表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知らないと損をする フリーランス向けお金と制度のはなし  作者: 師走トオル
第一部 個人事業主とお金編
5/10

第四話 絶対に知っておきたい一万円の領収書が持つ節税効果

 前回の話を踏まえ、経費・控除を計上することで、どれだけの節税効果があるかを簡単に実感できるざっくりした計算方法があるので是非覚えておきましょう。


『控除・経費分に25%をかける』だけです。


(注1:所得に応じて所得税はあがるので、25%という数値が30%、40%になることもあり得ます。また、赤字になった場合などもこの限りではありません)


(注2:経費については25%計算で問題ありませんが、控除については所得税・住民税には適用できても国保には適用できないといったものもあるので、25%で計算すると差異が生じる場合があります)


 この計算方法を覚えておくと、たとえば紛失した2万円の領収書がひょっこり出てきた場合など、「やった、2万×25%=5000円の得だ!」なんて前向きな考え方もできなくはありません。

(本来受けられるべき権利を受けられるようになったってだけですけど)


 一応、なぜ25%かければいいかというのを追記しておきます。


ーーーーーこの項目書く必要あった? と思うほどのただの算数話ーーーーー


 簡単な算数です。

 経費・控除を計上することで得られる節税効果をZとします

 年収をAとして、経費・控除分をBとしましょう。

 B=0、つまり経費や控除分がなかったとして、25%計算で年収から引かれる税金は当然こうなります。


 A×0.25


 次に経費・控除分をBとして、税金はこうなります。


 (A-B)×0.25


 節税効果Zを導き出す式は、二つの差額を出せばいいわけですから、


 Z=A×0.25-(A-B)×0.25


 となり、これを分解していくと、


 Z=0.25A-0.25A+0.25B

 Z=0.25B


 となるわけです。


ーーーーーーーーーーーー終わりーーーーーーーーー


 ちなみに作家の場合、編集部、取材先へ行く交通費、本などの資料代、事務用品などは経費にできます。


 また自宅で仕事する個人事業主の場合、自宅の一部を事務所として認められることになります。そうなると家賃や電気代の内、何割かを経費として計上することもできます。余談ながら芸能人の方なんかが豪華な自宅を「事務所です」と言うことがありますが、実際法律上は(一部)事務所として扱えるんですね。


 余談ながら私個人の場合、たとえば私はゲームを題材とした小説を書き、あるいはゲーム情報誌でコラムを書いているため、「ゲームは経費」に成り得ます。


 つまり年収300万で25%計算を持ち出すとして、仕事上どうしても必要だったという理由でPS4とPSVRとゲーム、あと交通費とか諸々合わせて年に40万円使ったとしましょう。


 その場合、節税効果は40万×25%=10万。

 本来年収から引かれる税金を、10万円分も安くできるわけです。仕事上どうしても必要なモノを買った上で、『税金を安くできる』というのはオトクな話だと思います。だってほら、結果的にPSVRが25%引きになるわけですから!


 逆に、『経費にできるものを経費にしないこと』は大きな損失に繋がりかねません。なにが経費にできるかは、是非自分で色々調べてみましょう。

(めんどくさがったわけじゃないですよ!? 職業はもとより、出している本の内容にさえ依存するケースバーケースの話なので)


 とはいえ、25%引きになるからと、収入に見合わない買い物をして赤字になっては本末転倒です。では無理なく税金を安くするにはどうすればいいか? 様々な制度を利用して、「控除」を増やすことです。


 実はこのエッセイではその部分を主に解説していく予定なんです。というかようやく節税の具体的な手段の話に入ります。次回以降の更新にご期待ください。


余談:

 テレビドラマなどでサラリーマンが「これは経費で落とすから」なんてセリフを口にすることがあります。サラリーマンが領収書を切った場合、それが必要経費と認められると会社から全額費用が出てきたりするので、まるでボーナスみたいな扱われ方をするわけですね。ですがサラリーマンが口にする経費と、我々自営業が口にする経費ではまったく意味合いが異なることだけは知っておきましょう。



ーーーーーーー以下、オマケの捕捉。所得税の計算知識編ーーーーーーーーーーー


 ややこしいので面倒臭ければ読み飛ばして頂いて構いません。

 ただし所得税における税率の上がり方がどういうものか知らない場合は、面倒ですが読むことを強くオススメします。


 まずこちらをご覧ください。平成29年の所得税率一覧です。


課税される所得金額      税率  控除額

195万円以下          5%  0

195万円を超え 330万円以下  10%  97,500

330万円を超え 695万円以下  20%  427,500

695万円を超え 900万円以下  23%  636,000

900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000

1,800万円を超え4.000万円以下 40% 2,796,000

4,000万円超          45% 4,796,000


(注:わかりやすさ優先のため、復興税は除外して解説しております)


 年収から経費・控除を引いた額が、一番左の『課税される所得』。

 そこから上記の表に応じた税率をかけ、さらに右の控除額を引いたお金が所得税として徴収されるわけですね。


例:年収300万、経費30万、控除38万の場合

300万-経費30万-控除38万=課税される所得金額232万

上記の表から、232万の税率は10%なので232×10%=23万2000

同じく232万の控除額は9万7500円なので、23万2000-9万7500=所得税13万4500円という数字が出ます。


 ただ、ここに所得税初心者が陥りやすい誤解があります。


「課税所得が195万円以下なら所得税5%なのに、195万円を超えた瞬間に10%になるの!? そうか、じゃあ課税所得200万のときに5万の経費を計上できれば所得税は5%で済むんだ!」


 大きな誤解です。

 ややこしいのですが実際には累進課税となっているので、課税所得が195万をこえた瞬間に所得税が上がるわけではありません。

 結論から言ってしまうと、課税所得200万の場合、200万のうち195万円までが所得税5%で。残る5万円分が所得税10%で計算されるんです。

 でもそんな計算面倒なので、用意してくれているのが上の表にある「控除額」です。


 先ほど例にあげた「年収300万、経費30万、控除38万」の場合で計算してみましょう。

 上記の表に当てはめた場合、所得税は13万4500円です。


 ですが表に当てはめず、自分で計算した場合、こうなります。


 課税所得が300万-68万で232万。

 232万のうち195万円分が税率5%。

 232万-195万=37万円分が税率10%で計算されます。


 195万円×5%+37万×10%=13万4500

 先ほどの計算結果とまったく一緒です。


 ようするに所得税率一覧にある「控除額」というのは、所得税の計算を楽にしてくれるだけの定数なんです! ……と言いたいだけなんです。なにを言ってるか分からないと思いますが、もしあなたが確定申告をする際にはこのことを思い出すと少しだけ書きやすくなるかもしれません。


 ちなみに所得税率10%の控除額9万7500円はどこから出てきたかというと、

 195万×(10-5)%=9万7500円

 という計算になりますが覚える必要ないと思います、ただの算数なので・・・。


 また何度も解説しておりますが、本項で登場した25%という数値は所得税を5%ちょっとで計算しているので25%ですが、上記の表の通り、実際には年収が増えれば増えるほど所得税率は跳ね上がります。


 たとえば『課税される所得』が4000万超あった場合、所得税率は45%です。

 つまりこの場合、控除・経費分にかける数値は従来の25%ではなく45%(所得税)+10%(住民税)+8%(国保)=63%になるのではないか……と考えたくなります。


 ですが実際には所得が多くなればなるほど所得控除の額も大きくなります。

 また、国保は50万ないし85万という上限があるので、収入が多ければ多いほどパーセンテージとしては低くなります。


 なのでこの場合、控除・経費分にかける数値は恐らく25%でも63%でもなく、45%ぐらいになると思います。いずれにせよ、お金持ちは積極的にお金を使って経済を回してくれと言うわけですね、きっと。


(そもそも年収4000万あったら法人化しろよというツッコミもできますがそれはそれ)


 ただ一点だけクソややこしい注意点がありまして、経費を計上すればするほど45%の節税効果は薄れていくという点です。


 極端な例ですが、たとえば年収が5000万あったとして、3500万の経費を計上したとします。(あと控除はめんどいので今回は計算から外すとします)


900万円を超え 1,800万円以下 33%

1,800万円を超え4.000万円以下 40%

4,000万円超          45%


 3500万の経費を計上して、所得税の対象となる収入が5000万から1500万になった。すると課税対象所得は、「4,000万円超」から「900万円を超え 1,800万円以下」ラインまで下がる、つまり所得税率が45%から33%まで下がるわけです。


 ものすげえややこしいんで書きたくないんですが、つまり年収5000万で3500万の経費を計上した場合、所得税についての節税効果は、


 3500万のうち、1000万円分が45%。

 3500万のうち、2200万円分が40%。

 3500万のうち、残る300万円分が33%ぐらいになります。


 なにを言ってるか分からないかもしれませんがあんまり気にしないでください。まあ年収1000万とか越えてから考えましょう。とりあえず『最低25%』で計算しとけば大体問題はありません。


ーーーーーーーーーーここまでーーーーーーーーー


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ