白百合くんのひと稼ぎ
日曜日、
今日はなんと、白百合くんのバイト先に遊びに行く予定だ。
あの白百合くんがアルバイトをしているのも意外であったが、
バイト先に遊びに来てほしいというのも、なんとなく意外であった。
そしてそのバイト先が、
"遊園地"というのも意外であった。
ただあの見た目である、ショーのダンサーや演者などで重宝されそうであるし、アトラクションのガイドも務められそうだ。
目的地へ向かいながら、白百合くんの活躍する姿を想像してわくわくしている私なのであった。
ーーそして30分後、
目的の遊園地に着き、待ち合わせ場所へ向かう。
どんな格好をしているのだろうと楽しみにしていると、白百合くんの美しい髪と後ろ姿が見えてきた。
「あっ、白百合く………」
呼びかけて気がついた、白百合くんの格好が想像と違う。
「あぁ、藤見さん!よくきてくれたね!」
「え…白百合くん、その格好……」
「あれ、言ってなかったっけ?僕ここで清掃員してるんだ!」
まさかの事実であった。
あの白百合くんが、やや肉体労働よりの清掃員をやっているのは意外である。
しかしそれよりも、
普通清掃員のバイトをしている場所に、遊びに誘うだろうか…
だがもはや、
(まぁ、白百合くんだしな……)
と、どこか納得してしまう自分もいた。
「清掃員、大変じゃない?」
前々から、白百合くんが色々と苦労していそうに感じていたので、なんとなく心配になって聞いてみた。
「え、まぁ…単純作業してる間は予習復習できるし、歩き回って体力もつくから結構効率的だよ!」
そう、なんとも爽やかな笑顔で言われ、
バイトも部活も何もしていないのに、勉強も運動も、全てが白百合くんの足元にも及ばない自分に嫌気がさしてしまった。
「白百合くんはすごいね…バイトも部活もしながら、成績もいいし、運動までできて…尊敬だよ」
思わず口にしてしまったが、やや嫌味っぽく聞こえるような気がして、慌てて訂正しようとした私を遮るように白百合くんが口を開いた。
「そうかなぁ、僕は藤見さんが羨ましいよ」
どういうことだろう、白百合くんが、私を羨む…?
全く理解できず言葉が出てこない私に、白百合くんがポツポツと喋り始めた。
「僕、友だち少ないし、家に帰っても一人だし、みんなが当たり前にできてることができないんだ」
何か分からないが、白百合くんを傷つけてしまった気がして、声をかけようとした瞬間、遊園地の13時のチャイムが鳴った。
「あ、休憩終わりの時間だ!変な話ししてごめんね、じゃあ楽しんでいってね!」
そう言い残して去っていった白百合くんだったが、
よくよく考えてみたら、遊園地に一人で遊びに来て取り残され、この後一体どうすれば…と、途方に暮れる私なのであった。




