白百合くんのストーカー?
私、藤見小春はあることに気が付いた。
最近校内で、少し離れた所から白百合くんの様子を伺う男子がいることに。
身長恐らく150cm台で華奢な体型、柔らかな栗色の髪で眼鏡をかけた、優しげな少年だ。
女子に大人気の白百合くんである、男子にファンがいてもなんらおかしくはない。
ただ、教室の外からじっと白百合くんを見ている姿はファンというより、どうしてもストーカーのように感じてしまう。
白百合くんはというと、気にする様子もなくいつものように過ごしている。
私は意を決して小声で聞いてみた。
「ねぇねぇ白百合くん、教室の外から白百合くんのことを見てる人がいるじゃない?あの人…知り合い?」
「…え、誰?」
我が道を貫き通す、神経が図太い白百合くんは案の定気がついていなかったようだ。
ストーカー疑惑の彼は一見優しげな少年だが、白百合くんへの視線はどこか熱を帯びたようなものがあり、正直どこか危険な空気を感じる。
どうしたものかと考え込んでいる私を横目に、白百合くんはスッと立ち上がり、その少年の方へスタスタと歩いていった。
「え、ちょ白百合くん!?」
白百合くんが少年の目の前に立つと、少年は顔を紅潮させダラダラと汗をかいて動揺しているようだ。
「あなた、僕に何か用ですか?」
明らかに動揺している少年のことを全く気にも留めず、白百合くんが話しかけると、少年はポツリポツリと喋り始めた。
「あ…あの……」
「はい」
「白百合さん……」
「はい」
「ぼ、ぼく、栗谷源三と言います!…ぼくを弟子にしてください!!」
「はい?」
「ぼく、もともと土方歳三に憧れてて……武士になりたいんです!!」
「…?」
さすがの白百合くんも動揺したようで、言葉に詰まっていた。
「白百合さんって、僕にとっては武士なんです!!文武両道で、自分の信念を貫き通していて……だから弟子にしてください!!」
たしかに髪型といい、醸し出す雰囲気といい、白百合くんは武士に近いものがあるのかもしれない。
それにしても、栗谷くんの突飛なお願いにさすがの白百合くんも考え込んでいるようで、黙り込んでしまった。
「ダメですか…?」
白百合くんを見つめ、栗谷くんはうるうるとした目で訴えかけていた。
「うーん…弟子なんかならなくていいよ、友だちになろう」
白百合くんの言葉に、栗谷くんはパァッと顔を明るくした。
「本当ですか!?嬉しい!!でもぼく……」
「でも…?」
白百合くんは急に顔を暗くした栗谷くんを不思議そうに見つめた。
「今年で、160歳……なんですよね…」
そう言われて栗谷くんをよく見ると、少し浮いているし、なんなら向こう側の景色が少し透けていた。




