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白百合くんと原宿ー前編

ある日の土曜日、私、藤見小春ふじみこはるは原宿にいた。

地味子と呼ばれる私がなぜこのような場所にいるのかというと、時間は昨日の放課後に遡る。


隣のクラスの櫻井篤実さくらいあつみが、幼馴染である白百合くんのところへ遊びに来ていた。

そして、なぜだか彼女に気に入られているらしい私も話題に入れてもらっていた。


「…あ、そうだ!なぁ和葉、小春!明日原宿行かないか?」

櫻井さんが白百合くんと私の方を期待に満ちた目で見てきた。


「…原宿、僕行ったことない」

「わ、私は一度だけ…」


すると櫻井さんはもじもじしながら言葉を続けた。

「そうか…実は私、原宿は何度も行ったことあるんだけど、その…友達と一緒にクレープ食べてみたくて…」


クールな見た目の櫻井さんが、このような遠慮がちな態度を取るのが意外であったが、

近づきがたい独特なオーラを持つ彼女の見た目からすると、一緒に歩くのは確かに緊張してしまう気もした。


「いいよ、僕もクレープ食べてみたい。明日の午後はバイトも部活も無いし」

「私もご一緒していいなら…ぜひ…」


我々の言葉を待ってましたとばかりに、櫻井さんは顔をぱあっと明るくした。

「決まり!じゃあ明日の14時、竹下通りで待ち合わせしよう!」


ーーーーーそして今に至る。


私は子どもの頃、好きな漫画に出てきたという理由で両親に頼み込んで、ここ原宿・竹下通りに連れて来てもらったことがあるが、

竹下通りといえば独特な雰囲気の狭い店舗がひしめき合う、言わばおしゃれ戦闘力が高い人々の戦場である。


幼かった私は道ゆく人々に緊張して、どの店舗にも入れず家に帰った苦い記憶があった。


そして現在、約束の時間の14時、二人が来ない…

メッセージアプリも既読がつかない。


約束を守らないような二人では無いため、何かあったのだろうかと心配になり近くを見に行ってみることにした。


原宿駅前をうろうろして、表参道の方に目をやったその時、

とんでもない人だかりができていた。


なんとなく察した私は人だかりの中心を覗いてみると、案の定二人がいた。


「ねぇねぇ、そこの二人!うちの事務所で話聞いてみない!?」

「いやいや!うちの方がいい条件だすよ!」

どうやら二人はスカウトの人に目をつけられ、その騒ぎに興味を持った群衆に囲まれてしまったようだった。


「僕たち、待ち合わせしてるんですけど…」

「私も今は事務所とか興味ないかな…バンドでドラムはやってるけど…」


だが、二人の言葉など聞いていない様子のスカウトや群衆はザワザワと盛り上がり続けていた。


その様子を遠くから眺めて、文字通り遠い目になる私なのであった。



ーー続く。

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