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剣聖対最強の新入生

 学校の門の前で誰かが呼んでいる。

 「ラフカー、おはよう!」 

 メガネをかけた少女がラフカの近くに寄ってきて俺のことを興味ありげな様子で見ている。


 「ねえラフカ、こちらが弟さん?」 

 「うん、挨拶してゆうき」

 人見知りな俺は恥ずかしそうに挨拶した。

 「あの初めまして、ゆ、ゆうきです。よろしくお願いします!」

 挨拶終えた瞬間いきなりメガネをかけた少女に抱きつかれた!

 「かわいい!私のことはマル姉さんって呼んでね!」

 「ねえ、ラフカ。私もゆうき君みたいな弟欲しいな」

 「ダメー!ゆうきは私のかわいい弟なの!」

 マルはラフカを冗談まじりに言って遊んでいるように見える。

 

 「ところでラフカ、ゆうき君も強いの?」

 急にマルが真面目な顔でラフカに聞く。

(やっぱりこの世界の基準は強さなのか、俺がどれくらいやるのかが気になるらしい)

 「うーん、それがわからないの。ゆうきとは実戦練習とかしたことないし、ずっとかわいい弟だったし・・・」 

 「はいはい、好きなのは分かりました!」

 マルが呆れた顔をしている。


 「まあ、クラス分けのテストでランクが分かるから楽しみだね」

 (ランクが分かる!強さがどれくらいってことか)

 「マルさん、ランクって?」

 俺は目を輝かせて聞いた。

 「まずテストで能力値を測るんだけど、それから評価のランクによってクラスが分かれるの」

 (自信はあるけど、悪かったらやる気出ないな・・・)

 「ランクはどれくらいあるんですか?」

 「C、B、A、S、SSよ。私はSSね」

 マルは誇らしげな顔で教えてくれた。


 (待てよ、ラフカのランクいくつなんだ)

 「姉さんのランクはいくつなの?」

 「あれ、ゆうき君は知らないのかーラフカはね・・・」

 マルが言いかけたときラフカが恥ずかしそうに誤魔化した。

 「マル、そろそろ行くわよ。ゆうきも早くテストを受けないとクラスが分からないよ!」

 (なんだよ、ラフカのランク気になるじゃんか)

 「がんばってねーゆうき君、結果次第では飛級で私達と同じクラスだからね」

 マルが気になることを言った瞬間、姉ちゃんに口を塞がれながら学校の中に入って行った。

何か俺に知られたくなかったのかな・・・?


 (私達と同じって言ってたからラフカもSSか、飛級とか言ってたからいい結果出さないと!)

 数時間後、この世界での洗礼をラフカから受けるとは今の俺には予想出来なかった。

 

 学校の前で案内が聞こえる。

 新入生の方は、ランクを測定してクラス分けするんでテストを受けてくださーい!

  

 俺は案内に従って列に並んだ、先頭の様子を見ると何やら魔法陣の中心に立たされて、何かを念じてるようだ。 

 念じてる人の周りにはオーラの色がはっきりと見える、そのオーラを解析してランクを決めているようだ。


 俺の番が来た!

 さあ魔法陣の中心に立って、自分の強さをイメージしなさい。俺は魔法陣の中心に立って自分の強さをイメージした!

 (俺の強さ…俺はこの世界の誰よりも強くなるために努力した。そしてこの先も俺は強くなるために止まることはない!さくを見つけるまで、この世界で1番強くなるんだ!)

 俺は強くイメージした。広範囲に渡って俺のオーラは赤と青の色で埋め尽くされた。

 (これが俺のオーラか・・・)


 周りが騒がしくなる。

 な、なんてことだ・・・

 こんな奇跡は2年ぶりだ!

 大変だ!測定不能になっている、騎士王を呼べ!

 (騒いでるな・・・でも案外早くラフカとマルに会えるかもな)

 えーと君はゆうき君だったね、測定不能の場合、騎士王がランクをつけてくださるから待ってなさい。 

 (騎士王か・・・強い奴が俺にランクをつけるってことか)

  

 30分後、俺以外のみんながランクとクラスが決まったようだ!

 新入生だけで500人ぐらいはいる。もう俺はラフカと同じクラスでいいのにな、待つことに飽きていた頃周りがざわつき始めた。

  

 俺の体が震えている。決して怯えてるとかじゃない!この世界にもこんな奴がいるんだな・・・

 俺に近づいてくる女1人と男3人の強さは前の世界のトップランキングと変わらない!


 「すごいな、この強さは・・・」

 感動した俺は思わず声が出るほどだった!

 (間違いない、1番強いのは女のほうだ!)

 

 女の方が近づいきた! 

 俺は強さをこんなに美しく感じたことはない。

きっとこいつが騎士王か!


 「ふむ、SSは超えてるな、眠ってる力は神話を超えるかも知れん」

 強そうな女は冷静に俺を見て、強さを測ったようだ。

 (やった!ラフカとマルと同じクラスだ!)

 「私は騎士王ルカという、お前の名を聞きたい」 

 どうやら騎士王はルカとゆう名前らしい。

 「ゆうきです!」

 俺は堂々と名乗った!

 「ゆうきよ、そこまでの強さがありながら、なぜ今まで無名だったのだ?」

 俺は騎士王の質問に迷った。起きたら可愛い天使みたいな姉さんがいて、成り行きで学校に来ました。なんて言えないよな・・・

 「えーと、姉と暮らしていたので強さを誇示しようとは考えていませんでした。」

 まあ学校に来て、誇示した形にはなったけどね。

側近の男3人のうちの1人が騎士王に耳打ちをしている。

 「なるほど、剣聖をここに呼べ!」

 (剣聖・・・また誰か来るのか?) 


 5分後俺の前に現れたのは意外な人物だった!

 俺は思わず呼んでしまった。

 「姉さん!」 

 (剣聖、ラフカが剣聖!)

 ラフカとルカが対峙した時、なぜか2人は困ったような表情に見えた。

 「さて剣聖ラフカよ、いくつか聞きたいことがあるが、偽りなく話せ!」 

 「はい、ルカ様」

 ラフカの顔は普段見ないような冷静さを保っている。 

 「ゆうきはお前の弟だと聞くが、嘘はないな?」

 「はい、私の弟です!」

  ラフカの目は強く騎士王を見ている。

 「ゆうきの強さに気づいていながら、今まで隠していた・・・とゆうことはないな?」

 騎士王は鋭い目でラフカを見た! 

 (ラフカが悪いことをしたとでも言いたいのか?)

 俺は責められてるようなラフカを見て、イライラしてきた! 

 「はい、普通の弟でした。剣技を教えることもなかったし、強くなって欲しいとは思いませんでした」 

 (確かに、普通の可愛い姉さんだったのは間違いない!)

 「私が言いたいのは、SSを超えるランクの者は帝国にとって兵器となる!それを知っていて黙っていたことは反逆となる!」

 (反逆だって!ふざけんなラフカがそんなことやるわけないだろ!) 

 「ふざけるな!姉さんに謝れ!」 

 俺はラフカの前に立った! 

 「ルカ様、お願いがあります。」

 ラフカが俺を静止させて言った。

 「私とゆうきで模擬戦をします。私が勝ったらゆうきをCランクから始めさせてください。私が負けたら、強さを見抜けなかった責任は私にある!反逆を認めましょう」

 騎士王はしばらく考えていた。 

 「いいだろう、加減がどちらかに見えたら即反逆と見なす」

 「ありがとうございますルカ様」 

 ラフカの顔をこんなに冷たくしやがって許さねえ…俺の怒りは限界にきていた。


 模擬戦は全校生徒の前で公開されるらしい。俺が勝つメリットがない模擬戦か…何か褒美が欲しいと言っとけばよかった。でもラフカとこんなにも早く戦えるなんて予想していなかった! 

 1番丸く収まるのが負けることか…Cランク降格には納得してないけどね!

  

 「さて、そろそろ時間か・・・」

 俺は控え室から闘技場に向かう途中マルが待っているのが見えた。

 「ゆうき君のセコンドにつくマル姉さんです。宜しくね」 

 マルが面白そうに近づいてきた。

 「マルさん、姉さんは強いんだね」

 マルが意外そうな顔で言った。

 「なーんだ、てっきり大好きな姉ちゃんとは戦いたくない!マルお姉ちゃん助けて!みたいなお願いされると思ったのに・・・」 

 (マルさん性格悪いのかな)

 「嬉しいんだ、姉さんと戦えることが!俺の憧れた姉さんは本当にすごいんだって!」 

 急にマルの表情が暗くなった。

 「ゆうき君はラフカの気持ちを知らないんだね。まあいい勝負できるといいわね」

 (俺がラフカの気持ちがわかってない…でも知りたいんだ、この世界での俺の強さを!) 


 ついにリングの前にきた!

 さあ、両者上に上がって!

 只今より、剣聖ラフカ対新入生ゆうきの模擬戦を行う!

 (いいなーこの感じ、前の世界のデュエル大会を思い出すな)  

  とにかくラフカの人気がすごい!反逆とかの前に剣聖ラフカはみんなに信頼されてるってことか…良かった。 

 (おそらくラフカを陥れたい奴らがいるに違いない!) 

 

 それでは・・・

 俺とラフカは模擬戦用の剣を構えた!

 (見える!ラフカの剣の先が)

 俺のスキル領域は相手の何秒か先が見える、それに尽力がプラスされることでステが3倍になる! 

 

 確かに見えていた。前の世界と同じようにスキルは発動していた!


 模擬戦開始! 

 俺はとっさに左腕を剣でガードした!

 俺の体が勝手に反応したんだ・・・領域からラフカが消えた! 

 ボキッと音が聞こえた。思わず俺は膝をつく、今まで経験したことがない痛みだ!

 「う…うぐぁ…」

 俺の左腕は折れ、左側の肋骨も何本か折れている。 

 

 「ゆうき、降参しなさい!」 

 ラフカが強い眼差しで言い放った!

 

 騎士王(最初の一撃で戦闘不能にさせるつもりが出来なかったか、あれに反応できるだけでSSを超えている!どうするラフカ、簡単には降参しないように見えるぞ)

 マル(早く降参して!ラフカをこれ以上悲しませないで)

 

 (こんなんで終わらせない!ラフカともっと戦いたい!)

 俺の強い決意はスキル尽力を発動させた。領域プラス尽力でステが3倍になる! 

 「さあ、まだや・・・れ・る」

 俺はラフカを見た途端に力が抜け戦う意志をなくしてしまった。 

 「ひどいよ姉さん、そんな顔じゃ俺・・・戦えないよ!」

 (そんな子供みたいな悲しい顔するなよ!しょうがないか、俺はまだこの世界じゃ弱いみたいだな)

 「降参します!」

 俺は潔く負けを認め自分の弱さを痛感した。

 ラフカが俺に近づいてきた!

 「ゆうき、ごめんね…痛かったよね?」

 ラフカは俺に寄り添って体を支えてくれた。

 「痛かったよ…姉さんに辛い思いをさせたと思うと心が痛くて戦えなかった」 

 ラフカから涙が溢れ出る、俺は周りから見えないように隠した。

 「姉さんのおかげでCランクなんだから、毎日俺の稽古に付き合ってよ!」

 ラフカの顔が天使みたいな笑顔になる!

 「うん、毎日一緒だよ!」 

 「ありがとう、ラフカ」

 俺は初めて姉さんのことをラフカと呼んだ。


 ラフカがマルを見て呼んだ。

 「お願いマル!」

 やっと出番かと言わんばかりにマルが近づいてきた。 

 「いちゃつきも終わったところでゆうき君を治しますか」

 マルが両手を傷に当てると5分で完全に回復した。

 「すごい!ありがとうございます。マル姉さん!」 

 思わず姉さんと呼んでしまった。それほどマルの魔法には感動した!

  

 ようやくこの世界が始まった感じがする。もっと強くなるんだ!相手が誰であろうと世界を救って見せる! 

 

 「そうだ!騎士王のせいで姉さんはこんな目に!」俺は騎士王に文句を言うため近づこうとしたがマルが慌てて止める。

 「いいのよゆうき君、ラフカはルカ様の弟子なんだから!」

 今日、1番驚いたかもしれない。ラフカを見て聞いた。

 「え…で…弟子!?姉さんをいじめてた、あの生意気な人が?」 

 ラフカに頭を軽く叩かれる。

 「ちゃんと私とゆうきのことを考えてるんだから悪く言わないの!」


 騎士王が遠くから俺とラフカを見つめている。

 騎士王(なるほど、ゆうきは優しすぎる。SSから実戦を経験するには早いか・・・Cランクから周りのLVを上げながら成長した方が帝国のためになる。問題はラフカよ、私の後継者ゆえ敵が多すぎる。内部の敵から自分とゆうきを守れるだろうか・・・?)

 

 俺の新しい世界の始まりは負けから始まった。

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