表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

白百合くんの特技1

放課後、ようやく授業が終わり清掃の時間となる。


掃除のグループは席順で分けられており、

必然的に隣同士の白百合くんと私は同じグループとなる。


「藤見さん、掃き掃除手伝ってもらってもいい?」


「あ、はい!」


白百合くんと隣の席になってからよく話すようになったものの、時々まだ緊張して敬語になってしまう。


ロッカーに箒木(ほうき)を取りに行き、ふと白百合くんを見ると、とてつもなく機敏(きびん)かつ正確な動きで隅々の(ほこり)を教室の中央に集めていた。


さすがだなぁ…と感心していると、

なにやら「ブーーン…」と聞こえてきた。


なんの音だろうと思い周りを見渡すと、教室の中に大きなガガンボがいた。


私は自分が虫けらのような存在である自覚はあるが、虫は大の苦手である。


「ぎ、ぎゃーーーーーー!!!!!!!」

思わずモブに似つかわしい大きな声が出てしまったが、白百合くんは涼しい顔をしてこちらを見ていた。


「白百合くん…っ!!た、助けてーーー!!!」


いつも白百合くんには遠慮がちな態度をとってきたが、今この時ばかりはそうもいかない。

なぜならガガンボはこちらに向かって飛んできているからだ。


「いやーーーー!!!」


私はなりふり構っていられず、教室内を逃げ回っていた。

その様子を、観察するようにじっと見つめる白百合くんを見て「なんて薄情な人なんだ」と思ったが、それどころではない。


もう逃げ場はなく、白百合くんの元へ駆け寄り助けを求めようとすると、

白百合くんがスッ…と手を伸ばし、次の瞬間には優しくガガンボの羽根を掴んでいた。


一見、虫嫌いからするとゾッとするような光景だが、白百合くんが持ったガガンボは、もはや繊細なガラス工芸のごとき美しさを帯びていた。


「し、白百合くん…?」


「あ、僕虫捕まえるの得意なんだ。家に結構出るからさ」


そう言うと白百合くんはしなやかな手つきで窓を開け、ガガンボを外に逃がしていた。


外に逃げていくガガンボであったが、フラフラと力なく飛び去っていく姿に、

なんだか白百合くんにときめいているように感じたのは私だけだろうか…


「さ、掃き掃除終わったしもう行くね」


白百合くんはそう言うと、箒木(ほうき)を片付け、部活へ向かっていくのであった。


ガガンボの心までも掴む白百合くん…末恐ろしい存在である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ