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第六章 属州の反乱 場面一 マルコマンニ一族(三)

 出来る事なら戦いたくはない。マロブドゥスは、「自分はローマ側から挑発されない限り、反ローマに起つことはない」と宣言していた。だが、親ローマではあっても、独立したゲルマンの部族であるマルコマンニ一族の勢力は、もはや放置しておくには危険すぎるものになっていた。ローマに対して独立を維持するこの優れた首長の下に、ゲルマンやスラブの一族が次々と身を寄せてきたからだ。彼の下でローマ式に編成された軍隊は、その数七万に達するという。数でいえば、六千の兵からなるローマ軍団に換算して十二個軍団近い兵力だ。ローマ全土の軍団数が二十八個軍団なのだから―――ただし、この他に属州民からなる補助部隊がいるが―――、これがいかに大きな勢力かが判る。ローマからわずか二五〇マイル(三百七十キロ)の場所に位置するこの一大勢力を放置しておくことは、あまりにも危険が大きすぎる。それは否定できない事実だった。

 マルコマンニ族攻略の総司令官に任じられたティベリウスは、与えられた五個軍団を三つに分けた。ティベリウスはカルヌントゥムからダーウィヌス(ドナウ)河を越えて北西へ、第二軍はモグンティアクムからレーヌス川を越えて東へ侵攻する。そして第三軍はラエティアからやはりドナウ河を越えて北へ。三方向から挟撃する作戦だった。

 建国暦七五八年(紀元六年)、再び戦場に戻ったティベリウスは、カルヌントゥムで雪が融けるのを待っていた。準備は全て整っていたのだ。

 だが、ティベリウスはこの作戦を実行に移せなかった。予想もしていなかった事態が勃発したからだった。

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