よし、異世界転生したぞ。
異世界に転生したけど俺の役割は舞台装置に過ぎない。
まあ、それはそれでいいか。せっかくの異世界だ許される限り自由に生きよう。
そんな男の排他的冒険が幕を開けていいのやら。
よし、異世界転生したぞ。
お決まりの中世風の雰囲気だ。
ここは村外れっぽいけど建物はあるし。どうやらいきなりモンスターとかに遭遇するような場所に下されたわけでも無いらしい。
そして右手にはなんか凄そうな武器が1つ。
「一振りで敵を殺す剣」
大変分かりやすい名前でよろしい。
こんなんどう怠けようがヌルゲーじゃねぇか。
まあまずは情報収集だ。
と言いたいところだけど・・・
『降り立った町の北部にはギルドがございます。そちらで冒険者として登録をしていただきましたら、まずはおひとり向けのクエストをこなしてください』
そんな風に言い含められて降り立ったもんなぁ。
しょうがないけどまあ一応物語を進めてみようか。
俺は転生の際にいろいろと教えてくれた女神様のお告げのままにギルドへ向かうことにした。
一応なじみの無い異世界で何の頼りも無いし、何か展開を期待して行くしかないしな。
おれは手元の方位磁石を頼りに北に進んでいくことにした。
道すがらに歩いてみると、少しずつ町が栄えているような様子が見えた。
そして遠目で見える町の人たちは目鼻立ちからしてやはり東洋人ではなく西洋の雰囲気を感じる体系と目鼻立ちだ。
やっぱり心細いよなぁ、俺なんて日本人基準の19歳平均身長男性だし取っ組み合ったら絶対勝てん。
そのくせ持ってる武器は「一振りで敵を殺す剣」だもんなぁ、扱い辛い。
自分の服装がふと気になり目線を落とすと、白シャツに黒パンツにスニーカーという現代人丸出しのスタイルだった。
というかあるカフェのバイト服ほぼそのままだ。
でもこれも女神様曰く・・・
『異世界に行く方々は現代日本の服装のままお訪れることで、その世界の方々から異質な存在であることを印象付けるものなのです』
・・・と、いうことらしいもんなぁ。
なんか色々説明してくれたんだよな女神様、なんと手厚いことか。
服装で目立つのはちょっとありがた迷惑ではあるけど。
俺は予想通り町の方々の視線を受けながらも北部に進んで行く。
すれ違う人たちの言葉は不思議と理解することができる。
これも異世界転生あるあるなのかな。
でも未開の地にきてしかも見慣れない人種の方々に囲まれたこの状況において、言葉が理解できるということはかなり救いだ。
道沿いのお店とかを見てみても不思議な文字列が並んでいるが意味が頭に入ってくる。
変な感覚だ。
寄り道したい気持ちを押さえしばらく進んでみると、ついに目的のギルドを発見した。
こういうのは酒場も一緒になっているのが定番だがここも例に違わずらしい。
入口の上には「冒険者ギルド、はじまりの街支部」と看板が掲げられている。
はじまりの街って、またずいぶんと安直なこって。
俺は一人でバーに入るような経験も無いわけだけども、もう置かれている状況に現実味がなさ過ぎて何も考えずに、ギルドへ足を踏み入れた。
「あー・・・それっぽい」
ギルドに入ると入口付近は素手に酒飲みで賑わっており、その酒飲みたちの席の奥にはそれっぽい受付がある。
にぎやかな喧噪を半ばかき分ける形で受付まで進むと、受付嬢さんがにこやかに声をかけてくれた。
「ギルドへようこそ!あまりお見掛けしませんが初めていらっしゃった方でしょうか?」
「はい。冒険者に登録させてもらいに来ました。」
もう電子音声で答えているかのようなテンプレートで返答する。
「承知いたしました!改めて始まりの街のギルドへようこそ!あなた様の活躍をお祈りしております!早速こちらにお名前とお希望の役職をお書きください」
「はい・・・どうぞ」
「ま、まったく悩まないんですね、お預かりします。サイトウハジメ様、剣士職をご希望ですね。」
「はい。来ていきなりではありますが、まず手始めに一人で受けることのできるクエストを斡旋していただけますか?」
「は、はい承知いたしました、少々お待ちください」
少々受付の女性を驚かせてしまったようだけどこれも女神様の筋書きどおりだ。
ひとまず俺を一人の冒険者としてクエストに行かせ、ターゲットとは異なる強力モンスターを狩らせ、
ギルドの人から勇者の適性を見出され魔王討伐の旅に出る。
これが俺のこの世界の役割らしい。
まあ敷かれたレールではあるが決して悪くはない。
おれは言う通りにしていればこの世界でいい思いができる。
たとえ舞台装置であったとしてもだ
もう今日はゆっくり休みたい。
そんな風に思いながらクエストを待っていると、飲んだくれたあんちゃんにいきなり肩を組まれた。
「おうあんちゃん一人でクエストに行くんだって?そんななりでいっちょ前に上等そうな剣を携えちまってよ~お?いっぱしの冒険者きどりか?」
「・・・やめてください」
本当にやめてほしい。
大人も酔っ払いも嫌いなんだ。
「あ~?なんだよ「やめてください」ってなよっちいこと言いやがって女かよお前はよおぉ、よく見たら線も細いし本当に女なんじゃねえか?」
男だ女だとこの時代になんて恐れ知らずだ。
「今度はだんまりか?お前聞いてんのかおい?」
あー、もういいや。
俺はドンと絡んできたアホを少し突き飛ばして距離を置かせ、その首を切り飛ばした。
「お?」
なにか言いかけたその首があっけなく床に落下した瞬間、時間が止まったかのように周りの景色が停止し・・・
「斉藤始さん?!何をしているのですか?!」
そんな女神様の声を聞こえた。
結構行き当たりばったりですが楽しくなるよう今できる精一杯を込めさせていただます。
よろしくお願いいたします。