白百合姫と継母
昔々、ある所に白百合姫というとても美しい姫がいた。
白百合姫は本当は男性であったが、とある事情で女性として育てられていた。
彼の母親は幼い頃に亡くなっており、父親は再婚して新しい妻を娶っていた。
白百合姫にとっては継母である。
父親が再婚してほどなく、彼には腹違いの弟が生まれた。彼はとてもよく弟の面倒を見て可愛がっていたが、継母はそんな彼を何度も諌めた。
継母にとって、次期国王となるのが自分の息子でないのが気に入らなかったのだ。
そこで継母は考えた。
血の繋がらない息子を、"娘"にしてしまえばいいと。
その日から彼は、"白百合姫"と呼ばれるようになったのだ。
白百合姫は8歳にして城とはやや離れた、領地の隅にある離れで暮らすこととなった。
父親はというと、新しい妻にぞっこんで、彼女の言うことはなんでも聞いていたため、白百合姫には味方となる大人がいなかった。
しかし白百合姫はそんな生活にもめげることなく、勉学に励み、馬術にも精を出した。
その才能は隣国にも知れ渡るほどであった。
そんな白百合姫の才能を継母がよく思うことは当然なく、夫に隠れて白百合姫に度々手紙で嫌味を送っていた。
そんなある日、白百合姫は文字が読めなくなった。
文字といっても、活版印刷などの機械的な文字は問題なく読めるが、"自分以外の人間が書いた文字"が読めなくなってしまったのだ。
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私、藤見小春は、放課後、白百合くんと、子どもの頃の何気ない話をしていた。
私の子ども時代は特別目立ったものはなく、さぞつまらない話だろうと思って話していたが、
白百合くんは目をキラキラさせて私の話を聞いていた。
「藤見さんのお母さんの得意料理、ハンバーグだったんだ!…ていうか、ハンバーグって家でできるんだ…」
「もしかして白百合くん、ハンバーグあんまり好きじゃないの?」
「ううん、うちは母さんが料理作らなかったから、外食以外であんまり凝ったもの食べたことないんだよね」
「へぇ〜」
私は気の抜けた返事をしながら、白百合くんの家庭はお父さんが料理担当だったのかな、などと考えていた。




