白百合くんの幼馴染
私は白百合くんとこれまでほとんど話したことがなかったが、隣の席になってからはちょくちょく話すようになった。
白百合の君と呼ばれるような人物なので、さぞ優雅な生活をしているのだろうと思っていたが、
白百合くんはアパートに一人暮らしをしており、そこそこ慎ましい生活をしているらしい。
(食事以外は)
その辺りは何か事情がありそうではあるが、詮索するのはよくないと思いあまり深くは触れずにいた。
そして話をしているうちに、この学校に白百合くんの幼馴染がいるとわかった。
名前は櫻井 篤実、
隣のクラスにいるらしい。
なんだか聞いたことのある名前だなと思っていたが、ある時隣のクラスを覗いて思い出した。
「徒桜の君だ…」
なんとも中二病をこじらせたような二つ名だが、
その者は、その名に恥じないような麗しい見た目をしている。
短く切りそろえられた艷やかな黒髪に、吸い込まれるような漆黒のメイクが施された目元、
スラリとした高身長で、
"よく男性に間違われるらしい"
そう、白百合くんの逆パターンである。
彼女は彼女で、白百合くんとは別の層の女子から高い人気を誇っており、それゆえに二つ名で呼ばれている。
そんなことを考えながらじっと見ていたせいか、徒桜の君に気づかれてしまったようで、
彼女がズカズカとこちらへ向かって歩いてきた。
迫力のある見た目に圧倒され硬直していると、
ガシッと手を掴まれ、こちらをまじまじと見つめてきた。
「な、ななななんでしょう?」
緊張してまともに喋れないでいると、徒桜の君はニッコリと笑った。
「和葉の友だちだよな!?よく和葉が話してるよ!あ、私のことはあっちゃんでいいよ!」
「あ、あっちゃん…?」
「そう!私、なんかみんなからあんまり好かれてないみたいでさ…友だち全然いないんだ。だから私とも友だちになってくれよ!」
ただ近づきがたいオーラがあるたけでは…と、突っ込みたくはあったが、
そこまで答えられる余裕はなく、こくこくと頷くだけで精いっぱいだった。
「いいのか!?ありがとう!」
そう言って、あっちゃんからギュッと抱きしめられた私であったが、
そこかしこから嫉妬の目線を感じ、
現実から目をそらすために、ギュッと目を閉じた私なのであった。




