。
「戯言をぬかすなぁ!!貴様ごときが!
たった一人で、俺を止めることができると思うのか!!
王木流刀術!!桃!!」
「一人じゃない!今です!ニッちゃんさん!!」
「ハナビちゃんに触るなああああああああああァァ!!!!
鉄 拳 制 裁!!!」
「ぐおおおおおおお!!」
ガンッ!!という音が響く。
きっとラクライは防御したんだな。
「ハナビちゃん!『タイマン勝負』です!私ごとやっちゃってください!!」
「はい!!雷撃ィ!!」
雷の音!ハナビの雷撃がニッちゃんごとラクライへと向かっているな!
「きゃぁあ!!」
「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!
馬鹿な!小娘!!仲間ごとだと!?
それになぜ鬼の貴様まで、私が見えていたのだああああああああああああ!!」
「簡単なッ!ことですよ!
ハナビちゃんの声に反応して進んでいって、あとは合図で殴りつける!
ハナビちゃんを狙う限り、あなたはどこにいるのか、丸わかりなんですよ!」
「ぐぅうううう、やるなぁ…。
『王道』とはほど遠い姑息な作戦め…」
ハナビの電撃音が鳴りやむ。
…よくよく考えれば『タイマン勝負』は中学のころ、『ソライ』が考えた作戦だ。
この時点で、父親にその『一太刀』で、反撃しているようなもんだ。
「次はこっちの番だ!
王木流刀術ッ!!」
「女ばっかにいい格好させるかよ!
白野流銃術ッ!」
「ユウジさん!そのまま右に曲がってください!」
「了解!物理で行くぜ!
陸重奏!セクステットバレッツ!」
「肆根!柿!」
回転切りかッ!
まずい!範囲が広い!
俺はユウジの声を頼りに、ユウジより一歩前に出て、槍で刀をガードする。
ガキン!という音が響き渡る。
「うぉ!あぶねえ!サイムサンキューな。」
「サイムさんナイスです!」
「どうってことはねぇぜ。」
視界は見えないが…。
少しラクライがザッザッと、付近を高速で移動しつつ近づいてきている音がする!
おそらく俺らは『目』であるハナビを取り囲むように皆で背中合わせにいる。
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「みんな、高速でとらえるのが難しい!
攻撃する一瞬しかチャンスがないから気を付けて!」
「ああ!」
…ソライと技が同じなら、一撃必殺の技もいくつかある…。
『俺ら』の戦闘スタイルが一撃必殺の大逆転なら、相手もほぼ同じなはずだ。
ソライなら、どういう足取りで。こっちへ攻撃してくる…?
あいつなら、どういう刀捌きで…。
あいつより上位とはいえ、ここはあいつの戦闘の基礎『原点』だ。
王道を拒むソライが王道を歩んだら?
どういう技を使う?
――ソライなら、どう逆転してくる?
「ふむならばこれはどうだ!
伍目!檜!」
「サイムさん!前から来ます!」
「…お前が見えたぞッ!
武山流槍術!参合目!阿曽ッ!」
俺は目の前にいるであろう、ラクライに向かって全身全霊を込めて
槍を目の前に、放つ。
こっちへ近づく中、その姿にソライを重ねて考え続けた。
中学のころから何度もやった模擬戦とよく似た脚運び。
刀の剣捌きの数々を思い浮かべた。
だがよくよく考えれば、ラクライは『ソライのよう』には絶対に動かない。
故に俺がラクライに負けることはない。
お前はソライ以下の剣士だ。
だって『寄り道上等なお気楽者のあいつ』は、
お前みたいに『馬鹿正直』に前へと進まないのだから。
「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
手ごたえがあった。
リーチの差でこっちにダメージはない!
刀がカシャンと落ちる音が響く。
瞬間、辺りを覆っていた光が消えていく。
目がちかちかしながら辺りを見渡してみると。
月明かりに照らされ、坂浦が舞う元の庭の中。
俺の槍が鎧の隙をついて、肩に当たった状態で、
息を切らしたラクライが目の前にいた。
「見事だ…はぁ…
貴様らはこの王木家頭首
王木落雷から一本取り打ち破ったものだ。
この『光』の歯車、光明丸こと『ファイ』を貴様らにくれてやろう。」
「ああ、ってか大丈夫か?今すぐ手当てしたほうが…」
正直、ソライが交渉のためにやったこととはいえ、正直悪いと思ってる。
「賊に心配される言われなぁぞ無いわ…
はぁ…いい加減、俺も歳だな……。
だが、ソライは渡さん。息子は渡してなるものか!!」
「…あのな。おっさん。そういうのはソライ自身が決めることだ。
俺らが決めることじゃない。
あいつはいい歳した大人なんだ。あいつ自身が決めることだ。
その選択に迷ったら一緒に考える。俺には家族はいないけど
でも、こいつらやソライがいつもそうしてくれた。
だからおっさん。お前が何でもかんでも親として決めるんじゃなくって、
ソライが決めて迷ったら助ける。そうするのが親ってもんじゃねぇか?」
親がいない俺が言えたことじゃないが、友達として言えることはあるんだ。
「……賊になんでこんなこと、言われるんだろうな俺。」
少しバツが悪そうにラクライは笑う。
「あと俺らは賊じゃあない。武山冒険社だ。」
「ふっはははははは!…は!
…あがッ!」
その時ラクライのおっさんが倒れる。
何事かと思って顔を上げるとそこにいたのは…
「え?ウミさん?」
――ソライの妹ウミさんは、光悦そうな顔で薄気味悪い笑顔を俺らへ向ける。
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~ノヴァアージ知恵袋のコーナー~
~ウミは自室に手作りのソライお兄様人形が大量にあるぞ!~




