始まる世界
ゆ…う…き
(優しい声が聞こえる…)
ねえ…ゆ…うき……
(確か世界が消えて俺は…)
「ほら、しっかりしなさい!」
俺はびっくりして飛び起きた!目の前には可愛らしい天使のような顔をした16〜18歳ぐらいの少女がいる。それにしても顔に似つかわしくない強さが中から激しく溢れ出しているのがわかる。
まず最初に出るであろう質問が自然と出てしまった。
「あんた、誰?」
少女が呆れたように俺を見ている。
「もう!ゆうきのお姉ちゃんでしょ!」
俺の思考はまだ、何が起きてるのかさえ理解することができない。
(まさか…ここが新しい世界なのか?)
「お姉さん?」
「そうだよ!お姉ちゃんのラフカだよ!」
俺はじーっと姉と名乗るラフカを見た!
(いやいや、どう見ても俺より歳下だろ!てか俺のタイプだし、弟らしく抱きついてやろうか…)
ふと鏡に映った自分を見て衝撃が走った。
(明らかに若返っている…前の世界だと20歳だったのに、こんな可愛らしい姿になってしまうなんて…)
「姉さん!俺、いくつだっけ?」
さすがに俺がおかしくなったと心配そうに見つめるラフカが手を俺の額に当てて言った。
「うーん、熱はない…ゆうきは15でしょ!」
(15!5歳も若返っている、落ち着け…とにかく情報を集めないと)
「早くしないと学校遅れるよ、今日から私と同じ学校でしょ!
(どうやら今日からラフカと同じ学校に通うみたいだ、とりあえずこの世界に慣れとくか)
「早く準備しなさい、朝ご飯は作ってあるから」
(ん…作ってある?親はいないのか?親のことは聞かない方がいいな)
「はーい、急いで行きます!」
リビングのテーブルの上には美味しそうなサンドイッチとミルクが置いてあった。
(もしかして、なんでもできる優秀な姉ちゃんなのか!)
「いただきます」
俺はサンドイッチを一口食べた。味にうるさい俺が感動した声で言った。
「う…うまい!うまいよ姉さん!」
「いつも食べてるでしょ?」
俺のリアクションに照れてるラフカが可愛い。
「さあ、家を出るわよ」
学校に向かう途中俺は色々考えていた。
(まずは、この世界に慣れてさくを見つけないと、あとは世界の救い方か)
(一応俺のステータス見てみるか)
俺は前の世界と同じやり方でステータスを開いた。
LV1 男 職業なし
ステータス
物理攻0
技術攻200
魔法攻0
命中力200
回避力0
基礎体力30
オリジナルスキル 領域 尽力
シークレットスキル 努力蓄積 使用できません
エクストラポイント 800 使用できません
見慣れたステータスを見て驚いた
(前の世界と同じ!それでLV1かよ!)
前の世界ではLV 80、ステータスを見てわかると思うがクリティカルと命中率を特化させていた。
基礎体力とオリジナルスキルは現実世界での才能を引き継いでいるらしい。領域、尽力でステが3倍になる!
あとシークレットとエクストラポイントについては謎だ、前の世界でも使うことは出来なかった。
職業だけが、前の世界にはなかったものだ。
強さの基準でいえば、ボス級のモンスターをLV 70台が5人で倒すところを俺1人でやれる。
これだけの強さを持ってしても前の世界では10番目のランキングだった。
そんな俺だからわかる、ラフカから感じる圧倒的な潜在能力、俺の姉さんてことは確かだがその強さは何のためにあるのだろう。
「姉ちゃん、学校って何のために行くの?」
俺は世界を救うための目的を探るために聞いた。
「それは3年間で強くなって、職業を神にもらわないと世界大戦に参加できないの」
(なるほど、俺の好きな努力して強くなって無双しましょうって世界ね!)
「大戦って誰と戦うのさ?」
「人間と魔族よ、私は魔族だけはこの世から絶滅させないといけない!」
ラフカの周りを殺気と重圧が取り巻いている。
ラフカは俺の怯んだ顔見て誤魔化すように言った。
「でも一番の目的はゆうきを守ること、人もみんな仲良くやれたらいいのにって思う。」
思いっきりの笑顔を見せるラフカの顔は本当に可愛い、まるで天使だな!
俺も自信ありげにラフカに言った。
「言っとくけど、俺も強いよ!姉だんを守るのは俺だよ!」
困った顔をしてラフカは言った。
「でも危ないことはダメだよ、ゆうきは私の生きる希望だから」
(うーん、こんなに愛されすぎるなんて、家族ってそんなものなのか)
遠くに大きい建物が見えてきた!
「ほら見えてきた!ゆうきが3年通う学校だよ!」
これから強くなるために、3年も自分を鍛えれる!
考えるだけでワクワクできる。
前の世界もそうだった、待ってろよさく!きっと会えるからな。
俺の3年の決意と共に学校生活が始まる。