表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/243

第三章 父の友人 場面四 父の姿(二)

 不意に、書庫の扉がノックされた。マルクスが「はい」と応えると、木製の扉が開き、ピソが姿を現した。早足に中に入っている。珍しく、少し慌てているように見えた。

「ドゥルースス」

「はい」

「父君が来た」

「―――は!?」

 ドゥルーススは、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。マルクスも「ネロ殿が?」と言った。

「まさか。父はローマにいるはずです」

「いたんだろうがね。わたしもまさかと思ったが、どうも本物らしい」

 父の快活な友人は、こんな時にも軽口を叩くのを忘れない。だが、ドゥルーススにはまだ信じられなかった。怪我の事を聞いてきたにしては早すぎるし、ましてこの天気だ。

「とにかく、少しでいいから顔を見せてやってくれ」

「ぼくもご挨拶します」

 マルクスは言ったが、ピソはかぶりを振った。

「後にしろ。わたしから簡単に詫びは入れた。ドゥルーススの無事な姿を見せたら、その後少し休んでもらう。ズブ濡れだったから着替えだけはさせたが、相当疲れているようだ」

「はい」

「ドゥルーススを部屋へ連れて行ってくれ。わたしはティベリウスを案内する」

 ピソは言い残して書庫を出て行った。


          ※




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ